<季節の1コマ>バックナンバー

  №521 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科
 2日間雨が降り続いてうんざりしていたが、今日は打って変わってすっきり快晴。昆虫たちも次々と姿を見せた。これはジャコウアゲハのオス。羽化したばかりのようで傷みは全くない。メスを探すときはゆっくりふわふわと飛翔するが、今日はせわしなく飛び回っている。短時間草の上で静止した時にかろうじて撮影できた。ビロード状の後翅がわずかに青みを帯びて美しい。(T) (撮影:2024.04.25 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.25.更新  

   №520 メジロ(メジロ科
 カメラを構えて別の鳥を狙っていたら、近くの月桂樹の木に2羽のメジロが来た。急いで、でもそっとカメラの向きを変えたが、すぐに飛び去ってこの1コマだけ全身が撮れた。月桂樹は花盛り、葉の色とメジロの羽の色もうまくなじんで柔らかい雰囲気。メジロの愛らしさを感じていただけるだろうか。(T) (撮影:2024.04.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.20.更新  

   №519 ホソミイトトンボ(イトトンボ科
 前回№518のホソミオツネントンボと同じ時に撮影したホソミイトトンボのオス。名前も姿も紛らわしいが、本種のほうがやや小さくて細い。特にオスの腹部はご覧のようにとても細長い。ホソミオツネントンボと同様成虫越冬という珍しい習性をもち、同様に春になると青みのついたきれいな色になる。頭部背面に眼後紋という青い部分があり、左右がつながっているのが特徴。ホソミオツネントンボにはこの紋はない。(T) (撮影:2024.04.14 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.16.更新  

  №518 ホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科
 初夏のような日が続き、田んぼビオトープの抽水植物マコモの葉も伸びてきた。そこに青いきれいなイトトンボ。ホソミオツネントンボのオスだ。オスは越冬期が終わって成熟すると体全体が淡いきれいな青に変わる。先日の№515でメスの写真を載せたが、メスよりさらに鮮やかに色が変わる。水中では今、アカガエルのオタマジャクシがたくさん元気に泳いでいるが、これから次々とトンボが現れて、水面上も賑わい始めることだろう。(T) (撮影:2024.04.14 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.14.更新  

   №517 セイヨウミツバチ(ミツバチ科
 平地よりは遅いが、ソメイヨシノは散り始めた。しかし、この辺りにはさまざまなサクラがあるので、まだしばらくは楽しめそう。このピンクのサクラも野生のサクラ。ヤマザクラでもないので雑種かもしれない。メジロやヒヨドリ、それにセイヨウミツバチが蜜を求めて集まっていた。今日は最高気温が24℃で一気に初夏のよう。穏やかな春らしい気温がもうしばらくは続いてほしいが…。(T) (撮影:2024.04.12 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.12.更新  

   №516 ミヤマセセリ(セセリチョウ科
 町道沿いのソメイヨシノもほぼ満開となった。早春の昆虫たちも姿を見せるようになって嬉しい季節。朝、目の前を黒っぽいチョウが飛んだ。何?と目で追うと地面の草の上に静止。ミヤマセセリだった。最近は滅多に見なくなってしまったチョウのひとつ。この辺りにまだ残っていて良かった…。馴染みの昆虫が地域から消え去るのは何とも寂しいものだから。(T) (撮影:2024.04.05 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.06.更新  

  №515 ホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科
 春の日差しが注ぐ南斜面に、ホソミオツネントンボのメスがいた。メスはオスほど時期による体色変化はないが、胸部にはわずかに青みが出ている。和名の「オツネン」は「越年」で、成虫越冬という珍しい習性のトンボ。冬眠時期は終わってそろそろ繁殖期に入るようだ。トンボ類が減少傾向にあるが、この種は今年も例年並みに見られることを期待したい。(T) (撮影:2024.03.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.04.03.更新  

   №514 ツバメ(ツバメ科)
 寒かったり雨が降ったりの不順な天候が続いて、桜の開花も遅れている。でも今日は一転、一気に気温も上がって春本番。クロモジヤマウグイスカグラの花が咲き、いろんな昆虫も姿を見せた。そしてようやくツバメもやって来た。長旅の後とも思えない美しい翼の輝き。間もなく巣作りが始まる。今年は我が家へどうぞ…。(T) (撮影:2024.03.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.03.29.更新  

   №513 ジョウビタキ(ヒタキ科)
 今日は良く晴れて暖かくなった。梅の枝にジョウビタキのオスがいた。すぐ下の土手を見つめて時折舞い降りる。虫やクモが動き出しているのだろう。胸から腹のオレンジ色が濃くなっている。鳥たちのオスは繁殖期が近づくと色が鮮やかになる。ジョウビタキやミヤマホオジロ、カシラダカなどの冬鳥で顕著な気がする。そうなると冬鳥たちともそろそろお別れ。寒い季節もようやく越えたようだ。(T) (撮影:2024.03.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.03.14.更新  

  №512 ツグミ(ヒタキ科)
 南岸低気圧やら西高東低の気圧配置やらで、冷たい雨が降ったり北風が強かったりの気が滅入るような天気が続いた。ようやく今日は日差しの明るい好天。枯草に覆われた空地の地面に1羽のツグミがいた。周囲や上空を警戒しながら、地面を突っついて餌を探している。このシーンも何かを捕らえたところ。写真を拡大しても、小さな獲物で何かわからない。視力以外に嗅覚も使っているのだろうか。晩秋に渡ってきたころには群れで過ごすが、この時期なると単独で地面にいることが多い。北へ帰るのは4月になってから。一部は5月初めまで残っている。(T) (撮影:2024.02.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.02.28.更新  

   №511 ノスリ (タカ科)
 スギの梢に大型の鳥が止まった。翼の裏側の白さですぐにわかった。タカの仲間のノスリだ。北海道や本州中部以北などで繁殖し、この辺りでは冬鳥。カラスと同じくらいの大きさだが、翼を広げた姿はさすがに様になる。冬に田の周辺の木の上や電柱の上で地上の獲物を探す姿をよく見る。様々な小型動物を獲物にするようだが、カエルやハ虫類がいない冬場はネズミなどを狙うのだろう。ノスリというちょっと変わった和名は、狩りの際に野を擦るように地表すれすれを飛行するから「野擦」、という説もあるそうだ。(T) (撮影:2024.02.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.02.15.更新  

  №510 シメ (アトリ科)
 冬に時々姿を見せるシメ。スズメより少し大きく、ずんぐりした体形と太いくちばしが特徴。中部以北や北海道で繁殖し、西日本では冬鳥。木の種子を食べる。ヒヨドリやシロハラは果実(例えばナンテンの赤い実)を丸のみにして果肉を消化し、内部の種子は排出される。しかしこのシメは果実ではなく、硬い種皮をくちばしで割って内部を食べるという。このペンチのようなくちばしならそれが出来るのだろう。パチンと種子を割るところを見てみたい。この写真は逆光で色がよくないので、№2№325も見てください。(T) (撮影:2024.02.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.02.11.更新  

  №509 シロハラ (ヒタキ科)
 続いて同じヒタキ科のシロハラ。体長24cmほどでトラツグミより小さく、ツグミとほぼ同じ大きさ。縄張りをもち単独で灌木の茂みなどにいることが多いが、この時は珍しく開けた場所に出てきた。ツグミ類らしく嘴や脚がたくましい印象。今年は例年より遅く、12月9日が初見。(T) (撮影:2024.02.02 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.02.03.更新  

   №508 トラツグミ (ヒタキ科)
 この冬は鳥の気配が本当に乏しく、どうなっているのかと気になって仕方がない。県内の他の地域でも同様らしい。そんな中、庭にひょっこりとトラツグミが現れた。特徴的な模様と、ヒヨドリより大きく太い体格で存在感抜群。山地で繁殖し、冬は里に降りてくる。雑食性で柿の実なども食べるが、地面でミミズや虫を探す姿をよく見る。この個体も嘴が泥で汚れているので、地面を探っていたのだろう。№410もトラツグミ。(T) (撮影:2024.01.21 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.01.23.更新  

   №507 カメノコテントウ (テントウムシ科)
 暖冬気味とはいえ、今朝は-5℃の冷え込み。ストーブ用の薪の消費も増えてきた。薪置き場の薪を集める時の楽しみであり、困ることでもあるのが越冬中の生きものたち。昆虫、クモ、ヤモリの幼体などが薪の隙間に潜んでいる。なるべく殺生はしたくないので暖かい時間に作業して、出てきたら来シーズン用の薪置き場に移動させる。今日は大型テントウムシのカメノコテントウ。これはうれしい。もう1匹何かいるぞ。樹皮そっくりのオオトビサシガメがいた(T) (撮影:2024.01.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.01.17.更新  

  №506 ミヤマホオジロ (ホオジロ科)
 冬鳥のミヤマホオジロ。11月上旬にはやって来て、茂みの中で「チッ、チッ」という小さな声で鳴く。その声で秋の深まりを感じるのが例年の常だった(№451)。ところが今シーズンは注意していても全然聞こえない。12月13日に5羽の姿を見たがその後またいなくなってしまった。ようやく1月11日に3羽を確認したが、何かの異変?と心配。写真の個体は目の周りが黒く、喉が黄色いのでオス。目の上の黒い羽毛が、朝ドラ「ブギウギ」ヒロインの付け睫毛のようで、写真を見てクスリ。(T) (撮影:2024.01.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.01.12.更新  

  №505 ジョウビタキ (ヒタキ科)
 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。人や生きものたちの命が理不尽に奪われることのない世界へ、一歩踏み出す年であってほしいです。さて、写真はおなじみジョウビタキのオス。「モンツキドリ」の異名の通り、翼の白い斑紋が絶妙のアクセント。冬にやって来る渡り鳥で、縄張りを作る。今年はこの個体が我が家周辺を縄張りにした様子。我々を覚えて、近づいてもあまり逃げなくなった。何とも愛らしい存在。(T) (撮影:2023.12.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2024.01.01.更新  

   №504 サワガニ (サワガニ科)
 17日から厳しい寒波に見舞われているが、その前日、田んぼビオトープにサワガニの成体がいた。生涯を淡水で過ごす珍しい生態のカニで日本固有種。きれいな水の指標とされ渓流で見ることが多いが、湧水のある棚田にも生息している。先人が苦労して積みあげたと想像できる畔の石積みが、絶好の棲み処となっている。冬は冬眠するが、暖かかったこの日は巣穴から出てきたようだ。この角度から見るとなかなか愛嬌のある姿をしている。(T) (撮影:2023.12.16 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.12.19.更新  

  №503 ヒヨドリ (ヒヨドリ科)
 朝から外が騒がしい。出てみると10羽超のヒヨドリが、木の間を落ち着きなく飛び回っている。「ヒヨ」・「ピヨ」・「ヒー」のような賑やかな鳴き声。時々木の実を食べたり、遊びのような追いかけあいをしたり、とにかくせわしない。ヒヨドリは一年中見られる鳥だが、冬には北から渡って来た群れも混じっているらしい。それらは縄張り意識が弱く、複数で賑やかに過ごしている傾向があるとか。今朝の群れはおそらくそういう集団だろう。(日本自然保護協会機関紙「自然保護」№595、pp.20-21を参照しました)。(T) (撮影:2023.12.08 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.12.08.更新  

    №502 コゲラ (キツツキ科)
 庭のケヤキにコゲラが来た。脚と尾で巧みに幹を移動しながら樹皮をつついて餌を探している。写真で拡大して見ると、小さなアブラムシ類のようだった。鋭く先が尖った嘴は小さな虫でも捉えることができるのだろう。スズメ大のキツツキで一年中見られるが、冬に見ることが多い。よくエナガやシジュウカラなどと混群を作って活動している。。(T) (撮影:2023.11.23 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.11.28.更新 

  №501 ノスリ (タカ科)
 よく晴れた空を上昇気流に乗ってゆっくりと旋回するタカ。トビではない。急いでカメラを持ち出して数コマだけ撮影できた。写真を見るとノスリ。翼を広げた状態を下から見ると、全体が白っぽい中で、腹部を横断する暗褐色の帯と翼前縁の暗褐色斑がよく目立つ。 国内の山地で繁殖し、冬は各地の農耕地などで見られる。この辺りでも冬にだけ姿を見せる。写真が鮮明ではないが、よく見ると眼はしっかりと地上に注がれている。獲物を探しているようだ。(T) (撮影:2023.11.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.11.20.更新  

  №500 キタキチョウ (シロチョウ科)
 13日には強い寒気が入って冬空に。「秋が短くなってしまった」という嘆きも。寒気はすぐに緩んで、この日は晴天。でも、さすがに昆虫たちは少なくなった。このキタキチョウだけは、多数がヤマハッカなどの僅かに残った花から吸蜜。成虫越冬のチョウだから暖かい日には出てくる。厳冬期にはちょっとした隙間や枯草の間で身を潜めている…と言っても滅多に見つけることはない。どこにいるのだろう? (T) (撮影:2023.11.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.11.16.更新  

  №499 ナツアカネ (トンボ科)
 異様な暑さはようやく収まり、爽やかな天気になった。こんな日には、あちらこちらでナツアカネが日光浴をしている。オスはこのように顔面まで赤く染まる。今年は別のアカトンボ、ノシメトンボをとうとう見なかった。去年から数が減って気になっていたが全くいなくなるとは…。トンボに限らず、環境の悪化や気候の異変で適応力の弱い生物から次々といなくなっていくようだ。大方の人は気にも留めない。この国は大丈夫か? (T) (撮影:2023.11.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.11.09.更新  

   №498 ホソミオツネントンボ (アオイトトンボ科)
 葉が散り始めた雑木林の陽だまりに微かに動くものが。ホソミオツネントンボの♀だった。体長は4cm弱でイトトンボ類のように細い。トンボ類には珍しく成虫で越冬する。今年はいつまでも暖かいので、まだ越冬に入らないのだろうか。もっとも越冬中でも暖かい日には現れることがある。それにしても見事に枯れ枝に化けているのには驚く。 (T) (撮影:2023.11.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.11.03.更新  

   №497 ジョウビタキ (ヒタキ科)
 今まで何度も登場しているが、この季節の主役級はやはり冬鳥のジョウビタキ。今年は例年より少し早く、10月15日に姿を見せた。縄張り宣言なのか、「ヒッ、ヒッ」という独特の鳴き声が早朝からよく響く。どうやらこのオスがこの辺りを縄張りにしたようだ。木の間を動き回って虫を探している様子。動きが速く近くから写真を撮るのは難しいが、この時だけはキリリととした美しい姿を撮らせてくれた。 (T) (撮影:2023.10.24 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.10.25.更新  

  №496 オオアオイトトンボ (アオイトトンボ科)
 林縁の低い枝にオオアオイトトンボのオスがひっそりと止まっていた。この仲間は他の多くのトンボと違って、翅を「ハ」の字に開いて静止するという特徴がある。初夏から現れるが、寒さに強く11月頃まで姿を見る。体長5cm前後でイトトンボ類より大きいが、飛び回ることはないので目立たない。しかし胸部前半は金緑の金属光沢があり、複眼は青緑色で秋の斜め光線の中でとても美しい。 (T) (撮影:2023.10.22 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.10.23.更新  

   №495 ノビタキ (ヒタキ科)
 今年もノビタキが渡りの途中で立ち寄ってくれた。傾いたススキの穂で体を立てた独特のポーズ。青く澄んだ高い空が良く似合う小鳥(今回はバックがグレーの塀で残念。昨年の№444が青空バックです)。中部高原や北海道などで繁殖し、東南アジアで越冬するのでこの辺りでは春と秋の通過の時しか見ることができない。それだけに姿を見るととても嬉しい。それにしてもこんな小さな体で、遠い距離を渡るというのは驚き。 (T) (撮影:2023.10.14 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.10.19.更新  

  №494 オオスズメバチ (スズメバチ科)
 自宅の高い軒下に、キイロスズメバチの巣が作られていた。大きい巣ではなく、高い場所なので危険を感じることもなく放置していた。ところが、その巣がオオスズメバチに襲われた。気付いた時には巣の一部が破られ、多数のオオスズメバチが群がっている。キイロスズメバチの幼虫を引っ張り出し(白いのが幼虫)、かみ砕いて肉団子にして持ち去る。大あごでかみ殺されるキイロスズメバチ成虫も。これが3日間続いて、巣は全滅した模様。こういう現場は初めて見た。恐るべしオオスズメバチ。 (T) (撮影:2023.10.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.10.15.更新  

   №493 マユタテアカネ (トンボ科)
 爽やかな秋空。田んぼビオトープのそばに鮮やかな色のアカトンボ。ナツアカネかと思ったがちょっと違う。カメラでズームしてみるとマユタテアカネのオスだった。胸部はナツアカネのように赤くならず、せいぜい赤褐色。顔面も白っぽいままで、名前の由来になっている特徴的な眉状斑がある。腹部はナツアカネより一層鮮やかな印象。写真で気付いたが、翅の前端にある紋(縁紋)もきれいな赤。「赤とんぼ」にも色々な種類がある。これを大切にしたいと思う。 (T) (撮影:2023.10.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.10.12.更新  

   №492 ヒメアカタテハ (タテハチョウ科)
 ヒメアカタテハがミゾソバの花に吸蜜に来ていた。世界中に広く分布しているチョウということで、日本でも南西諸島から北海道まで生息するという。春~夏に見られる地域もあるが、この辺りでは今のところ秋にしか見ていない。この地域には移動してくるが、冬の寒さが厳しくて越冬はできないということだろうか。でも、まだまだ観察が足りないので何とも言えない。アカタテハと似ているが、やや小型で色が淡く、後翅の色が異なるので慣れると間違うことはない。 (T) (撮影:2023.10.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.10.06.更新  

  №491 リスアカネ (トンボ科)
 前回のナツアカネと同じくらいの大きさで、翅の先端部が褐色の赤トンボ。今頃からよく見かけるようになるリスアカネ。オスは腹部だけが鮮やかな赤に染まる。リスは動物のリスではなく、スイスの昆虫学者リス氏にちなんだ名。翅の端が黒っぽい赤トンボは他に、もう少し大型のノシメトンボがいるが、これはここ2~3年めっきり少なくなってしまって今年もまだ見ていない。以前はこの時期たくさんいたのに。トンボ類全体が著しく減っている。重大なことだと思うが、気にかける人はほとんどいない…。 (T) (撮影:2023.09.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.09.29.更新  

  №490 ナツアカネ (トンボ科)
 ため池のマコモ群落でナツアカネのペアがゆっくりと飛んでいた。大きく移動することはなく、時折後ろのメスが軽く腹部を上下させる。これはこの時期よく見かけるナツアカネの産卵シーン。この写真ではメスの腹端に白い卵が見え、下方には落下中の卵が写っている。ナツアカネはこのように、空中から卵をばらまくという驚くような産卵習性をもつ。連結状態なら連結打空産卵、メス単独なら単独打空産卵という。 (T) (撮影:2023.09.19 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.09.20.更新  

  №489 ジャコウアゲハ (アゲハチョウ科)
 ジャコウアゲハのメスがオトコエシの花に吸蜜に来ていた。メスの翅はこのような独特の色で、この蝶が軽やかに飛ぶ様は何とも言えない美しさ。今の成虫が今年の最終世代で、このメスたちの産んだ卵が無事育つと蛹の状態で冬を越す。幼虫の食草のウマノスズクサもこのサイクルに合わせるかのように、この時期新たな茎葉を茂らせる。ただ、今年は雨が降らないせいか新葉の成長が良くない。越冬蛹になる幼虫がうまく育つか気になるところ。 (T) (撮影:2023.09.06 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.09.10.更新  

   №488 オオスカシバ (スズメガ科)
 夏の間多くのチョウを集めていたブッドレア(フジウツギ類)。残り少なくなった花にオオスカシバが来ていた。とても速く飛び回りながら、花に止まらずに長い口吻を差し込んで吸蜜している。黄緑色の体にえんじ色の帯、腹端には黒色の毛の束というなかなかおしゃれな装い。スズメガの仲間で、幼虫はクチナシにつく大きなイモムシ。羽化の直後に鱗粉が落ちて透明な翅になるという。羽化の様子を見たいものだ。 (T) (撮影:2023.09.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.09.06.更新  

  №487 ミンミンゼミ (セミ科)
 季節の進行に連れセミの鳴き声も替わってきた。今はツクツクボウシミンミンゼミばかり。このミンミンゼミ、増加傾向なのか近年よく聞くようになった。敏感なセミで、すぐに逃げてしまうが、なんとか撮影できた。胸部や脚の緑色が美しく、ご覧のようにサクラの樹皮のコケや地衣類にうまく紛れるようだ。オスの鳴き声は名の通り「ミーン・ミンミンミン…」だが、近くで聞くと「ビィーン」というような不思議な響きの音を含んでいる。 (T) (撮影:2023.08.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.29.更新  

  №486 ヒメスズメバチ (スズメバチ科)
 ナガコガネグモの大きな巣にアブラゼミが引っかかっていた。時間が経っているようで頭部は外れてしまっている。何かが動いていると思ったら、ヒメスズメバチがセミの肉を採りに来ていた。スズメバチではさすがにクモも手出しできないようで姿はなかった。こういうシーンは初めて見たが、興味深いとともに命の繋がりの美しい場面とすら感じた。恐ろしいとか残酷とかでは決してないと思うのだが、如何だろうか? (T) (撮影:2023.08.22 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.26.更新  

   №485 シオカラトンボ (トンボ科)
 シオカラトンボのメスが体を立てて飛びながら、腹端をさかんに水面に打ち付けている。産卵のようだ。近くをオスが飛び回って警護している。動きが早く撮影は難しいが、運よくその瞬間を捉えることができた。図鑑には「メスは腹端で水をかき、卵とともに前方に飛ばす」とある。拡大してみると確かに単なる水しぶきではなく、粘性のある液体が飛んでいるように見える。次の機会にはこの卵を回収してみたい。ありふれたトンボだけどすごい技を持っているようだ。 (T) (撮影:2023.08.22 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.23.更新  

  №484 カラスアゲハ (アゲハチョウ科)
 クサギの花が満開。この花には夏型の大きなアゲハ類が吸蜜にやって来る。この日はカラスアゲハモンキアゲハ。どちらも大きく美しく、立ち去るまで撮影したり眺めたりで飽きることがない。幼虫の食草はカラスザンショウなどのミカン科植物。カラスザンショウもクサギも自然によく芽生える木だが、邪魔者扱いで幼木のうちに刈られてしまうことが多い。でも、事情が許せば少しでも残しておきたい。こんな真夏の一場面が見られなくなってしまわないように…。 (T) (撮影:2023.08.14 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.19.更新  

  №483 クロマルハナバチ (ミツバチ科)
 この辺りでは「盆花」と呼ぶミソハギ。水不足で花が遅れていたが、お盆に合わせるように満開になった。多くの昆虫が集まるが、最も多いのがこのクロマルハナバチ。後脚の花粉バスケットにしっかり花粉を集めている。今、手入れしている休耕田を彩るのは、このミソハギとオミナエシ。どちらも放置すると他の草に負けて消えていく。推測だが、昔の人がお盆に供えるために田畑の片隅で保護してきた「半栽培」の植物ではないだろうか。 (T) (撮影:2023.08.14 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.15.更新  

  №482 シリアゲコバチ (シリアゲコバチ科)
 冬に備えて薪材を積み上げて乾燥させている。材の中には甲虫類の幼虫が食害した穴が残っているものがあって、何種かのハチがこういう穴を幼虫が育つ場所として利用する。泥で塞がれた穴の付近に珍しいシリアゲコバチが来て、盛んに触角で何かを探っていたが、そのうち材の割れ目から長い産卵管を差し込んだ。中のハチの幼虫を探り当てて産卵したようだ。このハチはそのための長い産卵管を持ち、腹部先端から背中側前方にかけて長く伸びる産卵管の鞘を持っている。小さくて目立たないが、驚くべき習性と形態を持つハチ。 (T) (撮影:2023.08.06 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.09.更新  

   №481 ヤブヤンマ (ヤンマ科)
 毎年この時期にヤブヤンマのメスが家の周りをゆっくりと飛び回る。体長8~9cmの大型のヤンマなのでよく目立つ。時々デッキの板、網戸などで腹端を曲げて産卵のような仕草をする。その場所を確認しても卵は見つからないので、ポーズだけということになる。こんな乾燥した場所でなぜ産卵のような動きをするのだろうか?よく観察するのだけど謎は解けない。 (T) (撮影:2023.08.02 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.08.05.更新  

   №480 ウスバカゲロウ (ウスバカゲロウ科)
 危険な暑さが続く。夕方、林縁部の薄暗い場所にウスバカゲロウがいた。ひらひらと飛んで翅を広げて止まったところを撮影。逆光で背景が黒く潰れてしまったが、薄い翅の脈がが浮き出て面白い写真になった。漢字では薄翅(羽)蜉蝣。幼虫は有名なアリジゴクで、成虫も肉食性ということだが獲物を捕らえたところはまだ見たことがない。水生昆虫のカゲロウ類とは縁の遠い昆虫。 (T) (撮影:2023.07.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.07.30.更新  

   №479 アブラゼミ (セミ科)
 梅雨明け発表の翌日、7月21日からアブラゼミが鳴き出した。「ジリジリ…」という賑やかな鳴き声を聞くと真夏になったと感じる。7月はじめから鳴き始めたニイニイゼミとともに、透明ではない翅をもつが光が透けるとなかなか美しい。いろんな木に来るが、特にゴンズイによく来る(この写真もゴンズイで)。 (T) (撮影:2023.07.22 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.07.23.更新  

  №478 イチモンジチョウ (タテハチョウ科)
 中型のチョウ。イチモンジチョウという名は、前後翅を通して一文字に伸びる白斑に由来。よく似たアサマイチモンジというチョウもいて、この辺りではアサマの方が多くて本種は少ない。幼虫の食草はどちらもスイカズラタニウツギなどのスイカズラ科。同じ食草でも好む環境が異なるようで、本種の方がやや樹木が多い環境を好むようだ。 (T) (撮影:2023.07.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.07.16.更新  

   №477 ナツアカネ (トンボ科)
 再生可能エネルギーへの期待が高まっているのを好機と見たのか。県北部のブナ天然林の尾根線上に大規模風力発電機設置計画が進んでいるそうだ。貴重な自然を大破壊して再エネもないだろう。とんでもない計画が早期に白紙撤回されることを切に願う。すっきりしない天候が続く中、低いササの葉上にナツアカネの未成熟個体。狭い範囲に10頭以上も。オスもメスもいる。写真はメス。成熟するまで緩い集団で過ごすのだろうか。 (T) (撮影:2023.07.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.07.12.更新  

  №476 メスグロヒョウモン (タテハチョウ科)
 オカトラノオ(サクラソウ科)の花にはヒョウモンチョウ類がよく来る。これはメスグロヒョウモンのメス。オスは他のヒョウモンチョウ類と同様赤褐色の翅をもつのに、メスはご覧のような黒っぽい色。地味なようでも、見る角度によって翅の表は青紫色の、裏は薄緑色の輝きを見せて美しい。タテハチョウ科の特徴で、前脚は小さくたたんで、中脚と後脚で止まるので4本脚のように見えるのも面白い。 (T) (撮影:2023.06.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.07.01.更新  

  №475 ブッポウソウ (ブッポウソウ科)
 ブッポウソウの巣箱付近が騒がしい。見に行くと、先にこの巣箱を占有したと思われるペアが巣箱の上にいて、盛んに威嚇の声を上げている。付近にもう1ペアが来ていて、どうやら巣箱を巡る争いのよう。1時間以上も睨み合いが続き、空中で2羽がもつれて草地に落下することも。最後には後からのペアが諦めて退散した模様。もともとキツツキが開けた古い樹洞を繁殖に使っていた鳥で、最近はもっぱら巣箱に依存している。今、荒地が増えるなどで巣箱を減らさざるを得ない状況。今後が心配な絶滅危惧種。 (T) (撮影:2023.06.25 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.06.26.更新  

   №474 ゴマダラチョウ (タテハチョウ科)
 エノキにゴマダラチョウが来た。中型のチョウで翅は白と黒の斑になっている。複眼は橙色で口吻は鮮やかな黄色。すっきりと美しく魅力的なチョウ。図鑑によっては普通と書いてあるが、最近は滅多に見ない。里山環境が以前とは違ってきて、樹液を出す樹木が減っているためかもしれない。近縁のオオムラサキも同じだろう。 (T) (撮影:2023.06.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.06.13.更新  

  №473 ショウジョウトンボ (トンボ科)
 成熟して真っ赤になったショウジョウトンボのオスが現れた。やや冷涼な当地では生きものの賑わいが平地より遅れるが、6月に入ると急に活発に。このトンボも5月から現れ、成熟するのは今頃。オスは鮮やかな赤で夏の訪れを感じさせる。止まっているのはチガヤ(イネ科)の穂。6月の白い穂の風景は美しいが、農業上は駆除困難な強害草でもある。 (T) (撮影:2023.06.03 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.06.07.更新  

  №472 アオスジアゲハ (アゲハチョウ科)
 この青は何と美しいのだろうといつも思う。アオスジアゲハの淡青色の帯は全て同じ色ではなく、微妙に変化がある。この尖った美しい翅で高速飛翔をする。この日はゴンズイの花で長時間せわしなく吸蜜していた。珍しいチョウではないのに、なぜか出会いは嬉しい。しかし、最近は少なくなってしまった。このチョウに限らず「普通種」と呼ばれた昆虫が、めっきり数を減らしている。 (T) (撮影:2023.05.25 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.05.30.更新  

  №471 カラスアゲハ (アゲハチョウ科)
 ノアザミの花が咲いていろんなチョウが集まっている。今日はひときわ目立つカラスアゲハが来た。この個体は右の後翅が傷んでいるが、他はとてもきれい。青緑色の鱗粉が陽に輝く。前翅表の下方に見えるビロード状の黒い部分は、オスだけにあって性標と呼ばれる。生殖に関係する物質を含むらしい。今の時期の春型オスは特に美しいが、見る機会は少ない。 (T) (撮影:2023.05.21 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.05.22.更新  

  №470 キアシナガバチ (スズメバチ科)
 ウメの木にいろんな昆虫が集まっている。不思議に思ってよく見るとアブラムシが大発生していて、それが分泌する「甘露」を舐めに来ている様子。このキアシナガバチ以外にハチ類ではキイロスズメバチコマルハナバチなど。他にはヒメウラナミジャノメなどのチョウ類、ハエやハナアブ類など。それにアブラムシを食べにきているナミテントウナナホシテントウなどもいて見飽きることがない。 (T) (撮影:2023.05.18 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.05.19.更新  

  №469 サトキマダラヒカゲ (タテハチョウ科)
 この時期多数出現するが、飛ばないと分かりにくいチョウ。花を訪れることはなく、樹液や果実などによく集まる。樹の幹で静止していると、翅裏の模様がこのようなので見つけにくい。当地にはこのサトキマダラヒカゲと、よく似たヤマキマダラヒカゲがいるが、サトの方が多い。どちらも幼虫の食草はササ類。 (T) (撮影:2023.05.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.05.14.更新  

   №468 ジョウカイボン (ジョウカイボン科)
 一気に初夏の陽気となり、昆虫類が多く見られるようになった。甲虫類でこの時期最もよく目にするのがこのジョウカイボン。肉食だが花にもよく来る。今日はマユミの花に複数来て、蜜を舐めているようなしぐさ。ジョウカイボンとう珍妙な名は、平清盛の法名である浄海坊に由来するのではという説がある。 (T) (撮影:2023.05.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.05.12.更新  

№467 ビンズイ(セキレイ科)
 ビンズイがこのところしばしば庭に現れる。伸びてきた草に紛れるようにして、草のタネや虫を食べているようだ。上面は地味なオリーブ色で、脚を交互に出して静かに歩くのでわかりにくい。図鑑などには山地で繁殖とあるが、4、5月に見かけるということはこの辺りでも繁殖しているのだろうか。ヒバリに似た長く複雑なさえずりをするということだが、聞いたことがない。いや、聞いているのに認識していないだけかもしれない。 (T) (撮影:2023.04.26 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.04.26.更新  

  №466 コマルハナバチ(ミツバチ科)
 新緑の中で咲くカスミザクラの花も、そろそろ終わり。残った花にコマルハナバチの働きバチが何匹も集まって慌ただしく蜜や花粉を集めていた。花吹雪の中で眺めていると想像が広がる。こうして花粉が媒介されて実ができる、鳥たちが喜んで食べる、鳥たちの消化管を通ったタネが芽生え、やがて育った木がまた花を咲かせる…。さまざまな生きものがいて自然が成り立っている。(T) (撮影:2023.04.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.04.18.更新  

  №465 シオヤトンボ(トンボ科)
 シオヤトンボが現れた。幼虫で越冬するトンボでは一番早く4月に羽化する。未熟個体はオス・メスよく似ているが、これはメス。オスは成熟すると腹部は白粉に覆われるが、メスはそうならない。シオカラトンボを小型にしたような体長4~5cmほどのトンボ。珍しくはないが、春早くの出会いがとても嬉しく感じられる。(T) (撮影:2023.04.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.04.11.更新  

   №464 ホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科)
 春爛漫の陽気。田んぼビオトープで3頭のホソミオツネントンボ♂を見た。どれもすでに水色の体色に変化していた。これからもっと鮮やかな青水色に変化していく。「細身越年」の名の通り成虫越冬という珍しい生態のトンボ。春になってこのような体色になると繁殖期に入る。田んぼビオトープではこれからさまざまなトンボが姿を見せるだろう。やはり水辺の環境は面白い。(T) (撮影:2023.04.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.04.03.更新  

   №463 モンシロチョウ(シロチョウ科)
 近辺のソメイヨシノが満開になった。去年より10日も早いので心配になる。きれいな花や暖かい日差しはとても嬉しいのだけど。昆虫も一気に出現で、この欄の鳥頼みもようやく一段落。成虫越冬のチョウだけでなく、蛹で越冬していたチョウたちも姿を見せるようになった。モンシロチョウのオスがアセビの花に来ていた。この花で吸蜜するチョウを見るのは初めてのような気がする。(T) (撮影:2023.03.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.03.28.更新  

  №462 スズメ(スズメ科)
 小鳥たちのさえずりをよく聞くようになった。ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、イカルなど。さて、ススキの刈草の上に数羽のスズメがいた。餌を探す風でもなく、日当たりを楽しんでいるような気もしたが、本当のところはどうだろう。最後まで残っていたこの2羽はオスとメスのようにも見えるが、スズメは性差が小さいのでよくわからない。そういえばスズメのさえずりはどんなものだろう? サイトで探して聞いてみたら、地鳴きより優しい感じがしたが、これもわかりにくい。最も身近なのにわからないことが多い鳥だ。(T) (撮影:2023.03.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.03.13.更新  

   №461 ヒレンジャク(レンジャク科)
 早くも3月。寒気が緩んで過ごしやすくなった。今日は庭に珍しいヒレンジャクが10羽ほどの群れでやってきた。シベリア東部などから渡ってくる冬鳥だが、年による変動が大きく滅多に見ることがない。メジロ用にリンゴを置いていたのを見つけたようだ。スズメより一回り大きく太目の体つき。鋭くとがった冠羽と黒い過眼線が印象的。体の色彩も複雑で、尾羽の先端は赤。愛鳥家憧れの美しい鳥。(T) (撮影:2023.03.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.03.02.更新  

  №460 メジロ(メジロ科)
 2月19日は二十四節気の雨水。その通り雪ではなく雨が一晩中降り続いた。朝には上がったが日中もすっきりせず、日差しが恋しい。曇り空の中、カラスザンショウの高いところで小鳥の影。よく見ると2羽のメジロが残ったタネを食べているようだった。餌が乏しいこの時期、まだ樹上に残っているタネは小鳥たちには貴重。大切な樹だと思う。光線が良くないので墨絵のような写真になってしまった。(T) (撮影:2023.02.19 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.02.20.更新  

   №459 ヒヨドリ(ヒヨドリ科)
 広場のそばのヤマウルシ。この木の実は一部の鳥たちがとても好む。例年この時期、ツグミ、シロハラ、ジョウビタキ、メジロなどが集まる。もう実はあまり残っていないが、今日も賑わっていた。これはヒヨドリ。果実、種子、花の蜜、野菜の葉などを食べるので、時に害鳥と見なされることも。繁殖期には多くの虫も捕らえるので人間にとっての功罪は両方。ヤマウルシも同様。触れるとかぶれるいやな樹木の側面と、多くの昆虫や鳥の命を支えている重要な側面と。(T) (撮影:2023.02.05 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.02.07.更新  

  №458 ジョウビタキ(ヒタキ科)
 「最強寒波」ということで最低気温が0℃以下の日が2週間ほど続いている。雪景色の中で、ジョウビタキのオスが餌を探している様子。冬鳥には種子食で集団で過ごすものも多いが、ジョウビタキは縄張りを作って単独で過ごす。木の実も食べるが、昆虫やクモなどを好むからだろう。ジョウビタキのジョウは「尉」で銀髪のこと。紋付鳥という別名も横から見ると納得。(T) (撮影:2023.01.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.01.30.更新  

  №457 シロハラ(ヒタキ科)
 虫探しに夢中で気付くのが遅れたようだ。シロハラが慌てて逃げた。前回のツグミと近縁の鳥で大きさも同じくらい。名の通り腹が白いがこのアングルでは見えない。繁殖地の中国東北部などから渡ってくる冬鳥。カキなどの果実も好むが、地面で落ち葉を嘴で跳ね除けて虫を探す姿をよく見る。開けた場所にはあまり出ず、藪があるような林の地面にいることが多い。(T) (撮影:2023.01.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.01.18.更新  

  №456 ツグミ(ヒタキ科)
 ツグミがヤマハゼの実を食べに来ていた。この冬はツグミが少ないと気になっていたが、このところよく見かけるようになった。代表的な冬鳥で、はるかシベリアから群れで渡ってくる。今頃になると群れを解いて単独で餌を探すようになり、木の実や地面の虫などを食べる。派手な色彩はないが、この翼はとても美しいと思う。(T) (撮影:2023.01.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.01.10.更新  

  №455 ヤブコウジ(ヤブコウジ科)
 明けましておめでとうございます。このHPも11年目に入ります。地味なサイトですが、今年も時々開けていただけると嬉しいです。さて、写真はヤブコウジ(最近サクラソウ科となったようですが)。正月の縁起物として寄せ植えに使われる。センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)より小さいので「十両」と呼ばれることも。花言葉は「明日への幸福」とか。世界中の理不尽な苦難を余儀なくされている人々に一刻も早く幸福が訪れますように。(T) (撮影:2022.12.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2023.01.01.更新  

  №454 キンクロハジロ(カモ科)
 車でよく通る道路沿いに中規模のため池があって、毎年冬にはカモ類が来る。今日はヒドリガモとこのキンクロハジロの2種だけ。このキンクロハジロは体長40cmほどの小型のカモ。写真はオスで頭の後ろの冠羽がご愛敬。オスの目(虹彩)が黄色、頭や背が黒、翼の一部が白ということから金黒羽白の名となったらしい。ユーラシア大陸北部からこの小さな体で渡って来るというのはすごい。(T) (撮影:2022.12.25 津山市。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.12.25.更新  

  №453 ハイタカ(タカ科)
 続けてタカ。夕方5時近く、ハトほどの大きさの鳥が近くの枝に止まった。よく見るとタカの仲間。気付かれないようにカメラを持ち出して撮影。10コマほど撮った時に、近くを飛んだ小鳥を追いかけて目の前3mほどの所を高速で通過。すぐに姿が見えなくなってしまった。薄暗いのと枝が込み入っているので、ピントのずれたこの写真しか残らなかったが、大きさと眼の上の白斑からハイタカと判断した。短いがゾクゾクするような幸運な時間だった。(T) (撮影:2022.12.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.12.14.更新  

  №452 ノスリ(タカ科)
 冬に里の開けた場所で見かけるタカ類。今日は田んぼビオトープ付近の電線から地上の獲物を探していた。何度か地面に降りたが獲物を捕えた様子はなかった。今年はこの谷によく現れる。環境整備によって地面の獲物を発見しやすくなっているのかもしれない。鳴き声を聞くことはほとんどないが、先日は上空を旋回しながら「ピーヨー」というようなトビとは少し違う鳴き声を繰り返していた。なぜだろう?(T) (撮影:2022.12.07 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.12.07.更新  

   №451 ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
 例年ジョウビタキより10日ほど遅れてやって来る冬鳥。今年は11月3日に初認。この個体はオスで、顔は黒、その上下はきれいな黄色。胸には涎掛けのような黒斑。警戒すると黒い冠羽を立てる。群れで行動し、樹上から安全を確認すると地上に降りて草のタネを食べる。藪の中からチッ・チッとかすかな声で鳴き交わす声を聞くと、今年も来たと嬉しい気分になる。どの野鳥も愛らしく、とても人の心を癒してくれる存在。(T) (撮影:2022.11.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.11.19.更新  

   №450 ウラギンシジミ(シジミチョウ科)
 雑木林もすっかり晩秋の佇まいになった。黄色く色づいたコナラクリなどの中にヤマウルシウリカエデの紅葉、そして常緑のソヨゴなどが混じるというこの辺りの風景。日当たりの良いクリの葉でウラギンシジミのメスが体を温めていた。以前はこの付近の常緑樹の葉裏で成虫越冬するこのチョウをよく見付けたが、ここ何年か見ていない。今年は冬にも会えるだろうか。(T) (撮影:2022.11.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.11.16.更新  

  №449 オオカワラヒワ(アトリ科)
 バタフライガーデンにしている畑には、毎年こぼれ種からシソやエゴマが育つ。枯れてしまってもそのままにしておくと今の時期に種子食の鳥たちが集まる。今は写真のオオカワラヒワが毎日20羽ほどの群れでやってきては種を食べている。留鳥のカワラヒワとは別亜種で、冬季に北方から渡って来る冬鳥。形態だけでは断定は難しいが、アトリやミヤマホオジロなどの冬鳥と同じような行動が見られるのでオオカワラヒワとして間違いはないだろうと思う。(T) (撮影:2022.11.06 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.11.08.更新  

   №448 カシラダカ(ホオジロ科)
 北斜面の崖の上の道を歩いていると、下の梅林に冬鳥のカシラダカが5、6羽来ていた。そっと撮影していると次々にこちら側の雑木林に飛んできたので、こんな1枚が撮れた。広げた翼のグレーの羽が風切羽(かざきりばね)、それを覆っている茶色の羽が雨おおい羽。頭の上の突き出しているのが冠羽(かんう)。図鑑に出ている鳥の各部の名称がよくわかる。地上で警戒しながら餌を探している時の印象とは全然違う。(T) (撮影:2022.11.03 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.11.03.更新  

   №447 クマバチ(ミツバチ科)
 秋が深まり野の花も少なくなった。セイタカアワダチソウなど外来のものを除くと、リンドウ、アキノキリンソウ、センブリ、そして写真のヤクシソウぐらいか。まだ活動している吸蜜昆虫にとっては貴重な花々。この昆虫はクマバチ(キムネクマバチ)のメス。気温が下がったこの時期にまだ花に来ている。翅も傷んでいない元気そうな個体なので来春まで越冬かな? さてクマバチはどんな場所で越冬するのだろうか? (T) (撮影:2022.10.26 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.10.31.更新  

  №446 スジボソヤマキチョウ(シロチョウ科)
 10月後半でも快晴のこの日は多数のチョウを目撃。あちらこちらの荒地で満開のセイタカアワダチソウにはテングチョウアカタテハなど多くのチョウが集まっていた。その中にスジボソヤマキチョウのメスも。ほどなくメスより黄色味の強いオスが来て盛んに接近を試みるが拒絶され続けていた。見る機会が少ないこのチョウのメス・オスを一緒に見られて幸運。オスは気の毒だったけど。(T) (撮影:2022.10.20 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.10.21.更新  

   №445 ツマグロキチョウ(シロチョウ科)
 今満開のサクラタデ群落に黄色いチョウが来ていた。おやっと思ってよく見たら、つい先日この地で初めて確認したツマグロキチョウ。普通のキタキチョウに酷似しているが、前翅端がやや尖り、後翅裏には斜めにはしる黒っぽい筋。一度見ているからすぐに気が付いた。美しいサクラタデの花々と珍しい蝶。ぼうっとしてしまうような時間。。(T) (撮影:2022.10.12 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.10.13.更新  

   №444 ノビタキ(ヒタキ科)
 たんぼビオトープそばの草はらに今年も渡りの途中のノビタキが来た。快晴のこの日は4個体確認。写真の個体は眼のあたりや喉が黒っぽいのでオスだろう。本州中部以北の高原などで繁殖。この辺りでは春と秋の渡りの時に姿を見ることができるが、機会は少ない。姿勢よくススキの穂などに止まった姿は美しい。この鳥が立ち寄りたくなるような、良い草はら環境を維持したい。(T) (撮影:2022.10.02 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.10.03.更新  

  №443 メスグロヒョウモン(タテハチョウ科)
 毎年9月25日頃にシオンの花が満開になる。その時期の天気の良い日には、様々なチョウがこの花にやって来る。この日も常連のスジボソヤマキチョウアカタテハツマグロヒョウモン、そしてこのメスグロヒョウモンなど。このチョウは名の通りメスだけ翅が黒っぽい。と言っても単純な黒ではなく、白いライン状の斑紋と角度によって青光りを見せる部分。派手ではないけど不思議な美しさの魅力的なチョウ。(T) (撮影:2022.09.25 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.09.27.更新  

  №442 クログワイ(カヤツリグサ科)
 田んぼビオトープに初めて見る植物が現れて群落を作った。調べるとクログワイ。かつては水田の強害草だったが乾田化で激減したという。茎(花茎)の先端に同じ太さの小穂がある。右は小穂から純白の雌しべが出ているところ。雌しべが枯れた後に黄色味を帯びた雄しべが出る(左)。根茎は泥の中を伸びて先端に小さな塊茎を作り冬越しをする。塊茎の皮が黒いのでクログワイの名がある。救荒食として利用されたこともあるらしいがあくが強いとのこと。一度食べてみよう。(T) (撮影:2022.09.12 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.09.19.更新  

  №441 カラスアゲハ(アゲハチョウ科)
 バタフライガーデンにカラスアゲハのメスが来て、ブッドレアやキバナコスモスで活発に移動しながら吸蜜していた。この辺りでは夏にオスが崖などで吸水している場面に出会うことはあるが、あまり個体数は多くないようなので嬉しい訪問客。翅の傷みもなくきれいな個体だった。ブッドレアは英名ではバタフライブッシュと呼ばれるそうで、確かにいろんな蝶が集まる。庭にチョウを呼びたい方にはお勧めの植物。(T) (撮影:2022.09.07 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.09.08.更新  

  №440 ホシホウジャク(スズメガ科)
 キバナコスモスにホシホウジャクが来ていた。スズメガ科のガの一種だが昼行性。決して花に止まることなく、巧みにホバリングしながら長い口吻を伸ばして吸蜜する。まるでハチドリのミニチュア。この仲間には似た種類が多いがこれは最も普通のホシホウジャク。ホウジャクの漢字は蜂雀。ハチのようなスズメガということだろう。幼虫の食草はヘクソカズラ。(T) (撮影:2022.09.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.09.05.更新  

  №439 サンショウクイ(サンショウクイ科)
 桜の木に鳥の群れが来ていた。聞きなれない鳴き声。大きな声ではないが「ヒリヒリン、ヒリヒリン」とよく鳴く。実物は見たことがなかったが図鑑などで知っていたので、これはサンショウクイに違いないと。10羽以上の群れで、木を替えながら30分ほどもいただろうか。ちらりとでも初見は嬉しいのに、しっかり見ることができて幸運。山椒の青い実を食べるとヒリヒリすることからこんな名が付けられたらしいが実際は昆虫食。(T) (撮影:2022.08.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.08.28.更新  

  №438 オオシオカラトンボ(トンボ科)
 田んぼビオトープの水面上を,、オオシオカラトンボのオスがくるくる回りながら飛んでいた。水面近くを見るとやはりメスが産卵中。写真の左下がメスで右上がオス。ハラビロトンボシオカラトンボ、オオシオカラトンボなどのオスは、メスの産卵中このように付近を飛んで警護することが多い。メスは腹端ですくい上げた水と卵を前方に飛ばす、と図鑑にはあるが、そこまでは確認できなかった。(T) (撮影:2022.08.26 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.08.26.更新  

  №437 カワラヒワ(アトリ科)
 公園の、花が終わったヒマワリに近づくと10羽ほどの鳥が飛んだ。確認できず残念と思っていたら、のんびりした1羽が残っていた。カワラヒワの若鳥だった。まだ体が細く、色も淡い。種子食の鳥だから群れでヒマワリの種を食べに来ていたのだろう。自分たちが管理している休耕田の一部にもヒマワリのを植えてあるが、こちらは咲き始めたばかり。訪花昆虫がたくさん来て、花が終わればカワラヒワの群れがやって来る…。今から楽しみ。(T) (撮影:2022.08.19 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.08.19.更新  

  №436 シオカラトンボ(トンボ科)
 強烈な日差しにちょっと休憩とベンチに座ったら、すぐ近くにシオカラトンボのメス。あまりに普通で普段はカメラを向けたりしないが、この個体はとても美しく見えたので撮影。色彩は地味で、子どもの頃は皆が「ムギワラトンボ」とか「ムギワラ」と呼んでいた。写真でよく見ると翅の先端に小さな褐色斑があり(オスにはない)、腹部先端の突起(尾毛)はすっきりきれいな白。こんなことにも気付いていなかった。(T) (撮影:2022.08.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.08.10.更新  

  №435 マユタテアカネ(トンボ科)
 赤とんぼの仲間、マユタテアカネが現れた。これはメスで本種のメスは写真のように翅端が黒くなるタイプとならないタイプがある。正面から見ると顔面に一対の黒い斑紋があり、これを眉に見立てての名。4cmほどの小型のトンボがいたら本種かもしれないので、是非正面に回って顔を確認してほしい。周囲に樹林のある小さな水域で発生するようなので、そのような環境も大切にしてやりたい。(T) (撮影:2022.07.29 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.07.31.更新  

  №434 ベッコウハゴロモ幼虫(ハゴロモ科)
 敷地のクサギの若木に奇妙なものが。これはベッコウハゴロモの幼虫(3個体)。細いトゲ状のロウ物質で体を隠すようにしているが、右側の個体は眼が写っているので全体が分かりやすいだろうか。成虫になるとなくなるので、飛べない幼虫時代に身を守る手段だろう。ハゴロモ科の別種でも幼虫はロウ物質を身にまとう。「ハゴロモ」というのは幼虫時代のこの姿からということだ。(T) (撮影:2022.07.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.07.29.更新  

  №433 ショウジョウトンボ(トンボ科)
 今年も、と言わざるを得ないが気候がおかしい。6月後半は雨が降らず真夏の猛暑。6月28日に早くも梅雨明けが発表された後、7月は変わりやすい不安定な天気。気候変動でこの先ヒトを含む生きものたちへどんな影響が及ぶのだろうか。季節通りにおなじみの生きものが現れると嬉しくなる。これは何度も登場しているショウジョウトンボのオス。成熟して鮮やかな赤になると夏を感じる。(T) (撮影:2022.07.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.07.21.更新 
 

  №432 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)
 ジャコウアゲハのメスがウマノスズクサの周辺をひらひらと飛び回りながら産卵場所を探している様子。どのタイミングでどの葉に産卵するのか分からないし、葉が込み合っているので撮影が難しい。何とか粘ってその瞬間を捉えることができた。今年は産卵が多いが、この近辺で他にウマノスズクサの生育地を知らないので閉じた個体群になっていないか心配。もちろん人間より広い範囲で上手に食草生育地を見つけるのだろうけど。(T) (撮影:2022.07.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.07.14.更新  

  №431 キイトトンボ(イトトンボ科)
 キイトトンボは体長4cmを超える個体が多く、腹部も太くてイトトンボ類としてはがっちりしている。オスの鮮やかな黄色の体色、上下動を伴う独特の飛び方と相まって湿地ではよく目立つ存在。今は産卵時期のようで多くのペアが田んぼビオトープに来ている。写真のようにオスはメスの首(前胸)を腹部先端の把握器でしっかり掴み、直立姿勢で周囲を警戒。メスは腹部を曲げて水中浅いところの植物に産卵する。複数のペアが近い場所で産卵している姿はなかなか面白い。(T) (撮影:2022.06.30 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.07.03.更新 
 

  №430 エナガ(エナガ科)
 今の時期は巣立って間がない若鳥をよく見る。今日はエナガの若鳥の集団と出会った。木の下でそっと様子を見ていると1羽が大きなガの幼虫を捕えた。シャクガ科の幼虫らしいがこの木の色合いとそっくり。うまくカモフラージュしていたはずなのに眼力鋭く見つけたたようだ。若いのにあっぱれ! 咥えたまま飛んで行ったが、さてこんな大物、うまく食べられただろうか。(T) (撮影:2022.06.27 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.06.27.更新  

  №429 ゴイシシジミ(シジミチョウ科)
 ゴイシシジミの名の通り白地に碁石を散らしたような翅の裏。表はほとんど黒褐色だがあまり翅表を見せることはない。小型でもこの碁石模様はよく目立つ。やや薄暗い場所のササの葉上でほぼ毎年見かけるが機会は少ない。幼虫は肉食性でササ類に付くアブラムシを食べるという。このようなユニークな蝶の存続のためには、やはり環境の多様性が大切なのだろう。(T) (撮影:2022.06.12 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.06.14.更新  

  №428 オオウラギンスジヒョウモン(タテハチョウ科)
 ウツギの白い花が咲き始めた。いろんな蝶やハナカミキリ類が好んで集まる。これはオオウラギンスジヒョウモンという長い名の蝶(オス)。速く飛ぶが、この花ではゆっくりと吸蜜。白い花との対比がとても美しい。数年前までは割合普通に見られたが、ここ2、3年急激に減少したように思える。増加傾向のヒョウモンチョウ類もあればこのようなものもいる。個体数の変動はよくあることかもしれないが、この地から姿を消すことが無いように。(T) (撮影:2022.06.03 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.06.04.更新  

  №427 ウラギンヒョウモン(タテハチョウ科)
 初夏を迎え、ヒョウモンチョウ類が飛び始めた。これはウラギンヒョウモン。名の通り後翅の裏側は銀白色の斑紋がよく目立つ。翅の表は橙色に黒いヒョウ紋で、高速で飛ぶ姿、吸蜜の姿も美しい。休耕田の整備で草原環境が良くなったのか、ここ数年数が増えてきている。(T) (撮影:2022.05.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.05.23.更新  

  №426 モンキチョウ(シロチョウ科)
 畑のシュンギクの花は蝶たちに人気があって、いろんな種類が吸蜜に訪れる。これはモンキチョウでこの辺りではとても多い普通の蝶。しかしながら、姿は美しく高速で飛ぶ姿は恰好が良い。幼虫の食草はシロツメクサ、コマツナギなどこれも普通のマメ科植物各種。でも幼虫を見たことがない。そのつもりで見なければ見えないということだろうか。(T) (撮影:2022.05.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.05.21.更新  

  №425 ハルゼミ(セミ科)
 ようやく姿を捉えることができた。4~6月にマツ林で「ムゼー・ムゼー…」と鳴くハルゼミ。ツクツクボウシより一回り小さくて黒っぽい地味なセミ。この辺りでは数は多くない。写真のようにオスの腹部は半透明の袋状になっている。日が照っている時しか鳴かず、日が陰るとすぐに鳴き止む。1頭が鳴き出すと付近の個体も鳴き出すことがよくある。人が近づくとすぐに鳴き止むので、個体数の少ない所では発見は難しい。俳句では松蝉と呼ばれ初夏の季語。(T) (撮影:2022.05.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.05.18.更新  

  №424 モンキアゲハ(アゲハチョウ科)
 ノアザミの花が咲き始めた。アゲハチョウ類やヒョウモンチョウ類などチョウが好む花。敏感なアゲハチョウ類も、この花で吸蜜している時は近づいても逃げないことが多い。今日はまだ翅のきれいなモンキアゲハが来ていた。後翅に淡黄色の紋があるので遠目でもよくわかる。初夏の訪れを感じる花とチョウ。(T) (撮影:2022.05.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.05.11.更新  

  №423 アオスジアゲハ(アゲハチョウ科)
 アキグミの花が満開。香りの良いこの花には昆虫が多数吸蜜にやってくる。ハナアブ類、ハナバチ類そしてチョウ類。今日はアオスジアゲハが来た。このチョウはとても活発で動きが速い。黒い翅に透明感のある水色の帯があって、角度によって色味が違って見える。明るい陽光がよく似合う魅力的なチョウ。でもやはり最近少なくなっているようだ。今の子どもたちはこのチョウを知っているだろうか。(T) (撮影:2022.05.03 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.05.04.更新  

  №422 カラスアゲハ(アゲハチョウ科)
 まだ4月というのに最高気温が25℃まで上がった暑い日。渓流沿い、林縁の草原にカラスアゲハの春型メスが現れた。この辺りでは個体数の少ない種。ミヤマカラスアゲハとよく似ているが前翅表裏の淡色の帯が上に向かって広がることや後翅裏に白帯がない(この写真ではわからないが)ことなどから判断した。露出もピントも良くないが、強い日差しをに輝く翅が美しいのでこの写真を採用。(T) (撮影:2022.04.25 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.04.26.更新  

  №421 ニッポンヒゲナガハナバチ(ミツバチ科)
 満開のローズマリーにこのハチが頻繁にやって来て蜜を吸っていた。動きがとても速く、なかなか良い写真が撮れない。ミツバチと同じくらいの大きさだが、オスの触角が非常に長くて体長よりやや短い程度。メスの触角は長くない。オスのこの長い触角はどう役立っているのだろうか?春にしか現れないハチで季節を感じさせる昆虫の一つ。(T) (撮影:2022.04.17 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.04.18.更新  

  №420 ホソミイトトンボ(イトトンボ科)
 田んぼビオトープに小さくて細いトンボのペアが多数出現し、連結したまま産卵していた。細い体でも胸部の鮮やかな青が目立つ。最初はホソミオツネントンボだと思ったが、どうも違う。写真でよく見るとホソミイトトンボの越冬型だった。成虫で越冬という珍しい生態をもつイトトンボ。成虫越冬だから産卵時期が他のイトトンボ類より1か月以上早い。この辺りでは個体数の少ないイトトンボだと思っていたが、今日は多数がいて驚いた。増えたのだろうか、それとも見落としていただけ?(T) (撮影:2022.04.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.04.14.更新 

  №419 ヒヨドリ(ヒヨドリ科)
 気温が上がり、標高300mの当地でもソメイヨシノが満開になった。ヒヨドリはこの花の蜜を好むようで、時には一本の木に5羽以上集まって賑やかに食事をしている。道路沿いにたくさんのサクラが植えられて、でも花見客が押しかけるわけでもないこの辺りはヒヨドリにはうれしい場所。ソメイヨシノが終わってもヤマザクラやその他のサクラ、そしてカスミザクラと1か月ほどは鳥も虫も人もサクラを楽しむことができる。(T) (撮影:2022.04.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.04.10.更新  

  №418 スズメノヤリ[雄性期](イグサ科)
 続いてスズメノヤリ。この株の花はおしべが成熟して花粉を出している。めしべもまだ枯れておらず、画像を拡大すると花粉が付着しているのがわかる。とすれば、同一花での受精を避けられていないということになるが、雌性期から雄性期への移行期にはそんなこともあるのかもしれない。いずれにせよ、小さな目立たない生きものであっても種を持続するためのよくできたしくみがあって興味深い。野外観察ではルーペやマクロ撮影のできるカメラを持っているといろいろ見えてきて面白い。(T) (撮影:2022.04.05 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.04.06.更新  

  №417 スズメノヤリ[雌性期](イグサ科)
 4月初めの今、休耕田の畔の至る所に咲いているのがスズメノヤリ。茎の高さは10cmほどで、先端の小さな花の集まり(頭花・とうか)が大名行列の毛槍に似ているところから名が付いたという。小さくて地味な花だが、なかなか面白い。写真の花は、今はめしべだけの「雌性期」。赤紫色の部分から突き出ている、細い黄白色のものがめしべ。受精後めしべはしぼんで、おしべが現れ「雄性期」となる。こうして同一花での受粉を避けている。スズメノヤリのようにめしべが先に成熟するタイプは「めしべ先熟」と呼ばれる。(T) (撮影:2022.04.02 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.04.03.更新  

  №416 カシラダカ(ホオジロ科)
 暖かくなって身近な鳥たちも入れ替わってきた。ジョウビタキはいつしか姿を消し、ツバメがやってきた。冬鳥でもツグミやシロハラはまだしばらくは残る。そしてこのカシラダカも。30羽ほどの群れで草地の地面で植物のタネを探していた。オスは夏羽になり、頭部が黒くなって目の上の白いラインがよく目立つ。手前はメスで淡い色。いつまでいるのかよく観察したい。軽トラでゆっくり近づくと急いで逃げることもなく、冠羽も立てない。(T) (撮影:2022.03.30 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.03.31.更新  

  №415 アカガエル幼生(アカガエル科)
 アカガエルの産卵ピークから2週間。無事孵化した個体は大きいものでは2cm以上のオタマジャクシになった。次第に分散していくが、このように集まっている場所もある。水中の柔らかい植物質や、小さな動物質のものを食べて成長する。遅れて産卵されたアカガエルの卵塊に集まっていることもある。卵塊のゼリーを食べているのか、中の卵も食べているのかは確認できていない。この時期になると大型の鳥、アオサギやダイサギが居座るようになる。相当数は食われてしまうのだろう。(T) (撮影:2022.03.28 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.03.29.更新  

  №414 アカガエル卵塊(アカガエル科)
 雨がしばらく降らず、アカガエルの産卵が遅れていた。しかし14日未明にかなり降ったようで、夜が明けても田んぼビオトープではアカガエルの鳴き声がずっと響いていた。そして100個以上の新しい卵塊が見つかった(3月14日の里やま日記)。アカガエル類は平均2000個ほどの卵が透明なゼリーに包まれて1個の卵塊を作るという。新鮮な卵塊はキラキラ輝いてとても美しい。(T) (撮影:2022.03.14 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.03.16.更新  

  №413 テングチョウ(タテハチョウ科)
 昼間の気温が17℃まで上がった。今日は成虫越冬のテングチョウキタキチョウが姿を見せ、一気に春らしい様相となった。このテングチョウは翅を広げて日差しを浴びながらハコベから吸蜜。ハコベはほぼ一年中花を咲かせるので、吸蜜昆虫や種子食の鳥たちにとっては貴重な存在になっているのだろう。それにしても、テングチョウの胸部の毛や前翅基部の鱗粉の美しいこと。今日初めて気が付いた。(T) (撮影:2022.03.11 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.03.12.更新  

  №412 エナガ(エナガ科)
 今日は北風も止み、気温も久しぶりに10℃を超えてようやくほっとするようなお天気。鳥たちの動きも活発で見ていて飽きない。林ではエナガの10羽ほどの群れが休みなく動き回って餌を探していた。逆光で撮った写真はまるで小さなぬいぐるみ。細かい羽毛で全身が覆われているのがよくわかる。小さな体は体温が奪われやすいから防寒は何より大切。夜は風が当たらない藪の中で身を寄せ合って眠るのだろう。(T) (撮影:2022.02.26 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.02.27更新  

  №411 フクロウ(フクロウ科)
 鳥類調査の林縁のコース。カーブを曲がると5mほどの距離に何とフクロウ。すぐには逃げずに振り向いてこちらを見ていたのでシャッターを切ることができた(顔の下は腹ではなく翼)。10数年前、グラウンドの造成工事で山を大きく削ったため近くでは鳴かなくなったと聞いた。ところが昨年は近くの山で繁殖したようで、春には毎晩鳴き声を聞いた。今年も期待できそう。それにしても昼間、こんなに近くでお目にかかれるとは幸運。(T) (撮影:2022.02.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.02.09更新  

  №410 トラツグミ(ヒタキ科)
 バードバスに珍客トラツグミが水を飲みに来た。ツグミより大きくキジバトより小さい。まだら模様でずんぐりした体形。冬に里に下りてくるので、今頃の時期に地面で虫を探す姿をまれに見る。地面を素早く走るかと思えばじっと動かず佇んだり、腰を振ってダンスのようなしぐさをしたりとユーモラス。しかし鳴き声は独特で、主に夏の夜に細く高い口笛のような声で「ヒィー、ヒィー」とさえずる。闇の中から聞こえてくると、わかっていても気味悪い。古くはヌエ(鵺)またはヌエドリと呼ばれた。(T) (撮影:2022.01.31 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.02.01更新  

  №409 ツグミ(ヒタキ科)
 この冬はツグミの群れをよく見る。毎年この時期に鳥たちが集まるヤマウルシにも10羽以上が来ていた。この実は魅力があるようで、何かに驚いて逃げてもすぐにまた戻ってきてはついばんでいた。他にはヤマハゼセンダンなどの実がツグミ、シロハラ、ヒヨドリなどやや大きい鳥たちの貴重な食料になっているようだ。どれも人にはあまり大切にされない木だが、花はミツバチ類が好むし、果実や種子は鳥たちを支えている。生態系の中では重要な存在だろう。(T) (撮影:2022.01.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.01.17更新  

  №408 ジョウビタキ(ヒタキ科)
 何度も登場してもらっている冬鳥のジョウビタキ。今冬はオスが我が家の周辺をなわばりにしたようだ。オスは美しい体色で頭部は銀白色、翼にはくっきりとした白斑がある。名前のジョウは「尉」で銀髪のことだそう。モンツキドリと呼ぶ地方もあるそうだがこれは「紋付鳥」でわかりやすい。畑を耕したり、薪割りをしていると虫が出てくるのを期待するのか、近くでお辞儀をするように首を振りながらこちらを見ていたりする。愛らしい鳥だ。(T) (撮影:2022.01.08 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.01.10更新  

  №407 ヤブコウジ(ヤブコウジ科)
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。「岡山中北自然観察誌」も10年目に入ります。我ながらよく続けられたものです。なかなかレベルアップもできませんが…。今年こそこのヤブコウジの実のように皆が仲良く円満に過ごせる世であってほしいものです。私たちも子や孫やその先の世代の幸福のために、ささやかでも今できることをしなければ。(T) (撮影:2021.12.31 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2022.01.01更新  

  №406 ヤマガラ(シジュウカラ科)
 すっかり葉を落としたネムノキの枝で2羽のヤマガラが盛んに動き回っている。枯れた実の鞘を取って、枝の上で中の種子を取り出している様子。すぐに食べるのか貯蔵するのかは確認できなかったが、ネムノキの種子も利用するのは初めて知った。ネムノキの鞘は冬の強風にも耐えて枝に残り、春先に地上に落ちる。早くに発芽して幼木が凍死したり、地上でネズミなどに食われないようなうまくできた仕組みだと思うが、ヤマガラにすれば食料の乏しい時期に樹上で安全に食料を得られるありがたい木ということになるのだろう。(T) (撮影:2021.12.21 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.12.22更新  

  №405 ヒメアカタテハ(タテハチョウ科)
 今日はこの時期としては珍しい快晴で、風もなく暖かな一日。落ち葉が積もった庭に2種のチョウが来た。このヒメアカタテハキタテハ。ヒメアカタテハは秋によく見るチョウだが、12月は初めて。図鑑を見ると「成虫でも越冬」とあった。この個体も今日は日光浴をしてまたどこかに潜り込むのだろうか。落ち葉に紛れるとすぐに分からなくなってしまう。(T) (撮影:2021.12.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.12.09更新  

  №404 コゲラとエナガ(キツツキ科、エナガ科)
 今日は前線通過で冷たい雨。そんな中でもケヤキの幹にはコゲラやエナガが頻繁に来ている。ケヤキの剝がれかけた樹皮下に潜むアブラムシ類などがお目当てのようだ。エナガをカメラで狙っていたらコゲラが現れてニアミス。コゲラがちょっと威嚇するとエナガは慌てて逃げた。寒い時期には混群を作り仲良く行動している両者。こんな瞬間は初めて見た。(T) (撮影:2021.11.22 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.11.22更新  

  №403 ノスリ(タカ科)
 ここ3日ほど変わりやすい天気。晴れ間が出ているかと思うと、急にザッと雨が降ったりする。この時雨をこの辺りでは「きたけ」という。大陸からの寒気が山陰地方に雨や雪を降らせる時、雲の一部が山陽北部にも流れ込むということらしい。この時期からよく姿を見せるタカの一種ノスリ。棚田の中の電柱の上から、鋭い眼で地上の獲物を狙っている。(T) (撮影:2021.11.12 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.11.12更新  

  №402 ホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科)
 ホソミオツネントンボは漢字では細身越年蜻蛉。成虫で越冬する珍しい生態のトンボ。体長3~4cm。夏に羽化して越冬前はこのような地味な色。晩秋・早春の天気の良い日には、このような状態で細い枝などで静止している姿を見つけることがある。見事なカモフラージュ。春の繁殖時期には青い色に変わるので不思議。もっともこの個体はメスなのでオスほどには鮮やかな色にならない。(T) (撮影:2021.11.05 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.11.09更新  

  №401 ルリタテハ(タテハチョウ科)
 今年最後のチョウ類調査。チョウの数がめっきり減って、記録できるのはテングチョウキタキチョウなど成虫越冬のものと、ヤマトシジミツマグロヒョウモンなど晩秋まで生存するものに限られてきた。これは成虫越冬のルリタテハ。木の幹で日光浴をしていた。越冬中の個体は見付けたことがないが、どんな場所でどのように冬を越すのだろうか。(T) (撮影:2021.11.05 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.11.05更新  

  №400 ジョウビタキ(ヒタキ科)
 冬鳥のジョウビタキを今年は10月22日に確認した。例年通りの時期。独特の「ヒッヒッ」という声を聞くと何だか嬉しくなる。今日はオスが水浴びに来た。この鳥がバードバスを利用するのは初めて。それにしては長い間入念に水浴びをしていた。よく来るヤマガラなどより深く体を沈めてダイナミック。写真では分かりにくいが、手前にグレーの頭があって顔はこちらから見て左側を向いている。翼の白斑がよく見えている。本欄の№4№57№283№312№363、№,364もジョウビタキ。(T) (撮影:2021.11.03 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.11.03更新  

  №399 ノビタキ(ヒタキ科)
 ちょっと期待しながらフィールドに出ると、いました!1羽だけだったが移動途中のノビタキ。色が淡いのでメスのよう。これから南の越冬地へ向かう途中。中部地方以北で繁殖し、東南アジアなどで越冬する。今年は春と秋に姿を見ることができた。これはうれしい。春の当欄(4月9日4月26日)ではツグミ科としていたが、分類の見直しでツグミ科がヒタキ科に統合されたのを最近まで知らなかったため。不勉強デス。(T) (撮影:2021.10.24 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.10.25更新  

   №398 キタキチョウ(シロチョウ科)
 ヤマハッカの小群落にキタキチョウが5、6頭集まって熱心に吸蜜。秋型の本種は翅裏の黒点が目立ち、翅表外縁の黒はほとんどないので夏型とはちょっと違う印象。ヤマハッカ(シソ科)の花は上の花弁(上唇という)は立ち上がり、下のもの(下唇)は内に巻いて突き出すのでキツネの顔のよう。「下唇に虫が止まると中の雄しべと雌しべが顔を出す」と図鑑にある。うまくできたものだ。(T) (撮影:2021.10.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.10.10更新 

№397 アオマツムシ(マツムシ科)
 今日から10月。朝晩肌寒さを感じる季節となった。夜、外に出ると様々な虫の音。でも今日は朝からサクランボの木で、聞きなれたアオマツムシの声。すぐ近くで鳴いていても木の葉に紛れて見つけられないことが多いけど、今日はスッと目に入ってきた。翅を立ててリーリーリーとよく通る声(翅をすり合わせる音)を。中国から来たとされる外来昆虫。本家のマツムシは最近声を聞かなくなってしまって寂しい。(T) (撮影:2021.10.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.10.01更新  

  №396 スジボソヤマキチョウ(シロチョウ科)
 滅多に姿を見ないスジボソヤマキチョウ。毎年9月下旬になると、少数ながらシオンやシラヤマギクに吸蜜に訪れる。シオンの花が咲き始めると、そろそろかなと気になる。モンシロチョウなどより一回り大きく、透けるような黄色の翅がシオンの紫とよく調和して見飽きることがない。幼虫の食草はクロウメモドキなど。成虫越冬で、2、3月頃にすっかり色褪せた個体を見ることがまれにある。(T) (撮影:2021.09.23 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.09.26更新  

  №395 ヒガンバナ(ヒガンバナ科)
 台風一過の爽やかな好天。こんな言葉を使うのも久しぶりで、このところ台風の様子もかつてとは違う気がする。そんな中でも例年通りの時期にヒガンバナが満開になった。この田の畔はヒガンバナを保全するように管理しているので、年々株が増えてきている。ユニークな生活環をもつ植物で今は花茎だけが地上に出ている。そういえばこの欄の第1号(№1)が冬のヒガンバナだったので、そちらもどうぞ。(T) (撮影:2021.09.18 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.09.19更新  

  №394 アゲハとクロアゲハ(アゲハチョウ科)
 去年の秋から準備して、バタフライガーデンを作った。ブッドレア、キバナコスモス、ヒャクニチソウが開花中。今月になってたくさんの蝶が来てくれるようになった。今日はクロアゲハ♀(中央)がしばらく滞在。そのうちクロアゲハ♂(右)がつきまとうように。さらにアゲハ(左)もやってきて豪華揃い踏み。クロアゲハはご覧の通り♀と♂でかなり違う。特に♀は個体差も大きいようで、この個体は後翅の青白色鱗がとても美しかった。クロアゲハのページに写真を追加したのでそちらでどうぞ。(T) (撮影:2021.09.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.09.11更新  

  №393 ヤマガラ(シジュウカラ科)
 先月下旬からヤマガラが頻繁にエゴノキの実を採りに来ている(8月29日の里やま日記)。鈴なりだった実も残りわずかになってきた。撮影はなかなか難しい。細かい枝が入り組んで邪魔をするし、ヤマガラが狙った実を咥えて飛び立つまでは実に素早い。50回以上シャッターを切って見られるのは2,3コマだけ。そのうちの1コマ。露出もピントも良くないですが…。(T) (撮影:2021.09.06 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.09.06更新  

  №392 ミヤマカラスアゲハ(アゲハチョウ科
 昨夜は久々のまとまった雨。渓谷沿いの崖でミヤマカラスアゲハが吸水をしていた。青緑色に輝く鱗粉が美しい。本種に限らずチョウの吸水行動が見られるのは若いオスだけで、オスの生殖活動に必要な塩類を吸収しているらしい。前翅下方の黒いビロード状の部分はオスだけに見られるもので「性標」と呼ばれる。この辺りではカラスザンショウが幼虫の食草になっているのだろう。(T) (撮影:2021.09.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.09.02更新  

  №391 アカタテハ(タテハチョウ科)
 「今年は梅雨が2回あったみたい」。こんな話が出るような長雨だった。そして「2度目の梅雨明け」後は再びの酷暑。きつい日々が続くが、ここはほっと一息つける場所。ミソハギ群落。年々株が増えて結構大きな群落になり、今の花の時期には多くの昆虫が集まる。今日はアカタテハが長い時間熱心に吸蜜。翅の裏もなかなか美しい。(T) (撮影:2021.08.26 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.08.27更新  

  №390 マユタテアカネ(トンボ科)
 前線停滞で降り続く雨が、今日は一時休止。午後には日差しもあって昆虫たちが活発に活動。本来のこの時期らしくなった。ササの葉の上に一匹の赤トンボ。腹部だけが鮮やかな赤、顔面の眉状斑。マユタテアカネのオスだ。毎年必ず見られるが数は多くない。よく見るナツアカネと比べると、同じ赤でも少し違う。うまく表現できないが、何とも魅惑的な赤。(T) (撮影:2021.08.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.08.16更新  

  №389 クロアゲハ(アゲハチョウ科)
 暦の上では秋になったが、連日35℃前後の気温になり、雨もほとんど降らない。薄暗い森の中、クロアゲハのメスが翅を休めていた。この時期にはアゲハ類の夏型が現れているが、花壇などでは姿を見ずに森の中でよく見かける。暑い時間を避けて吸蜜に行くのだろうか。ちなみに此処は№388のカトリヤンマがいたのと同じ場所。昆虫たちもなんとか酷暑を凌いでいるようだ。(T) (撮影:2021.08.07 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.08.08更新  

  №388 カトリヤンマ(ヤンマ科)
 小さな森を抜ける薄暗い道。カトリヤンマのオスが枝に静止しているのを見つけた。当地では初見。体形はすらりとした細身で、腹部前方は大きくくびれている。複眼はくすんだ緑色で大きい。オスの腹部先端の突起(尾部上付属器)はとても長い。以前は、夕方になると軽やかに飛びながら蚊などを捕える姿が普通に見られたが、最近は全国的に激減しているよう。うれしい再会。(T) (撮影:2021.07.27 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.07.30更新  

  №387 チョウトンボ(トンボ科)
 チョウのようにひらひらと舞うように飛ぶチョウトンボ。オスは写真のように黒藍色の翅で、真夏の光を反射して美しく輝く。近くのため池に毎年多数が姿を見せる。以前は町に近いところでも普通に見られたが、今はどうだろうか?メスの翅は青みがないが、メスでもオスのような翅を持つオス型と呼ばれるタイプがいるそうだ。注意して観察したい。(T) (撮影:2021.07.19 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.07.22更新  

  №386 トラマルハナバチ(ミツバチ科)
 庭の一角にアキノタムラソウ(シソ科)の群落がある。「秋の」と付いているが今頃が花のピーク。毎年この花に必ずやってくるのがこのトラマルハナバチ。目まぐるしく動き回って蜜と花粉を集め、花粉はいつの間にか後脚の花粉バスケットに貯まっていく。少し離れたガクアジサイにはクロマルハナバチが来て同様に蜜と花粉を集めている。ハチの好みが違うと言ってしまえばそれまでだけど、多様な生物が重層的に作り上げている生態系の巧妙さの一端を見ているのかなとも思える。(T) (撮影:2021.07.16 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.07.18更新  

  №385 シジュウカラ(シジュウカラ科)
 シジュウカラ若鳥の水浴びが愛らしいのでもう一コマ。このコマの直前には右の親鳥が水浴びをして、傍らで左の若鳥が熱心に見ているシーンがあった。そして、これは若鳥が実行するのを親鳥が見守っているところ。鳥の場合、生きていくのに必要なことの多くはこのように巣立ち直後に親が子に教える。そのあたりは哺乳類と変わらない。熱心に教えたためか、親鳥はいつになく全身ずぶ濡れになっていた。(T) (撮影:2021.07.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.07.09更新  

   №384 シジュウカラ(シジュウカラ科)
 このところシジュウカラの若鳥が頻繁に水浴びにやってくる。成長具合からすると6月22日にこの近くの巣箱で巣立ったきょうだいかもしれない(6月22日の里やま日記)。まだ親と行動を共にしていて、水浴びも親から教わったようだ。最初はおっかなびっくりだったが、すっかり慣れて上手になった。メジロやエナガの若鳥たちと一緒の時も。何ともほほえましい。(T) (撮影:2021.07.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.07.05更新 

  №383 コシアカツバメ(ツバメ科)
 5月に№380でコシアカツバメの泥集めを紹介したが、まだ続いている。今度は田ではなく、広場の水たまり。巣の補修を続けているようだ。また次の子育てをしているのかもしれないが、よくわからない。コシアカツバメは泥集めではなくても、数羽で地面に下りて集まっていることがよくある。「またミーティングだ」などと言っているが、本当は何をしているのだろうか?普通のツバメより一回り大きくて恰好が良く、愛嬌も感じる魅力的な鳥。(T) (撮影:2021.06.19 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.07.03更新  

  №382 ミズイロオナガシジミ(シジミチョウ科)
 クヌギコナラナラガシワなどブナ科の植物を食草とするシジミチョウ類は、この辺りではおそらく本種とアカシジミウラナミアカシジミムラサキシジミの4種。ムラサキシジミ以外の3種は年1回だけ成虫が現れ、それがちょうど梅雨時期の今頃。里山地域には今でも上記のブナ科植物が多いが、これらの蝶は稀にしか見ない。薪炭材としての利用がなくなって、雑木林の手入れがされなくなったことが要因ではないだろうか。(T) (撮影:2021.06.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.06.16更新  

  №381 メジロ(メジロ科)
 朝、木の枝に1羽のメジロがいた。青緑色のガの幼虫らしいものを咥えている。カワセミなどが捕らえた魚でするように、首を振って獲物を枝に叩きつけている。そうして腸の内容物を出してから飲み込んだ。写真は飲み込む直前。メジロといえばツバキなどの蜜を吸う姿がお馴染みだが、今日は精悍な昆虫ハンターの一面を観察させてもらった。(T) (撮影:2021.06.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.06.02更新  

  №380 コシアカツバメ(ツバメ科)
 大型施設のモルタル壁に毎年コシアカツバメが多数の巣を作る。普通のツバメと違ってトンネル状の泥壁。古い巣を補修しながら使っているようだ。施設に隣接する田植え直前の水田。多数のコシアカツバメが巣材の泥を集めに来ている。水田の泥は粘土質で丈夫な巣作りには最適。泥のお礼にイネの害虫をたくさん捕まえることだろう。(T) (撮影:2021.05.23 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.05.24更新  

  №379 コマルハナバチ(ミツバチ科)
 梅雨入りが例年より3週間も早い異様な年。今日は貴重な晴れ間で、昆虫たちが活発に動く。満開のエゴノキには多数のコマルハナバチ。下向きに咲いた花にうまく潜り込んで蜜や花粉を集めている。この個体の花粉バスケットには黄色い大きな塊が。うまく集めるのものだと感心する。下向きに咲く花の場合、ぶら下がりが得意な昆虫でないといけない。この花とこのハチ。お互いに依存するところが大きいのだろう。(T) (撮影:2021.05.19 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.05.20更新  

  №378 クロスジギンヤンマ(ヤンマ科)
 補修を終えてしっかり水が溜まったビオトープ池。水の濁りが収まると、早速クロスジギンヤンマが産卵にやって来た。水中に差し込んだ腹部をグッと曲げて植物の組織中に産み付けているようだった。近縁のギンヤンマと違ってオスメスの連結産卵は行わず、メスが単独で産卵する。このような小さな池が好みのようだ。(T) (撮影:2021.05.13 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.05.15更新  

  №377 ホオジロ(ホオジロ科)
 今日は天気が良く、日中は汗ばむほどの気温。水が入り始めた田の防獣柵にオスのホオジロが1羽。口一杯に獲物を咥えている。写真で見ると3~4匹の虫。ガの幼虫のようだがよくはわからない。普段は種子食で、繁殖期には昆虫も捕らえるということだ。このオスもヒナのため巣に持ち帰るところだろうか。それにしても、どうやって複数の虫を咥えるのだろう?いつも不思議に思う。(T) (撮影:2021.05.10 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.05.11更新  

  №376 ビンズイ(セキレイ科)
 続けてビンズイ。5月4日に今度は2羽でやってきて地面で餌を探していた。とするとこの近くで繁殖している可能性が高いのか? そのうちの1羽がバードバスに来て水浴びを始めた。そこへメジロが1羽。写真ではビンズイが怒っているように見えるがそうでもなかった。ただ、お互いに見慣れない相手に戸惑い気味の様子でちょっと愉快だった。(T) (撮影:2021.05.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.05.06更新  

  №375 ビンズイ(セキレイ科)
 イチジクの木に見慣れない鳥が…。よく見ると胸に特徴的な縦の斑紋があるビンズイ。冬に地上で採食する姿は何度か見たが、この時期は初めて。もう少し山地で繁殖すると思っていたが、この辺りでも繁殖するのだろうか。それとも山地への移動の途中? よく見るセキレイ類とは色彩・斑紋が全然違うが、尾を上下によく動かす点は同じ。(T) (撮影:2021.05.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.05.01更新  

  №374 ノビタキ(ツグミ科)
 4月7日にオスのノビタキを見た(№371)のと同じ場所で再び1羽に遭遇。軽トラに乗っていたので、そのままゆっくりと接近し車中から撮影。思ったより近づくことができ、かなり大きく撮れてトリミングしても画質劣化はなかった。スズメ大で頭部や翼は淡い色。オスはこの時期には黒い夏羽に変わっているので、この個体はメスのよう。ススキの穂や杭の先に止まって、時々地面に舞い降りる。ぱっちりとした可愛い眼をしているが眼力もすばらしく、小さな虫を見事に捕らえる。(T) (撮影:2021.04.24 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.04.26更新  

  №373 アゲハ(アゲハチョウ科)
 まだ4月なのに一気に初夏の気温。例年より少し早くアゲハ類の蝶を見かけるようになった。これはアゲハ(ナミアゲハ)。自宅のデッキで飼育していたものが今日羽化した。春型と呼ばれる小型の個体。蛹から出て1時間もしないうちに飛びっ立った。でもすぐに庭のヒメオドリコソウに静止。吸蜜ではなく休憩のよう。たまたま花に来たハチ(ハキリバチ類?)にもピントが合っていたので春らしいこのコマを採用。(T) (撮影:2021.04.21 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.04.21更新  

  №372 ニホンアナグマ(イタチ科)
 交通量の少ない山間部の道路を軽トラで走っていると、前方右手の山からニホンアナグマが出てきて、ゆっくりと道路を横断するのが見えた。幸い望遠カメラを助手席に置いていたので、車を停め窓を開けて撮影。何コマか撮れてフッと一息ついた途端、後ろからさらに2頭が現れて同様に横断。どれも若い個体のようだった。滅多にない幸運。写真を拡大すると鋭い爪が良く目立つ。№32にニホンアナグマの幼獣の写真があります。(T) (撮影:2021.04.09 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.04.11更新  

  №371 ノビタキ(ツグミ科)
 近所の草地の杭に見慣れない鳥が2羽いた。望遠カメラのファインダーに写ったのは、すでに黒い夏羽に変わったノビタキのオス。渡りをする鳥で、国内では北海道や中部地方以北の高原などで繁殖する。冬は南方へ移動するのでこのあたりでは渡りの時期にだけ見られる。秋の渡りの時期には当地でも姿を見るが(№349)春は初めて。ここで夏羽のノビタキに会えるとは思っていなかった。しかしすぐ移動したようで、その後は会えない。(T) (撮影:2021.04.07 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.04.09更新  

  №370 カルガモ(カモ科)
 旭川の支流にペアらしいカルガモがいた。渡りをしないので年中普通に見られ、カモ類では珍しく雌雄の姿がよく似ている。オスの方が黒っぽいということなので、左側がオスだろう。カルガモというとヒナを連れての引っ越しがよく話題になる。何故危険を冒してまで…と思うが、この鳥はヒナに自力で餌を採らせるので、餌が豊富で安全な場所にヒナを連れて何度も移動する必要があるということらしい。(T) (撮影:2021.04.01 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.04.06更新  

  №369 アカタテハ(タテハチョウ科)
 今年は桜の開花が早い。種類によってはもう満開を迎えている。アカタテハが吸蜜に来ていた。一つの花に長く静止して空腹を満たしているようだった。そろそろ様々な蝶が現れる季節。今年は畑に蝶が好む花をたくさん植える予定なので、多くの種類が見られることを期待している。(T) (撮影:2021.03.27 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.03.28更新  

   №368 ホトケノザ(シソ科)
 車で走っていると所々に「おや、レンゲソウ?」と思う赤紫色の花畑。でもレンゲソウの花の時期には少し早すぎる。よく見るとこれはホトケノザ。この植物は時折このような大きな群落を作る。畑の雑草としては厄介な植物でもあるが、こんな風景は悪くない。「春の七草」のホトケノザはこれではなく、コオニタビラコというキク科の植物。(T) (撮影:2021.03.25 津山市。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.03.26更新 

  №367 ジョウビタキ♂(ツグミ科)
 気温が18℃まで上がって一気に春本番。桜のつぼみも膨らんで、いろんな蝶が姿を見せた。畑ではここをなわばりにしているオスのジョウビタキが活発に活動。近くを耕運機で耕したので、現れたミミズや昆虫を探しているのだろうか。去年の10月中旬からちょうど5か月間いたが、いよいよ旅立ちの時。(T) (撮影:2021.03.15 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.03.16更新  

  №366 モンシロチョウ(シロチョウ科)
 天気はすっきりしないが、気温は10℃を超えるようになり過ごしやすくなった。モンシロチョウが頼りない飛び方で現れた。テングチョウキタキチョウのような成虫越冬の蝶はすでに姿を見ているが、蛹越冬の蝶はこれが初見。ちょっと早すぎるような気もするが大丈夫だろうか。畑ではお馴染みの蝶だが、出現期や雌雄によって翅の紋や色味が微妙に異なる。これは春型のオス。(T) (撮影:2021.03.04 美咲町。画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.03.06更新  

  №365 ニホンアカガエル卵塊(アカガエル科)
 田んぼビオトープに昨夜産卵されたニホンアカガエルの卵塊。黒い粒々が卵で、透明なゼリーに包まれている。1卵塊には数百~2000個ほどの卵が含まれているという。産卵直後は球形でゼリーの透明感が強くとても美しい。まだ水温も低い早春に産卵するのは、天敵を避けて早くオタマジャクシを成長させる戦略だと言われている。ただ、アカガエルが産卵できるような水環境が激減しているので今後が心配。(T) (撮影:2021.03.03 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.03.04更新  

  №364 ジョウビタキ♀(ツグミ科)
 続いてジョウビタキでこれはメス。オスは胸から腹にかけてきれいなオレンジ色をしているがメスの腹面は地味。でも愛嬌があって可愛い鳥。ヤマウルシの残った実を食べていた。ソヨゴコバノガマズミなどの実もすっかりなくなってしまったが、この実はまだ残っている。いろんな鳥が食べるが、多くは食べない。弱い毒成分があるのかもしれない。とすれば、多くの鳥に食べてもらうための素晴らしい戦略ということになるが、確かめたわけではない。(T) (撮影:2021.02.20 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.02.22更新  

  №363 ジョウビタキ(ツグミ科)
 日中の気温が10℃を超える日が多くなり、日長も伸びて春近しを感じさせるようになってきた。この時期になるとこのジョウビタキやツグミ、カシラダカなどの冬鳥が冬枯れの田や畔、草の少ない空地などの地面によく降りている。草の根元に潜む虫や地面に落ちている種子などを探すのだろう。ジョウビタキは秋に渡ってくるのも早いが、春にいなくなるのも早い。もうそろそろそんな時期かもしれない。この個体はオス。メスの写真は№312にあります。(T) (撮影:2021.02.10 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.02.12更新  

  №362 メジロ(メジロ科)
 今朝は-6℃まで冷え込んだが、日中は明るい日が差してほっとするような一日。メジロが枝に挿したミカンを食べに来た。虫も食べるが花の蜜や果実が大好物。ヤブツバキが咲きだすと蜜を吸いによくやって来る。スズメより小さくてスマート。とても敏捷で、オリーブ色の体色も常緑樹の葉に紛れると全く分からなくなってしまう。小さくても環境にうまく適応して逞しく生きている。(T) (撮影:2021.01.30 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.01.30更新  

  №361 シロハラ(ツグミ科)
 再び強い寒波で、今朝は4~5cmの積雪。そんな中、雪が少ないヤマザクラの根元にシロハラがいた。落ち葉を嘴で跳ねのけては餌探しをしている。頭部が黒っぽく、全体の色も濃いのでオス。ツグミとほぼ同じ大きさの冬鳥。畑や人家付近でよく見かけるが、近づくと暗い林の中に逃げ込む。カキの実などもよく食べに来ていたが、今頃はもっぱら落ち葉の下のミミズなどを探している。カメラを向けて緊張させてしまったようだ。(T) (撮影:2021.01.19 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.01.19更新  

  №360 コゲラ(キツツキ科)
 この冬一番の冷え込みとなった朝、ケヤキにコゲラが来た。盛んに幹をつついている。時々樹皮の一部が剥がれて落ちる。別のコマでごく小さな虫をくわえた瞬間も撮れていた。この尖った嘴は樹皮下の小さな虫を探したり捕らえたりするのにとても役立っているようだ。スズメ大の愛らしいキツツキ。見飽きることがない。(T) (撮影:2021.01.09 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.01.12更新  

  №359 ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
 畑の地面ででミヤマホオジロが何かを食べている。写真で確認したらイネのモミ。ナタネの根元の敷き藁に残っていたようだ。今朝の最低気温は-7.5℃と凍えるような寒さ。こんな中で体の小さな鳥が体温を維持しているというのは驚き。羽毛の効果だけでなく何か優れた仕組みがあるのだろう。この個体は顔が褐色で眼の上の黄色が淡いのでメス。割合近い距離でも逃げなかったが、緊張はしていたようで、ずっと冠羽を立てていた。(T) (撮影:2021.01.08 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.01.08更新  

  №358 ナンテン(メギ科)
 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。当地は何年かぶりで雪化粧の年明け。去年はコロナ禍で大変な年に。今年は何とか早くに状況が好転してほしい。雑木林の林縁に雪を被った赤い実が美しかった。正月飾りなどでお馴染みのナンテン。「難を転ずる」に通じるとして縁起のよい木とされる。山野でも見かけるが、元々日本に自生はなく、庭木や園芸品が逸出したものに由来するという説がある。そんな気もする。(T) (撮影:2020.12.31 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2021.01.01更新  

  №357 ツグミ(ツグミ科)
 ツグミがバードバスに水を飲みに来た。晩秋にやってくる冬鳥でムクドリほどの大きさ。赤茶色の翼と腹部のうろこ模様が特徴。例年通り11月中旬頃にやってきた。いつもの年なら、最初は10~20羽ほどの群れで行動し1月頃から単独でいることが多くなる。しかし今年は初めから単独か少数でいる姿ばかり目にする。たまたまかもしれないが、ちょっと気になるところ。(T) (撮影:2020.12.22 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.12.22更新  

  №356 ウグイス(ウグイス科)
 このところ毎朝、竹やぶでウグイスの「ジャッジャッ」という笹鳴きの声が響いている。ほとんど姿は見せない鳥だが、この日は少しだけ出てきてくれた。早春からのさえずりは美しくよく響くので、さえずり始めは人々の話題に上る。しかし最近のニュースでは、気象庁は「生物季節観測」を年明けから大幅に縮小し、ウグイスの初鳴き日など動物の観測は全廃するという。観察しにくくなったということらしいが、寂しい話。(T) (撮影:2020.12.05 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.12.08更新  

  №355 コゲラ(キツツキ科)
 早くも12月。この時期の朝の楽しみは、葉を落として明るくなった林での鳥たちとの出会い。今朝はエナガの群れにヤマガラとコゲラが混じっていた。混群といって冬には普通に見られるが、争うこともなく一緒に餌探しをしている。同じ木でも探す餌や方法が微妙に違うので競合することはなく、互いにメリットの方が大きいのだろう。写真はコゲラ。スズメ大の可愛いキツツキで、嘴で木をコツコツつついて内部に潜む虫などを探している。(T) (撮影:2020.12.01 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.12.01更新  

  №354 ショウリョウバッタモドキ(バッタ科)
 今まで見たことがなく、この辺りにはいないと思っていたショウリョウバッタモドキがいた。体長3~4cmほどですらりとしている。触覚はやや長いが後ろ脚は長くはなく、体にピタリと寄せているので見つけにくいかもしれない。名の通りショウリョウバッタに似たところもあるが、頭部の尖り方が弱く、後脚の腿節が短い。もっと丁寧に探してみよう。 (T) (撮影:2020.11.25 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.11.26更新  

  №353 モズ(モズ科)
 よく草刈りされた広場。近くの木からモズが舞い降りて何かを捕らえたようだった。くわえたまま飛び去って獲物が何か、その時にはわからなかった。写真で確認すると大きなメスのショウリョウバッタのよう。このバッタは草の中にいるとほとんど気づかないような色・形をしているが、モズの鋭い眼を逃れることはできなかったようだ。貴重な瞬間に出会うことができた。このモズはオス。メスよりはっきりした色で、翼に小さな白斑があるので区別は容易。(T) (撮影:2020.11.08 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.11.09更新  

  №352 シジュウカラ(シジュウカラ科)
 早くも11月。朝の気温は10℃以下となり、5℃以下に下がる日も。葉がほとんど落ちてしまったヤマザクラにシジュウカラとエナガの混群が来た。冬になるとこのように異なる種が一群となり、樹々を移動しながら餌を探すようになる。他にはコゲラ、ヤマガラ、メジロなどが加わることも多い。寒さの中で活発に動き回る鳥たちの姿を見るのも、これからの時期の楽しみ。後方の鳥はエナガ、黄葉はヤマノイモ。(T) (撮影:2020.11.01 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.11.04更新  

  №351 アトリ(アトリ科)
 冬鳥のアトリがやって来た。オス、メス各1羽が畑のエゴマの種子を熱心に食べていた。以前、収穫して倒してあったエゴマにアトリの小群が来て残った種子を食べていたことがあったので、今年は収穫もせず放置していた。期待通り来てくれてよかった。色んな植物の種子を食べる鳥だが、エゴマも大好きなようだ。左がメス、右がオス。オスの頭部はこれから次第に黒くなって、早春には真っ黒になる。(T) (撮影:2020.10.28 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.10.29更新  

  №350 センブリ(リンドウ科)
 雑木林の小道でセンブリの花を見つけた。この付近では10年ほども前に見たことがあるが、その後は消えてしまっていた。嬉しい再会。この株の草丈は10cmほどで、花も小さいが、白色の花冠に淡紫色のすじがあって美しい。花冠の中心付近に蜜腺溝があって小さなアリが来ていた。苦味健胃薬として有名で、千回振り出しても苦いということから名がついたという。葉をちぎって噛んでみると確かに苦い。(T) (撮影:2020.10.19 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.10.19更新  

  №349 ノビタキ(ツグミ科)
 ノビタキは日本では中部地方以北の本州や北海道が繫殖地。この辺りでは、越冬地の中国南部やインドシナ半島へ移動する秋に稀に姿を見る。今日は稲刈り最中の農道沿いの防獣フェンス上やススキの穂などで7~8羽を見かけた。繁殖期のオスは上面や頭が真っ黒になるが、今の時期はオス、メスの違いが目立たない。草原や田で虫を食べて長旅の栄養補給をしている。何故か姿を見ると嬉しくなる鳥。(T) (撮影:2020.10.07 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.10.08更新  

  №348 マユタテアカネ(トンボ科)
 「赤トンボ」は正確には赤いトンボのことではなく、アカネ属(アカトンボ属、Sympetrum属)に分類されるトンボのこと。中には赤くない種類もある。日本全体では20種類以上いるとされるが、当地で今まで確認したのは8種類。でも毎年確実に見るのは5種類。そのうちの1種、マユタテアカネ。オスは成熟すると腹部が美しい赤色になる。ナツアカネのように広範囲を飛び回ることはないので見る機会は多くない。(T) (撮影:2020.09.28 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.09.29更新  

  №347 メスグロヒョウモン(タテハチョウ科)
 庭のシオンが咲き始めた。早速のお客様がメスグロヒョウモンのメス。その通りの名でメスが黒っぽい色、オスは橙色ベースのヒョウ柄。それにしてもメスとオスでここまで違うのは不思議な気がする。メスは地味なようで翅の表は見る角度によっては青光りしてとても美しい。(T) (撮影:2020.09.20 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.09.20更新  

  №346 モンキアゲハ(アゲハチョウ科)
 8月中や9月初めはチョウが少なかったが、少し涼しくなって種類も数も急に増えてきた。広場に作られた花壇のヒャクニチソウ。この花にはアゲハチョウ類、ヒョウモンチョウ類、セセリチョウ類など多くのチョウが集まる。中でも大型のモンキアゲハは存在感がある。最近幼虫を何頭か飼育したが、栽培ミカン類でもサンショウでもミカン科の植物なら何でもよく食べる。そのせいかどんな場所でも普通に見かけるが、やはり美しく魅力的なチョウには違いない。(T) (撮影:2020.09.14 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.09.15更新  

  №345 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)
 朝、ウマノスズクサ周辺をジャコウアゲハのオス4頭が飛び回っていた。メスは翅の色が黄色っぽいが、オスはほとんど真っ黒。ジャコウアゲハのオスは羽化直後のメスを探して交尾するそうだ。飼育の経験ではメスは早朝に羽化するので、今朝見た4頭のオスは羽化直後のメスを探していたのだろう。ジャコウアゲハの名の由来は「麝香」でオスが麝香のような匂いがするという。1頭を捕虫網で捕らえて確かめたが、微妙に香気を感じた程度。個体差があるのか、それともこちらの年のせい?。(T) (撮影:2020.09.05 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.09.05更新  

  №344 ミンミンゼミ(セミ科)
 もうすぐ9月というのに連日35℃近い気温で雨も全く降らない。いったいどうなっているのか。それでもセミの声は夏の終わりを告げている。今はツクツクボウシとこのミンミンゼミだけ。セミに関しては今年はニイニイゼミが少なく、数年前まではいなかったクマゼミの声をよく聞くようになった。来る衆議院議員選挙では、気候変動問題を争点にさせなければならないと強く思う。(T) (撮影:2020.08.26 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.08.29更新  

  №343 マユタテアカネ(トンボ科)
 「危険な暑さ」、こんな言葉を連日聞く。普通なら秋の気配を感じる時期なのに。陽射しの強いところでは昆虫たちの姿も少ない。逆に直射の当たらない北側法面ではいろいろ見られる。モノサシトンボヒカゲチョウ、セセリチョウ類、先日はこの辺りでは珍しいクロコノマチョウホソバセセリも。これはマユタテアカネの未成熟メス(翅斑型)。顔面の眉状斑が名の由来。(T) (撮影:2020.08.18 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.08.21更新  

  №342 メジロとエナガ(メジロ科、エナガ科)
 西日本は二重の高気圧に覆われて酷暑の日が続く。標高300mの当地でも連日35℃を超えて日中は家の中で過ごすしかない。鳥たちも暑くてたまらないのか頻繁にバードバスに水浴びに来る。この時はメジロとエナガ合計10羽ほどが入れ代わり立ち代わり。この2種やシジュウカラ、ヤマガラは種が違っても争わず、仲良く水浴びをする。微笑ましくてしばし疲れが癒される。(T) (撮影:2020.08.15 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.08.18更新  

  №341 イワタバコ(イワタバコ科)
 渓流沿いの垂直に近い急な岩場。北向きで日が当たらずいつも水がしたたり落ちている。こんな場所を好むイワタバコ。岩に生え、葉がタバコに似ているので岩煙草。大きな群落を作るが、特定の環境でしか生育できない貴重な植物だろう。イワタバコ科は主に熱帯・亜熱帯に分布する植物で、日本での自生は7種しかないという。冬の間は固く巻いた葉を褐色の毛で覆って越冬するということで、そんな姿もぜひ見てみたい。(T) (撮影:2020.08.05 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.08.09更新  

  №340 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)
 ウマノスズクサにジャコウアゲハが産卵に来た。この個体以外にも飛び回っているのを見る。5月末から6月初めに産卵した今年の第1世代(№333)の次の世代が今産卵期を迎えている。ジャコウアゲハは後翅の尾状突起が長く、美しい姿をしている。飛び方も他のアゲハ類と異なり、ゆったりと羽ばたいたり滑空したりで舞っているよう。メスは前翅が白っぽく、ひときわ優美。(T) (撮影:2020.07.30 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.08.01更新  

  №339 トラマルハナバチ(ミツバチ科)
 庭の一隅にアキノタムラソウ(シソ科)の小群落ができている。薄紫の花が穂状に群れ咲く様が良いので刈り残していたら増えてきた。秋と名が付いているが7月から咲き始める。この筒状の花冠をもつ花を好んで訪れるのがこのトラマルハナバチ。長い口吻で蜜を吸い、花粉を集めて後脚の花粉バスケットにため込んでいる。もっとも動きが速いので細かい動作は全く見えない。 (T) (撮影:2020.07.25 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.07.26更新  

  №338 ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)
 まだ梅雨明けとはいかないようだが、昨夜は久々に星空がきれいで、天の川や夏の大三角もはっきりと見えた。日暮れにツマグロヒョウモンのメスがカワラナデシコの花の下で眠りについているのを見つけた。今朝は、夜露に翅が濡れたのだろうか、明るくなってもそのままで、8時過ぎにようやく飛び立った。これはその直前のウオームアップ中。朝日を受けて複雑な翅の輝きが美しかった。 (T) (撮影:2020.07.18 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.07.18更新  

  №337 シジュウカラ(シジュウカラ科)
 梅雨前線の停滞で九州南部では洪水などの被害が報じられている。毎年のように心痛む映像を見るようになってしまった。被害が少ないことを祈るばかり。当地も昨日から雨が降り続く。そんな中、シジュウカラの若鳥が雨宿りに来た。自宅軒下の壁面で強い雨を避けている。驚かせてはいけないと気を遣いながら撮影。しばらく羽繕いをしながら時を過ごしていた。小さな生き物たちも困難に直面しながらも懸命に生きている。 (T) (撮影:2020.07.04 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.07.04更新  

  №336 ネムノキ(マメ科)
 昨年、中国地方の梅雨入りは6月26日と異常に遅かったが、今年はほぼ例年通りで、梅雨らしい天候の日が多い。この季節によく似合うネムノキの花。花弁がごく小さく、雄しべが長く外に突き出た独特の姿。適度な風に吹かれる様は風情があって美しい。夜になると葉を閉じるのでこの名があるというのが通説だが、春の展葉が遅いのでという説もあるようだ。花は美しいが、多数芽生え成長が早いので草刈りの時に伐られてしまうことが多い。 (T) (撮影:2020.06.28 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.06.30更新  

  №335 モンキアゲハ(アゲハチョウ科)
 6月は雨のイメージが強いが、チョウの季節でもある。多くの種類が湧き出るように現れ躍動する。これはモンキアゲハ。大型のアゲハチョウで、後翅には名の通り大きな黄白斑があり、よく目立つ。幼虫の食草はミカン科。この場所は林縁北側の半日陰。目立たない場所のせいか、いつになくゆったりとノアザミから吸蜜していた。 (T) (撮影:2020.06.17 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.06.19更新  

  №334 コシアカツバメ(ツバメ科)
 コシアカツバメはツバメより1か月ほど遅れて、4月後半にやってくる。コンクリート建築の外壁を好んで、泥でとっくり型の巣を作る。今頃の季節にはひな鳥は飛べるようになり、近くの電線などで過ごしたり巣に戻ったりしているようだ。梅雨入り直前の晴天の朝、3羽の幼鳥が電線で熱心に羽繕いをしていた。腰の赤褐色も淡く、腹面の縞模様もはっきりしない。でも飛んでいる姿は親鳥と区別がつかない。 (T) (撮影:2020.06.09 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.06.11更新  

  №333 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)
 大切に保護しているウマノスズクサの周辺をジャコウアゲハのメスが飛び回っていた。もしやと思って見ていると、ウマノスズクサの葉に止まって腹部を大きく曲げた。産卵! 飛び去ってから見るとこの葉で5卵、近くの別の葉で6卵、計11卵を確認できた。7、8年前からジャコウアゲハを増やそうと試行錯誤してきたが、成果が現れつつあるとしたらとても嬉しい。それにしても、周辺の草刈りをもうちょっとしておいたらよかった。 (T) (撮影:2020.06.01 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.06.02更新  

  №332 アサマイチモンジ(タテハチョウ科)
 ゴンズイの木に花が咲いた。アサマイチモンジが熱心に吸蜜していた。この花にはチョウ以外にも多くの昆虫が集まる。カミキリムシなどの甲虫類、ハナアブ類、ハチ類など。このゴンズイのように建築用材にも薪炭材にも適さないものは雑木(ざつぼく)と呼ばれ、価値が低くみられやすいが、多くの昆虫に食料を提供するという意味で生態系にとってとても大切な存在といえるだろう。 (T) (撮影:2020.05.27 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.05.28更新  

  №331 ウラギンヒョウモン(タテハチョウ科)
 ノアザミの花が咲き始めた。ヒョウモンチョウ類やアゲハ類、セセリチョウ類など多くのチョウが好んで集まるので、チョウ好き人間にも好ましい花。花の色や姿も、どんな色彩のチョウにも良く似合う。これはウラギンヒョウモンのオス。とても速く飛翔するが、この花の蜜を夢中で吸っているときは少々近づいても逃げない。明るい草原環境を代表するチョウ。幼虫の食草は各種スミレ類。 (T) (撮影:2020.05.17 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.05.18更新  

  №330 セグロセキレイ(セキレイ科)
 河原の石の上にいるセグロセキレイの幼鳥を見つけた。そっと見ていると、親鳥が現れて口移しで何かを与えた。多くの鳥では巣立ち後もしばらくは親の給餌を受ける。やがて餌の捕り方も覚え、独り立ちする。それにしても、きょうだいがいると思うが他の子は? 違う場所で待たせているのだろうか? (T) (撮影:2020.05.06 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.05.10更新  

  №329 ミヤマカラスアゲハ(アゲハチョウ科)
 北向き斜面の地上30cm、ヒサカキの葉にぶら下がるミヤマカラスアゲハを見つけた。近づいても逃げない。葉の裏に蛹の脱皮殻があり、羽化したばかりでまだ飛べない様子。今の時期に羽化するものは春型と呼ばれて、夏型よりかなり小さい。後翅裏面に黄白色帯があるので類似のカラスアゲハと区別できる。近くに食草のカラスザンショウがあるので、昨秋にこの樹で育ったのだろう。翅の表側も美しいので、しばらく粘っていたがほとんど見せてくれないまま飛び去った。(T) (撮影:2020.05.01 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.05.02更新  

  №328 エナガ(エナガ科)
 先日の「里やま日記」で道路に落ちていたエナガの巣を紹介したが、その近くのサクラの木で巣作りをしているエナガのペアを偶然見つけた。木の股の部分にコケを押しつけているようだった。警戒して巣作りを中止してはいけないので、遠くから望遠レンズで素早く2コマだけ写した。親鳥がいなければ鳥の巣があるとは気づかない。巧妙なカモフラージュに感心する。今日はカメラを向けずにチラッと見るだけにした。ペアでの巣作りは続いているようだった。(T) (撮影:2020.04.24 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.04.25更新  

  №327 タチツボスミレ(スミレ科)
 天候が不安定だったり、疫病の蔓延だったりと落ち着かない春。平穏な日常の尊さを想う今日この頃、いつもの季節の花々や生きものたちが心を和ませてくれる。林縁に咲いたタチツボスミレ。日本全国に広く分布するスミレで人家近くから山地まで見ることができる。ありふれたものかもしれないが、薄紫色の花とすっきりとした姿はやはり美しい。(T) (撮影:2020.04.17 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.04.18更新  

  №326 シジュウカラ(シジュウカラ科)
 「里やま日記」(4月3日)の巣箱の主がこのシジュウカラ。この個体は「ネクタイ」が細いのでメス。巣箱に出入りする時、近くのこのサクラの木で周囲の安全を確認しているようだ。オスも近くで「ジュクジュクジュク」と鳴き続けている。シジュウカラは20以上の単語を組み合わせて175以上の文章を作ることができるそうで、これはチンパンジーなどの霊長類でも知られていない能力という(2020.03.15「ダーウインが来た」)。会話しながら子育てをする愛らしい小鳥。大切に見守ってやりたい。(T) (撮影:2020.04.03 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.04.04更新  

  №325 シメ(アトリ科)
 冬鳥のシメが今も時々やって来る。スズメより大きく、尾が短くずんぐりとした印象。複雑な色合いで、オスの頭は茶色のベレー帽を被ったよう。その下の眼は鋭い印象。種子食なので嘴が太い。冬の嘴は肌色、夏は灰青色になるがどちらも艶がある。それで蝋嘴鳥(ろうしょうちょう)という異名があるそうだ。この個体の嘴も夏の色に変化しつつある。もうすぐ北国へと旅立つのだろう。(T) (撮影:2020.03.30 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.03.31更新  

№324 イヌノフグリ(オオバコ科)
 今日は春分の日。自然をたたえ、生物をいつくしむ日ということだ。足元の地面でこの花が咲いているのを見つけた。当地で見るのは2度目。直径4mmほどの小さな花。オオイヌノフグリの花の半分もない。山渓の「新版・野に咲く花」には、「中部地方以西に広く分布していたが、オオイヌノフグリやタチイヌノフグリが日本に入ってきてから少なくなってしまった」とある。繁殖力が劣るのだろうか。岡山県、環境省ともに準絶滅危惧という扱いになっている。以前はゴマノハグサ科とされていたが、新しい分類体系ではオオバコ科になっている。(T) (撮影:2020.03.20 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.03.20更新  

  №323 アカホシテントウ(テントウムシ科)
 3月5日は二十四節気の啓蟄。確かにこの頃から天気の良い日には虫の姿を目にするようになる。これはウメの木の幹で見つけたアカホシテントウナナホシテントウと同じくらいの大きさ。数が少ない種のようで滅多に見ない。しかし早春にこのウメの木で見つけることが多い。ウメにつくカイガラムシの幼虫を食べに来るようだ。赤い宝石が氷に閉じ込められたような不思議な紋が美しく、見つけると嬉しくなる。でもピント合わせはとても難しい。(T) (撮影:2020.03.06 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.03.07更新  

  №322 シロハラ(ツグミ科)
 この冬はシロハラの来訪が遅く心配したが、12月後半頃からよく見かけるようになって安心した。最近は毎日庭にやって来て、落ち葉を嘴で跳ねとばしながら下に潜む虫などを探している。この時は大きなミミズをゲット。急いで草むらに消えた。大物に満足しただろう。この個体は頭部が黒っぽいのでオス。毎日このオスがここに来ているようだ。(T) (撮影:2020.02.17 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.02.17更新  

  №321 ツグミ(ツグミ科)
 暦の上では春になったが、ここに来てようやく冬らしい寒さとなった。今頃になるとツグミは群れを作らず、単独で地面で餌を探すことが多い。グラウンドのような広い場所では数羽のツグミがそれぞれ距離を取って地面にいる。樹上の樹の実がほとんど無くなり、土の中や落ち葉の下に潜む小動物を探すにはその方が都合がよいのだろう。この翼を下げたポーズはツグミ科独特のもの。この個体は色彩もはっきりしていてなかなかの美形。(T) (撮影:2020.02.02 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.02.05更新  

  №320 カラスザンショウ(ミカン科)
 鋭いトゲトゲに囲まれたちょっとユーモラスな造形。これはカラスザンショウの若木。ハート形の部分は落葉した跡の葉痕でその上のイボのようなのが冬芽。ハート形を顔と見て、目や口は維管束の跡。カラスザンショウは伐採跡地などの裸地に真っ先に生えてくる植物の一つ。だから草食動物に食われないようにこんなトゲで身を守っているのだろうか。撮影したこの場所も伐採跡地。数日後にはきれいに草刈りされて、この若木も消えてしまった。ここには例によってソラーパネルが並ぶらしい。(T) (撮影:2020.01.19 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.01.27更新  

  №319 エナガ(エナガ科)
 1月20日は二十四節気の大寒。でも今年は寒くない。日差しも明るくなって、もう春が来たようだ。小鳥たちの動きも活発になってきた。朝、シラカシの樹にエナガの10羽ほどの群れが来て、樹皮のちょっとした窪みなどを熱心にチェックしていた。小さなアブラムシやカイガラムシが潜んでいるのだろうか。体は小さく尾が長い。嘴も小さくて可愛い。小さな声でチュリリ、チュリリと鳴き交わしながらとても活発に動き回る。(T) (撮影:2020.01.20 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.01.21更新  

  №318 トチノキ(トチノキ科)
 暖冬で2、3回小雪がちらついた程度。積雪はまだ一度もない。アセビの花がもう開花した。このトチノキの冬芽や葉が落ちたあとの葉痕はいつもの年と変わらないように見える。しかし、枝先端の茶色の頂芽、粘液を分泌するので小さな昆虫が捉えられるが、今年はそれがとても多い。アブラムシ類の有翅虫のようだが、やはり暖冬の影響で多数が発生したのだろうか。平穏な年であればいいのだが。(T) (撮影:2020.01.16 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.01.17更新  

  №317 ノスリ(タカ科)
 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。初夢に現れると縁起が良いというタカ。この辺りで今の時期によく出現するタカはノスリ。電柱の上などから地上の獲物を狙う姿をよく見る。空を舞う姿は、翼や体下面の純白部と濃褐色部のコントラストがとても美しく印象的。猛禽類は生態系(エコシステム)の頂点に位置する存在。多様な生き物がそれぞれの役割を演じて精妙なシステムを形成し、持続性のある世界を作っている。(T) (撮影:2019.12.21 美咲町、画像をクリックすると拡大表示されます)  2020.01.01更新  

  №316 ツグミ(ツグミ科)
 ツグミがヤマウルシの実を食べに来ていた。この時期は樹の実がまだまだ残っているので、樹上で見かけることが多い。警戒すると「ケッ・ケッ」と2声で鳴く。この時はなぜかあまり警戒されず、朝日を受けた胸のまだら模様がとてもきれいだった。この辺りでは11月中旬頃にやって来て春までを過ごす。同じころに渡ってくる、やはりツグミ科のシロハラを今年はほとんど見ない。どうしたのだろうかと大変気になる。(2019.12.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.12.14更新  

  №315 ツルリンドウ(リンドウ科)
 落ち葉の間から鮮やかな赤い実が。ツルリンドウの大きく膨らんだ果実。先端から伸びている糸状のものは雌しべの名残。下部を包んでいるのは枯れた花冠。花は淡紫色であまり目立たないが、果実は大きく成長し赤く色づくのでよく目立つ。割ってみると水分の多い白い組織の中心部に1.5~2mmほどの小さな種子が30個ほど詰まっていた。トマトなどと同じ液果と呼ばれるタイプの果実。甘みは感じなかったが、やはり小動物や鳥に食べられて種子が運ばれるのだろう。(2019.12.08 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.12.09更新  

№314 ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
 ほとんど葉を落とした広葉樹の枝に10羽前後のミヤマホオジロの群れが来ていた。これはオスで、頭頂、顔、胸が黒く、眼の上の眉斑と呼ばれる部分と喉はきれいな黄色をしている。時々頭の上の冠羽を立てる習性がある。「チッ・チッ」と小さな声で鳴く。草の種子や昆虫・クモなどを採食するようだが、この時は立ち枯れたままになっているシオンの種子を食べに来ていたようだ。冬の間ずっと家の周辺の雑木林にいる、愛らしい常連さん。(2019.11.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.11.27更新  

  №313 コガモ(カモ科)
 冬鳥のカモ類が池や川で見られる季節になった。通りかかった小さな池にコガモのオスとメス10羽ほどがいるのに気づいた。餌付けされていないカモ類は警戒心が強く、接近するとすぐにバタバタと飛び立ってしまう。この時は物陰に隠れながらゆっくりゆっくり近づいて、割合近距離から撮影できた。ほぼハト大でカモ類では最も小さい。これはオスで、もっと鮮やかな繁殖羽に換羽途中のようだ。昼間は休息して夕方から採餌活動に入る。(2019.11.23 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.11.25更新  

  №312 ジョウビタキ(ツグミ科)
 今朝は冷え込んで初めて氷点下に。初霜も見られた。冬鳥のミヤマホオジロもやって来て、小さな声でチッチッと鳴き交わしている。写真はジョウビタキのメス。これも冬鳥で、この辺りでは毎年10月20日頃に姿を見せる。今年は10月21日だった。我が家の周辺を縄張りに決めたようだ。愛嬌のある可愛らしい鳥で、私たちは「ジョーちゃん」と呼んでいる。(2019.11.15 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.11.16更新  

  №311 ナツアカネ(トンボ科)
 秋も深まり、日暮れが早い。午後の日差しを惜しむように、ナツアカネホオノキの落ち葉の上で日を浴びていた。これはオスで全身が鮮やかな赤に染まっている。№306でナツアカネが少ないと書いたが、ここにきて割合よく見るようになった。しかし里山でごく普通だった生き物が、いつの間にか急激に数を減らすこともあるので、今後も気を付けてウオッチしていなければ。(2019.11.13 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.11.14更新  

  №310 サトクダマキモドキ(ツユムシ科)
 収穫したサツマイモを洗って乾かしていたら、サトクダマキモドキのメスが来ていた。誤って切ってしまった部分をゆっくりと食べていた。樹上性で目にする機会は少ないが、今日はじっくりと観察させてもらった。美しい緑色で反り返った産卵管がよく目立つ。奇妙な名は、江戸時代にクツワムシなどが、鳴き声あるいは形が機織りに使われる「管巻」に似ているとして「クダマキ」と呼ばれていたところから派生した、ということらしいが何ともややこしい。(2019.11.08 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.11.09更新  

  №309 テングチョウ(タテハチョウ科)
 道端や荒れ地でセイタカアワダチソウが満開になっている。さまざまなチョウが吸蜜に来ているが、中でも多いのがこのテングチョウ。他に今日見たのはヒメアカタテハキタテハツマグロヒョウモンなど。ハナバチ類、ハナアブ類も多数来ている。よく知られているように、この植物は外来種で、繁殖力が強く厄介者ではあるが、昆虫たちは蜜源植物としてしっかり利用しているようだ。ちなみにセイタカアワダチソウは、花粉媒介を昆虫に依存していて風にばらまくことはなく、アレルギーの原因というのは濡れ衣ということだ。(2019.10.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.11.02更新  

  №308 ツチイナゴ(バッタ科)
 さてどこにいるのでしょうか?中央左寄りをよく探してください。ほぼ枯れてしまったコブナグサに紛れてとても見つけにくい。この場所で10月9日に成虫になったツチイナゴ。大型バッタ類では唯一成虫で越冬する変わり者。幼虫はきれいな黄緑色をしていて、羽化したばかりの成虫も薄黄緑色が残っている。成熟するにつれて緑味がなくなって褐色味が濃くなる。ちょうど草むらの色合いの変化と重なって見事に姿を隠している。自然の仕組みには感嘆させられることが多い 。(2019.10.22 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.10.29更新  

  №307 ヒメアカタテハ(タテハチョウ科)
 資料には、ヒメアカタテハは世界中に分布しているチョウで、日本でも全国各地で普通に見られるとある。しかしこの辺りではこの日初めて見た。林縁のヤマハッカで熱心に吸蜜。アカタテハとよく似ているが本種はひと回り小型で、後翅全体が赤褐色に黒斑、翅裏も明るい色をしているという点で区別できる。幼虫の食草はハハコグサ、ヨモギなど。秋に本種の幼虫がヨモギの葉を綴って「巣」を作るということなので是非とも見つけたい。(2019.10.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.10.11更新  

  №306 ナツアカネ(トンボ科)
 ようやく過ごしやすい気候になった。しかし今年は春から今に至るまで、あまり姿を見ない昆虫がいくつもあって気になる。例えばこのナツアカネ。最も普通の赤とんぼで、例年ならこの時期たくさんいるはずなのに今年は非常に少ない。農薬と気候変化の影響が大きいと思っている。今朝の新聞に出ていたスウェーデンの16歳、グレタ・トゥンベリさんの国連気候行動サミットでの訴え。「私たちは絶滅に差し掛かっているに、あなたたちが話すのは金と永遠の経済成長というおとぎ話だけ」。鋭い指摘。大人にはせめて、環境の現状に見識を持たない政治リーダーたちにNOを突き付ける責任があるだろう。(2019.09.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.09.25更新  

  №305 ウラナミシジミ(シジミチョウ科)
 畑のアズキの花にウラナミシジミが来ていた。ベニシジミと同じくらいの小型の蝶。色彩も地味だが中心部の背面は青紫色で美しい。翅の裏側は名の通り波状の紋がある。珍しいものではなさそうだが、この辺りで見るのは初めて。そういう出会いはとても嬉しいものだ。温暖な列島南沿岸部や南西諸島でしか越冬できず、発生を繰り返しながら北へ分布を拡大するということを繰り返しているらしい。食草としてはマメ科の栽培種を好むという。興味深い蝶だ。(2019.09.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.09.19更新  

  №304 ナンバンギセル(ハマウツボ科)
 手入れされず荒れたアカマツ林。その道路際でナンバンギセルの花10個ほどを見つけた。この花を見るのは本当に久しぶりで、この地では初めて。15cmほどの茎のように見えるものは花柄で茎はごく短くほとんど地上には出ないということ。葉緑素をもたない寄生植物でススキ、ミョウガなどに寄生する。花はこのように個性的で魅力がある。この花の姿から「南蛮煙管」の名があるが、万葉集では「思草」の名で登場するという。(2019.09.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.09.08更新  

  №303 アオメアブ(ムシヒキアブ科)
 昆虫を捕らえて静止するアブを見つけた。一瞬シオヤアブかと思ったが毛深くなく、複眼の色も違う。これはアオメアブというムシヒキアブの仲間で、あまり見かけない。複眼が緑色~赤色に輝いている。この美しい輝きは、タマムシチョウトンボの翅と同様、色素ではなく表面の微細構造による「構造色」だろうか。捕えているのはハナバチの仲間のようだった。(構造色に関しては浅間茂著「虫や鳥が見ている世界」中公新書を参考にしました)(2019.08.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.09.01更新  

  №302 ヤブカラシ(ブドウ科)
 よく見かけるつる植物のヤブカラシ。名はやぶを枯らすほど繁茂することから。ビンボウカズラの別名もある嫌われ者。今頃が花の盛りで地味な花だがなかなかおもしろい。オレンジ色の部分は花盤と呼ばれ、中央に雌しべがあり、外縁部から4個の雄しべが伸びている。その外側の4枚の緑色片が花弁。落ちる直前で、反り返っている。この花弁と雄しべは午前中には脱落してしまい、花盤だけが残る。花盤はしだいに淡紅色になってろうそく立てのような姿になる。花盤には蜜があって多くの昆虫が集まる。(2019.08.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.08.26更新  

  №301 コアシナガバチ(スズメバチ科)
 猛暑の昼間を避けて、薄暗くなりかけた頃に鎌で草刈りをしていたら、チクチクッと両手に鋭い痛み。よく見ると小型のアシナガバチが飛び回っていた。次の日、確かめに行くと地上40cmほどの葉陰にコアシナガバチの独特の反り返ったような巣があった。写真を撮ったのは午後の暑い時間帯で、ハチの動きは活発ではなかったが、肉団子を作っているもの、この写真のように巣に風を送っているもの、それぞれ健気にやっている。カメラを近づけると反応はするが攻撃はしてこない。昨日は驚かせた方が悪かったようだ。(2019.08.11 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.08.12更新  

  №300 ホウジャク(スズメガ科)
 田んぼビオトープのミソハギに来るマルハナバチを狙っていたら、見慣れないホウジャク類がいた。この仲間は高速飛行とホバリングが得意。巧みに空中で静止飛行しながら口吻を伸ばして蜜を吸っている。映像でよく見るハチドリのミニチュアのよう。昼に活動するガのホウジャク類はよく似たものが多く、見分けが困難なことが多い。しかし、これは前翅の2本の黒条と後翅の鮮やかなオレンジ色から接頭語なしの「ホウジャク」で間違いないと思う。幼虫の食草はカワラマツバ、アカネなど。(2019.07.31 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.08.01更新  

  №299 ブッポウソウ(ブッポウソウ科)
 「里やま日記」にあるように、ブッポウソウが巣立ちの時期を迎えている。巣箱の入口から姿を見せているのは大きく成長したヒナ。飛んでいるのは親鳥。口には餌の昆虫をくわえている。この直前まで巣箱の入口に止まってヒナの口元に餌を近づけていたが、結局与えずに上の電線へ。ヒナは口を開けたまま呆然と見送る。「なぜくれないの?」というところか。これはおそらくヒナの巣立ちを促す行動だろう。(「里やま日記」と同じ写真です。大きくトリミングしたので画像は良くありません)(2019.07.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.07.11更新  

  №298 ジャノメチョウ(タテハチョウ科)
 毎年決まって7月1日の前後2日間ぐらいに、ニイニイゼミキリギリスが鳴き始め、ジャノメチョウが一斉に姿を現わす。このジャノメチョウ、至って地味な色合いをしているが、眼状紋の中は青くてなかなかシック。今の時期はオスばかりが目につく。数頭が白い穂の出たチガヤの草原をふわふわと舞う姿は、初夏の風物詩といってもよさそう。(2019.07.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.07.07更新  

  №297 ツバメ(ツバメ科)
 再びツバメ。我が家の引込電線にツバメの幼鳥が10羽以上並んだ。庭の椅子に座ってじっくり観察できる。幼鳥といっても親とほとんど変わらないまでに成長している。親が餌を運んでくるのもそれほど頻繁ではない。むしろ近くを飛び回って子たちに餌のとり方を見せているような気がした。こんな光景を見るのもあと少しだろう。どの子に餌を与えるか予測できないので、撮影は決め打ちで。たまたまヒットした1コマをトリミング。(2019.06.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.06.30更新  

  №296 ブッポウソウ(ブッポウソウ科)
 近くのブッポウソウの巣箱で16日頃にヒナが孵った模様。親鳥が餌をくわえて巣箱に入る姿が頻繁に見られるようになった。給餌を妨げてはいけないのでブラインドの中から観察している。これは巣箱に行く前に電線に止まって周囲の安全確認をしているところ。翼にこのような白斑があり、飛んでいる時にはよく目立って美しい。口にくわえている餌は拡大してみると甲虫のカナブンのようだった。(2019.06.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.06.27更新  

  №295 ウラナミアカシジミ(シジミチョウ科)
 雑木林近くで作業をしているとき、小さなチョウが飛んできて下草に止まった。よく見るとウラナミアカシジミ! この辺りで見るのは2回目。運が良いのか2日の間に他にも、アカシジミミズイロオナガシジミウラゴマダラシジミという最近ではあまり見られない美しいチョウたちに会うことができた。いずれも良好な雑木林環境に依存するチョウ。個体数増加を期待して雑木林の手入れを頑張らなければ。(2019.06.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.06.11更新  

  №294 ツバメ(ツバメ科)
 多くの鳥たちが巣立ちの時期を迎え、いろんな種類の幼鳥をよく目にする。これはツバメの子ども。電線に止まって親鳥が餌を運んでくるのを待っている。成鳥と比べると翼も尾も短く、喉の下の赤色も淡い。懸命に親鳥の姿を追う姿が何とも愛くるしい。(2019.05.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.06.01更新  

  №293 キビタキ(ヒタキ科)
 一年前の同じ頃、№260でも取り上げたキビタキのオス。同じ場所で今年も美声を響かせている。隣人が雑木林の整備をしてくれたおかげで、今年はよく姿を見るようになった。高い枝にばかりいると思っていたが、低い枝で鳴くこともあり、枝から舞い降りて地面で餌を捕ったりもしている。さえずりは図鑑では「ピィチュリ ピィ ピピリ」などと表現されているが、私には「チーチョビ トッポジージョ トッポジージョ」のように聞こえる。(2019.05.29 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.05.29更新  

  №292 ヒカゲチョウ(タテハチョウ科)
 タンナサワフタギの花が咲き始めて多くの昆虫が集まっている。写真を撮っていて、枝に蝶の蛹がぶら下がっているのに気づいた。後で飼育して何の蛹か確かめようと思い、しばらく目を離してまた見ると何とすでに羽化が終わっていた。幸い飛び立つ前でヒカゲチョウと確認できた。ごく普通の地味な蝶だが、羽化直後には胸の側面に美しい青い微毛があるのを初めて知った。幼虫の食草はササ類。(2019.05.23 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.05.23更新  

  №291 カワラヒワ(アトリ科)
 スズメ大の小鳥。オリーブ色の体色で翼の鮮やかな黄斑がよく目立つ。草の実や種を食べる鳥で、今の季節はタンポポの実を食べる姿をよく目にする。道端で背伸びして一生懸命何かを食べているところを写した。拡大してみるとハコベ(ミドリハコベ)の実のようだ。小さな実で効率は悪いと思うけれど、この植物はほとんど年中花を咲かせ実をつける。種子食の小鳥にはありがたい植物かもしれない。(2019.05.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.05.11更新  

  №290 コサメビタキ(ヒタキ科)
 昨年10月16日の№274でも紹介したコサメビタキ。夏鳥で4月下旬頃から目にするようになる。今年も現れた。しかし例年すぐに見なくなり、秋に再び現れる。この辺りは通過点で繁殖場所ではないということだろう。小さくて色も地味な小鳥だけど、クリッとした眼と、枝からひらりと舞って虫を捕らえる仕草が魅力的。今回は電線で見返り美人。(2019.05.02 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.05.04更新  

  №289 スミレ(スミレ科)
 続けてスミレ。これは「スミレ」という名のスミレでややこしい。草地や道端などにごく普通のスミレだが、澄んだな紫の花で、軸もすっと伸びていて気品がある。日本全土と朝鮮半島、中国などに分布していて、学名はViola mandshurica。満洲産のスミレの意。「スミレ」と言うとスミレ類の総称と紛らわしいのでマンジュリカと学名で呼ぶ人もいるということ。(2019.05.01 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.05.02更新  

   №288 アリアケスミレ(スミレ科)
 このあたりの里山には10種ほどのスミレがあって次々と可憐な花を咲かせる。アリアケスミレは人里近くにごく普通のスミレ。この写真のようにほとんど白色のものから、紫色の筋が濃くて紫がかって見えるものまである。花の色が変化に富むことから、有明の空にちなんで名づけられたという。名の由来を思い浮かべながら花を見ると、ありふれたこのスミレがとても魅力的に見えてくるから不思議。 (2019.04.22 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.04.24更新

   №287 ミヤマセセリ(セセリチョウ科)
 春にだけ姿を見せるミヤマセセリツマキチョウとともに里山に春を告げる蝶。ところがこの辺りではここ数年見なくなっていた。昨日久々に見つけてとても嬉しかった。翅を広げて止まる習性があるので模様がよく見える。派手さはないが紫灰色の複雑な模様が美しい。幼虫の食草はコナラクヌギなど。数が減っているのは雑木林の管理放棄と関連があるようだ。 (2019.04.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.04.17更新 

  №286 ヤマルリソウ(ムラサキ科)
 ようやく暖かくなり、山里でもソメイヨシノが満開になった。地面近くでも春を告げる花々が。このヤマルリソウは山地の木陰で見かける。時に大きな株を作り、淡青紫色の可憐な花を次々と咲かせる。花の色には変異があり、白っぽいものやピンクがかったものもある。珍しいものではないが、乾いた場所や人の手が強く入ったような場所にはない。栽培種の勿忘草(ワスレナグサ)と近縁。 (2019.04.08 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.04.10更新  

  №285 ウグイス(ウグイス科)
ウグイスの美しいさえずりが一日中響いている。年中身近にいるが、冬は笹薮などでジャッジャッと鳴き(「笹鳴き」と呼ばれる)、姿を見ることはまずない。今の時期には縄張り主張のためだろうか、藪近くの木の枝でさえずる姿を見ることもある。しかし警戒心が強く、動きが速いので写真はなかなか難しい。美声は日本三鳴鳥(さんめいちょう)に数えられるほどだが、姿はいたって地味。 (2019.03.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.04.01更新  

  №284 アオジ(ホオジロ科)
 林縁の細枝にアオジのオスが1羽いた。目先が黒く、体の下面はきれいな黄色。地味な冬羽から鮮明な夏羽に変わりりつつあるようだ。厳冬期は数羽の群れでいることが多いが、この時期になると1羽でいることが多くなり、いつしか見なくなる。国内で繁殖するらしいが、もう少し山地か北方になるようだ。すぐ近くにジョウビタキのメスもいたが、どちらも間もなくいなくなってしまう。季節の変わり目。 (2019.03.13 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.03.14更新  

  №283 ジョウビタキ(ツグミ科)
 ジョウビタキのオスが林縁でヤマウルシの実をついばんでいた。日差しが明るくなり、春の空気を感じる時期。2月21日にはウグイスの初音、22日の夜には遠くでフクロウの鳴き声を聞いた。寒い時期に心を和ませてくれたこのジョウビタキもそろそろ北へ帰る頃。この鳥のさえずりはどんなふうだろうか。残念ながらここでは聞くことができない。ジョウビタキは№4№57にも。 (2019.02.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.03.01更新  

  №282 キタテハ(タテハチョウ科)
 雨の後、寒気が去り4月並みの暖かさに。柔らかな日ざしの中、何かが飛んで枯草の中に降りた。そっと近づくとキタテハだった。越冬中の個体が暖かさに誘われて飛び出したのだろう。翅は一部が欠けて傷んでいるが色は褪せていない。久しぶりの蝶で嬉しくなる。しかしまだ2月。午後からは北風が吹いて気温も急激に低下。無事にまた寒さをしのげる場所に移動しただろうか。三寒四温で春に近づく。 (2019.02.20 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.02.21更新  

  №281 ノスリ(タカ科)
 この冬はなぜかノスリをよく見かける、というわけで再びノスリ。この時は離れた所からそっと見ていると、電柱の上からすうっと休耕田に舞い降りてこのポーズ。狩りのようだ。鋭い視線で地面を見つめる。何を捕らえたのだろう。獲物をつかんで飛び上がるのを待ったが、何も持たずに飛び去った。残念ながらこの狩りは失敗だったようだ。しかし翼の裏の白さは美しく、印象的だった。 (2019.02.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.02.16更新  

  №280 ヒヨドリ(ヒヨドリ科)
 厳しい寒さが続く。大食漢のヒヨドリにはエサ不足でつらい季節だろう。そこで失敗作の干し柿を取っておいたものを庭に置いてやる。これが気に入ったようで4、5羽が集まってきて争奪戦を繰り広げる。このヒヨドリは木の枝に止まってライバルの隙をうかがっているところ。頭の羽毛を逆立て、鋭い目つき。隙あらば急降下して相手を追っ払う。でもすぐ別の個体に追われる、で大騒ぎ。厳しい世界で譲り合いなどあり得ないのだろう。しかし、ライバルを決して傷つけることはない。 (2019.02.01 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.02.02更新  

  №279 カシラダカ(ホオジロ科)
 新年明けましておめでとうございます。7年目に入ります。リニューアルをと思いながら実行できていませんが、本年もよろしくお願いします。さて、この小鳥はカシラダカ。冬鳥で、写真のように時々頭部の冠羽を立て、とんがり頭のように見えるのが名の由来。世界的に数が減少しているらしい。鳥に限らず、そういえば最近見なくなったなと思う動植物は数多い。歎ずるだけでは何にもならない。生物多様性保全のためにささやかでもできることを続けたい。 (2018.12.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2019.01.01更新  

  №278 ノスリ(タカ科)
 この時期になると姿を見せるタカの仲間、ノスリ。背はまだら模様で翼の下面は白っぽい。よく電柱の上などに止まって地面の様子をうかがっている。ネズミなどの小動物を狙っているようだ。敏感で近づくことは難しいが、この時は背後から比較的近距離まで接近できた。ややずんぐりとした体形。しかしさすがにタカ、眼光は鋭い。嘴の先端も鋭く尖っているのだが、電線が被ってしまった。 (2018.12.15 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.12.16更新 

  №277 テングチョウ(タテハチョウ科)
 今年の師走の入りは異様に暖かい。昨年の今頃は朝に氷点下の日が続いていたが、昨日の朝は10℃以上、今朝も9℃。日中も暖かく、サザンカの花にはテングチョウアカタテハベニシジミが吸蜜に来ていた。他にはアブ類も多数。別の場所ではナツアカネがまだ活動している。地球温暖化と言われて久しいが、いよいよその真っ只中で生きる時代になったようだ。自国第一、経済成長第一のリーダーに任せていていいのだろうか。 (2018.12.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.12.06更新  

  №276 コゲラ(キツツキ科)
 今日は立冬で、暦の上では今日から冬。このところ暖かくて穏やかな日が続いているが、さすがに夜は冷えるようになった。里山では今、雑木林が最も美しい季節を迎えている。黄葉したケヤキにコゲラが来て、熱心に餌取りをしていた。小さなカイガラムシなどを尖った嘴でつついて食べているようだ。近くの雑木林ではヒヨドリ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、エナガが小さな群れで、短く鳴き交わしながら活発に動いている。紅葉・黄葉の中、懸命に活動している小鳥たちを見ていると飽きることがなく、気が付けば日暮れが近い。 (2018.11.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.11.07更新  

  №275 テングチョウ(タテハチョウ科)
 庭に植えたアシタバ(セリ科)が花を咲かせ、天気の良い日には様々な昆虫が来ている。テングチョウも複数が熱心に吸蜜していた。6月に大発生した後、急に少なくなったが、10月になってまたよく見かけるようになった。成虫で越冬した個体が春に産卵して6月初め頃に羽化する。その後は少数生き残ったメスだけが成虫で越冬すると思っていたが、秋にもう一度発生することもあるらしい。この個体は全く傷んでいないので、そのような個体のような気がする。 (2018.10.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.10.27更新  

  №274 コサメビタキ(ヒタキ科)
 前回のエゾビタキと同時に撮影したコサメビタキ。2種が一緒に畑で活発に餌取りをしていた。よく似ているが、こちらは胸から腹にかけてほぼ白色。目の周りが白くリング状になっていて、パッチリした目をひときわ目立たせている。スズメよりやや小さい愛らしい鳥。10月1日から8日まで、ほぼ毎日姿を見ることができた。春も4月下旬に数日間姿を見せた。これから毎年、春と秋に立ち寄ってくれることを期待したい。 (2018.10.02 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.10.16更新  

  №273 エゾビタキ(ヒタキ科)
 南へ渡る途中のエゾビタキがやって来た。秋のこの時期に姿を見ることが以前にもあったが、じっくり観察できたのは今年が初めて。3羽ほどいただろうか。畑周辺の木の枝からひらりと飛び立って、飛んでいる虫をキャッチして元の場所に戻る。ヒタキ類独特の巧みな採餌。同じ仲間のコサメビタキも一緒にいたので紛らわしかったが、エゾビタキは胸から脇に黒い筋があるので区別できる。10月2日から3日間畑に来たが、もう移動してしまったようだ。 (2018.10.02 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.10.09更新  

  №272 クサヒバリ(ヒバリモドキ科)
 8月の終わりごろから10月にかけて、クサヒバリが鳴く。フィリリリリ…というような硬質で高い声。うら悲しく聞こえることもある。近づいても鳴き続けるので探すのだが、まず見つからない。上手に隠れているのか、植物の葉などで音が散乱するせいなのか?ところが今日は、翅を立てて鳴く姿がスッと目に飛び込んできた。透明な波板と材の隙間のよくわかる所にいた。滅多にないこと。繁殖期で必死になっていたのだろうか。 (2018.10.01 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.10.04更新  

  №271 スジボソヤマキチョウ(シロチョウ科)
 秋雨前線の停滞やら非常に強い台風の上陸やら、今年の9月は天候に恵まれない。久々の晴天の日には、たくさんのチョウたちが待ちかねたように飛び回る。満開のシオンの花にはは今年もスジボソヤマキチョウが来た。他にはアカタテハウラギンヒョウモンオオウラギンスジヒョウモンメスグロヒョウモンイチモンジセセリ。秋に現れるチョウたちは本当にこの花がお気に入り。写真家、今森光彦さんには遠く及ばないが、ちょっとした「オーレリアンの庭」。スジボソヤマキチョウは№125にも。 (2018.09.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.09.30更新 

  №270 アオイトトンボ(アオイトトンボ科)
 アオイトトンボが草に止まって、捕えた獲物を熱心に食べていた。この個体は腹部先端に産卵管があるのでメス。本種のメスには体色がやや地味なものとオスに近いものがあり、この個体は後者。複眼が青く、胸部に白粉を生じていてオスと同じような見かけをしている(♂型とか白紛型と言うらしい)。体長4cm位の小型のトンボで5月頃から10月頃まで見られるが、繁殖期の秋になると目にすることが多くなる。このメスも産卵期を控えてしっかり栄養補給というところだろう。 (2018.09.18 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.09.20更新  

  №269 ヤマガラ(シジュウカラ科)
 数日前からヤマガラがエゴノキの実を採りに来ている様子。今日は物陰に隠れて待っていると、ほどなくやってきて、実を1つくわえてすぐに飛び去った。ヤマガラはガの幼虫などが主食だと思うが、種子もよく食べ、エゴノキの種子も大好物。10月頃になれば果皮がはじけて種子が食べやすくなるが、今は果皮はまだ緑色で、毒性のあるエゴサポニンを含みとても渋い。中の種皮はすでに茶色くなっていたが、種子も噛んでみるととても渋い。想像だが、今の時期は果実を冬に備える貯食用に集めているのではないだろうか。 (2018.09.01 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.09.01更新  

  №268 リスアカネ(トンボ科)
 今日は処暑。今夏の異常な暑さはまだ収まらないが、それでも季節は少しづつ進んでいく。赤トンボが姿を見せるようになった。これはリスアカネのオス。腹部がきれいな赤色をしている。枝先などで静止しているのをよく見るが、のんびりしているわけではなく、他のオスが近づくと激しく追い払う。近くを飛んだオニヤンマまで一瞬追おうとした。縄張りを作ってメスの接近を待っているのだろう。猛暑に台風。穏やかな秋が待ち遠しい。本種は№48にも。 (2018.08.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.08.23更新  

  №267 オニヤンマ(オニヤンマ科)
 盛夏、大きなヤンマが悠然と飛ぶ姿を見ると、子ども時代に戻ってワクワクするような気分になる。連結飛行のオニヤンマを見つけた。すぐに細い枝に静止、メスが腹部を曲げて交尾に移った。体長10cmほどの日本最大のトンボ。緑色の複眼と黄色と黒の縞模様が鮮やか。メス(下側)腹端の長く尖った産卵弁も印象的。子どもの頃、網で掬おうとして逃げられた時のバサッという音がいまだに甦る。  (2018.08.08 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.08.15更新  

  №266 スジクワガタ(クワガタムシ科)
 チョウの撮影中に足元で動くものがあり、見ると立派な大あごを持ったスジクワガタのオスがいた。整った姿をしているが、小型のクワガタムシで、この個体は3.5cmほど。コクワガタと似ているが、大あごの内側の突起(内歯)が2つつながったような形状になっているのですぐに区別ができる。しかし、クワガタムシのオスは体の大きさによって大あごの形状も変わるのでなかなか難しいこともある。珍しい種ではないが、自宅近くで見つけたのは初めてなので嬉しい。  (2018.07.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.07.29更新  

  №265 キアゲハ(アゲハチョウ科)
 遅れて咲いたノアザミにキアゲハが吸蜜にきていた。羽化して間がないようで翅には傷一つなく美しい。このあたりにはハナウドやセリがたくさん生えているのでセリ科植物を食草とするキアゲハも多産する。アゲハ(ナミアゲハ)と似ているが、前翅の付け根が黒く塗りつぶされたようになっているので、ここを見ると間違えることはない。黒いと言っても淡黄色の鱗粉もちりばめられて、柔らかな色合いになっている。  (2018.07.18 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.07.20更新  

  №264 コガタスズメバチ(スズメバチ科)
 軒下にコガタスズメバチの初期の巣を見つけた。入口の筒が下向きに伸びている。これから筒がさらに伸ばされて、フラスコを逆さまにしたような独特な形になる。巣を軽く刺激すると女王バチが出てきた。攻撃的ではない。やがてこの巣は壊されて、働きバチが球体の巣を作る。別の場所に移動することも多いようで、残っている”フラスコ”を見ることも多い。球体の巣は家屋よりも木の枝に作られることが多いようだ。  (2018.07.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.07.12更新  

  №263 オオムラサキ(タテハチョウ科)
 敷地内のエノキにオオムラサキのオスが来た。高速で飛び回り、隣の木の枝先に静止してエノキの方をじっと見ている。なわばりを作って見張っているようで、他の蝶などが近づくと飛び立って追い払おうとしている。近くを飛んだツバメまで一瞬追いかけた。しばらく後、おそらく同一個体と思われるオスが、近くの資材に被せてあるブルーシートの表面を熱心に口吻を伸ばして舐めていた(オオムラサキのページに写真)。何も付いて無さそうだつたが…。国蝶に指定されているだけあって、大きくて美しい蝶。生態も興味深い。  (2018.06.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.06.26更新  

  №262 ルリタテハ(タテハチョウ科)
 梅雨の合間の晴天時には多くの種類の蝶が活発に飛び回る。もちろん種類によってよく見かける環境には違いがある。このルリタテハは明るい森や林縁がお好みのようだ。幼虫の食草がサルトリイバラやホトトギス、ユリの仲間ということも関係があるかもしれない。翅表は深い瑠璃色に淡青色の帯があって美しい。翅裏は褐色の複雑な模様で木の幹に止まると見事に同化してしまう。タテハチョウの仲間は前脚を小さく畳んで静止するので一見4本脚のように見えるのも面白い。  (2018.06.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.06.19更新  

  №261 クロヒカゲ(タテハチョウ科)
 梅雨入り前の良く晴れた夕方、日の当たる林縁でクロヒカゲが活発に飛び回っていた。よく見るとこのような格好で葉に止まり、他の個体が来るとすぐに飛び立って激しく追い払おうとする。占有行動と呼ばれるオスの行動のようだ。クロヒカゲは翅を畳んで静止していることが多い地味な蝶だがこのような行動は初めて見た。翅裏には蛇の目紋が目立つが、翅表はほとんど無紋のつや消し状でなかなかシック。  (2018.06.03 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.06.06更新  

  №260 キビタキ(ヒタキ科)
 3年ほど前から近くの森でキビタキのさえずりをよく聞くようになった。今年は4月下旬から毎朝、明るい大きな声を響かせている。ところが、木の葉が茂った中で鳴くので姿はなかなか見ることができない。この日ようやくカメラに収めることができた。オスは黄色と黒の美しい色彩をしているが、樹林の中では不思議と目立たない。  (2018.05.27 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.05.30更新  

  №259 ハラビロトンボ(トンボ科)
 この時期になると湿地付近でこのような小型の黒いトンボをよく見る。これはハラビロトンボの未熟なオス。腹部が扁平で幅広なのでこの名がある。成熟するとその腹部に青白い粉をおびてまったく違う印象になる。これからしばらくは見られるトンボだが、黒い色をした今の時期が前額の青藍色金属光沢が目立って最も印象的。  (2018.05.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.05.23更新  

  №258 コツバメ(シジミチョウ科)
 コツバメは年1回、春にだけ出現する小型の蝶。もう少し山地寄りの場所に生息する蝶というイメージを持っていたので、おや、ここにもいたのかいと嬉しかった。とても敏速に飛ぶのでこの名があるのかもしれないが、飛ぶと翅表の青色がわずかに見える。後翅の下端部が小さく張り出しているのも何やら可愛い。幼虫の食樹はアセビ、ヤマツツジ、ガマズミ,、ボケなど幅広いようだ。  (2018.04.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.05.02更新  

  №257 ヒメハナバチ科の一種
 最高気温が20℃を超える日が多くなり、昆虫も活発になってきた。快晴の今日、空中ではクマバチのオスが縄張りのパトロール飛行をしている。地上に目を落とすと満開のタンポポの花で1cmくらいの小さなハチがせわしなく花粉を集めている。ヒメハナバチの一種の働きバチのようだ。後脚に集粉毛を持ち、たくさんの花粉を付けている。地中に掘った巣穴に運び入れて幼虫を育てる食料とする。あまり熱心なので、感情移入は禁物だが「頑張れ」と言いたくなる。  (2018.04.18 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.04.24更新  

  №256 ショウジョウバカマ(ユリ科)
 林縁にショウジョウバカマが咲き始めた。このあたりでは南向きの場所にはなく、北斜面の下部で見ることができる。半日陰の湿った場所を好むようだ。10~20cmほどの花茎の上部に総状に数個の花を横向きにつける。花の色には多少変異があり、当地ではないが白いのも見たことがある。漢字では猩々袴。中国の想像上の動物である猩々、または能楽の猩々に由来する名らしい。  (2018.04.12 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.04.14更新  

  №255 ヒメカンスゲ(カヤツリグサ科)
 3月後半から4月。スミレやタンポポが咲き始める頃、樹林内の明るい小道などでこのような姿の植物をよく見かける。これはヒメカンスゲの花。頂部の黄白色の針状ものは葯(やく)で手を触れると花粉が飛び散る。その下方から斜め上に突き出しているのが雌花の集まり。常緑で冬でも緑色をしているが、葉が細くて落ち葉の中で気付かれることもない。しかし花はスゲ類の中ではよく目立ち春の訪れを告げてくれる。  (2018.04.04 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.04.06更新  

  №254 タチツボスミレ(スミレ科)
 冬の間にササやつる草が刈り取られてすっきりとした斜面。タチツボスミレが薄紫色のきれいな花を咲かせていた。スミレ類の中でも身近に普通に見られるものの一つだが、すっきりと整った姿形、爽やかな色の花が集まって咲く様は見飽きることがない。もっとも、この種はこれから地上茎が斜上して広がり、今とは違う印象になる。  (2018.04.02 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.04.03更 

  №253 ツマキチョウ(シロチョウ科)
 室内に尖った形の蝶の蛹があるのに気づいていた。今朝ふと目をやるとそばに羽化したばかりの蝶が。翅裏の特徴的な雲状の模様からツマキチョウだとすぐにわかった。蛹を見たのは初めて。おそらく去年の春に室内に持ち込んだアブラナ科植物に幼虫がついていたのだろう。暖房を使わない部屋だったので冬に羽化しないでよかった。すぐに外の日が当たる場所に移してやったらそのうちいなくなった。  (2018.03.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.03.31更新  

  №252 シュンラン(ラン科)
 南岸の低気圧や前線の影響で冷たい雨が降り続いて寒い春の彼岸入り。23日になってようやく春の陽射しに。遅れていたシュンランも開花した。派手ではない花の色がこの季節らしくて本当に好ましく感じる。昨年はこの株の花後に10cm近くもある大きな果実(蒴果・さくか)ができて驚いた。写真の右端に一部見えている茶色い膨らみが裂開した後の果実。(№11にもシュンランを掲載しています) (2018.03.23 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.03.23更新  

  №251 ニホンアカガエル卵塊(アカガエル科)
 今日は啓蟄。遅れていたアカガエルの産卵もほぼ終了した模様。およそ700㎡の田んぼビオトープで300個以上の卵塊を数えることができた。1匹のメスが1個の卵塊を産むから、300個体以上のメスがここへ産卵に来たということになる。そして1卵塊あたりの卵数は500~3000個という。写真の卵塊は産まれて間がないもの。卵を保護している寒天質が透明で綺麗だ。春の七草の一つ、セリも葉を広げ始めた。 (2018.03.06 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.03.06更新  

№250 カシラダカ(ホオジロ科)
 厳しい寒さで日陰の雪はなかなか消えない。そんな中、枯草の中でカシラダカの20羽ほどの集団が落ち葉を分けて餌を探している。時々冠羽を立てるところや全体の姿は同じ科のミヤマホオジロとよく似ているが、顔に黄色味がないなどいくつかの区別点がある。また、警戒する時に身を伏せるようにしてピタリと動きを止め、上空を見上げる。そうすると見事に周囲に溶け込み姿をくらますことができる。そんな独特の習性も持っている。 (2018.02.13 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.02.19更新 

   №249 マガモとヒドリガモ(カモ科)
 水辺の冬鳥を見に行った。旭川支流のこの川は、日当たりがよく水流も穏やかで多くの水鳥が集まる。頭が緑で胸が茶色いのがマガモのオス。赤茶色と黄色の頭がヒドリガモのオス。一番左がマガモのメスでその右がヒドリガモのメス。どちらもごく普通に見られるカモ類。でもカモ類のメスはどれもよく似ていて見分けがとても難しい。 (2018.02.04 真庭市)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.02.11更新 

№248 ツグミ(ツグミ科)
 この冬一番の冷え込みで、今日は最高気温が-2℃の真冬日。一昨日降った雪も日陰では固く凍っている。そんな中ツグミが1羽、地面の落ち葉を跳ね除けては餌を探している様子。小さな虫やクモが潜んでいるのだろう。11月に渡ってきて、群れで行動することが多いが、寒さが厳しくなる今頃になると単独で地面で餌を探す姿をよく見かける。腹側のまだら模様や背側の茶色い羽が、見事なカモフラージュになっている。 (2018.01.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.01.24更新  

  №247 ヒヨドリ(ヒヨドリ科)
 冬型の気圧配置となり、雪のちらつく寒い日が続く。外で作業をする人もなく、ひっそりと静かな山里。その中でこの一角だけはとても賑やか。ヒヨドリが多数集まって好物のセンダンの実を食べている。なかなか陽気な連中でキイキイと鳴きながらライバルを追ったり追われたり。センダンの実はムクドリも大好きだがムクドリがほとんどいないこの地ではヒヨドリがほぼ独占している。センダンにとっては種子散布をしてくれる大切なお客様。 (2018.01.10 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.01.10更新  

  №246 タラヨウ(モチノキ科)
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。さて、この赤い実はタラヨウの果実。この木の葉は長さ10~20cmと大きく厚みもある。また裏面を尖ったものでこするとそこが黒っぽく変色するので文字を書くことができる。この性質から、インドで経文を書くのに利用されたヤシ科の多羅樹に例えてタラヨウ(多羅葉)の名が付いたという。また、郵便局のシンボルツリーにもなっているそうだ。 (2017.12.20 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2018.01.01更新  

  №245 ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
 今朝はうっすらと積雪があったがきれいな青空。樹林に近い畑で小さくチッ、チッと鳴く声。このところ毎朝来ている冬鳥のミヤマホオジロだ。10羽ほどの群れで地上で種子などの餌を探している。そろりと近づいたが一斉に樹上に上がり逃げ出した。この雌だけが逃げずに、冠羽を立てて警戒のポーズをしばらく見せてくれた。雄の方が色彩のコントラストが鮮やかだが、雌もなかなかチャーミング。雄の写真は№218に。 (2017.12.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.12.09更新  

  №244 キトンボ(トンボ科)
 そろそろと思って池の堤防に行ってみるとやはりいた。キトンボの雄。赤トンボの仲間(Sympetrum属)だが、このあたりでは他の赤トンボがほとんど姿を消した11月に現れる。池の傍の枯草の上に好んで止まるが、同種の雄が接近すると猛然と追い払おうとする。翅の橙黄色が初冬の低い太陽光にきらめくととても美しい。近縁のネキトンボは何年も姿を見ない。キトンボは大丈夫だろうか。 (2017.11.15 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.11.16更新  

  №243 コバノガマズミ(スイカズラ科)
 木々の落葉が進み、雑木林は日ごとに見通しが良くなってくる。これはコバノガマズミの赤い実。5~7mmほどで同属のガマズミミヤマガマズミと比べると地味だが、里山の風景によく馴染む。年によって実の着き方には違いがあって、この点は植えられている柿や、自生のソヨゴ(地方名フクラシ)、ナツハゼ(同ヤマナスビ)なども同じ。今年はコバノガマズミがよく目立つ。暦の上ではもう冬。足早に季節は進む。(№60もコバノガマズミ) 。 (2017.11.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.11.08更新 

  №242 トチノキ(トチノキ科)
 今年の10月は雨の日が多い。今日は久々の快晴。トチノキの黄葉が青空に映える。20cm以上ある長い葉柄の先端に5~9枚の葉がついた掌状複葉(しょうじょうふくよう)。全体で1枚の葉。個々の葉は小葉と呼ばれるがトチノキでは大きいものは30cm近くにもなる。秋が深まれば、最終的には葉柄の付け根からすべて脱落するのでスラリとした違う印象の木になる。枝の先端にはとっくに冬芽ができている。 (2017.10.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.10.28更新  

  №241 ゲンノショウコ(フウロソウ科)
 秋祭りの季節。この時期にふさわしく神輿(みこし)のような姿は、花後のゲンノショウコ。花が散った後、雌しべの軸は長く伸び、基部に種が入った袋状のものができる。秋の良く晴れた日に実の皮が縦に裂けてくるりとまくれ上がり、中の種が勢いよく弾き飛ばされる。種を飛ばした後の姿がこのミニ神輿。カール先端の膨らみが種の入っていた袋。野外で弾ける瞬間を見るのは忍耐を要するから、弾ける前の実を取ってきて、ドライヤーでゆっくりと乾燥させると観察できる。それにしても、この反り返り具合は絶妙。ゲンノショウコの別名はミコシグサというのもなるほどね。花の写真は№216に。 (2017.10.04 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.10.11更新  

  №240 クサヒバリ(ヒバリモドキ科)
 そこかしこからフィリリリリ…という声が聞こえる。高くて硬質な鳴き声。主はクサヒバリ。8月後半から鳴き始めるので、秋を感じさせる音色の一つ。体長8mmほどと小さいので声を頼りに探しても見つけるのは難しい。そのくせしばしば家の中に入ってきたりする。この写真も家の中で見つけた雄を外へ出してやったところで撮影。慌てて逃げるどころか長いひげ(触角)の手入れを始めた。なかなか愛嬌のある奴だ。 (2017.09.20 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.09.21更新  

  №239 ミンミンゼミ
 季節の進行は速い。セミの鳴き声も今はツクツクボウシとこのミンミンゼミだけになってしまった。このあたりではどちらも10月初め頃まで鳴き声を聞く。関西に住む者には山地のセミという印象があるが、東京都心の屋外からの天気予報では、予報士さんのバックグラウンドで盛んに鳴いている。北海道にはいるが沖縄にはいない、ということでやや涼しい気候を好むセミのようだ。ミーンミンミン…という独特の大きな声を出すが、敏感ですぐ逃げるので姿を見るのは意外と難しい。 (2017.08.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.09.12更新  

  №238 シュレーゲルアオガエル
 クサギの花が芳香を漂わせている。その葉の上でシュレーゲルアオガエル(アオガエル科)が休んでいた。体長が5cmほどの大きな個体。雌だろう。指先の吸盤がよく発達していて成体は木や草の上で過ごす。浅い止水に接した窪みに泡で包まれた卵を産むので、田と雑木林が隣接する里山環境が欠かせない。雄は春に「コロロ、キリリ…」と澄んだ鳴き声を響かせる。 (2017.08.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.09.02更新  

  №237 ミソハギとトラマルハナバチ
 この赤紫の花はミソハギ(ミソハギ科)。お盆の頃に咲くのでボンバナ(盆花)とも呼ばれる。湿地に生える植物で、昔はたくさんあったということだが、今はあまり見かけない。お供え用の花として大切にされていたのが、今は顧みられることもなくなったのだろう。香りはないが、緑の中に浮き上がるような色彩と豊富な蜜で多くの昆虫を引き付ける。これはトラマルハナバチ(ミツバチ科)。慌ただしく蜜と花粉を集めていた。 (2017.08.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.08.25更新  

   №236 セグロアシナガバチ(スズメバチ科)
 一緒に草刈り作業をしていた人が機械を止めて、ハチの巣があったという。セグロアシナガバチの巣がむき出しになっていたが、幸い巣本体は無傷だった。その付近は刈り残して、翌日見に行ったら、強い日差しが直接当たっていて、働きバチが翅を高速で震わせて巣に風を送っていた。懸命に巣を守ろうとしているようだった。刈ったススキの葉を巣に被せて日よけを作ってやって、その場を離れた。 (2017.08.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.08.10更新 

  №235 ジャコウアゲハ(アゲハチョウ科)
 №234のジャコウアゲハ蛹は7月25日に羽化したが、外出していてその様子は見ることができなかった。残念に思っていたら3日後に雌1個体が現れた。クズの葉に静止して、休んでいるようだった。自宅で羽化した個体かどうかは分からないが、翅の傷みもなく、羽化後間もない個体のようだ。後翅の尾状突起が長く、翅は黄灰色で不思議な美しさ。ちなみに雄の翅は黒っぽい色で一見で区別できる。 (2017.07.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.07.30更新  

  №234 ジャコウアゲハ蛹(アゲハチョウ科)
 5月31日にウマノスズクサに産卵されたジャコウアゲハの卵が、約6週間かかって蛹になった。この蛹は俗に「お菊虫」と呼ばれるが、怪談「皿屋敷」の「お菊」に由来するという。確かに後ろ手に縛られた女性の姿を想像させるような奇妙な姿。他のアゲハチョウ類の蛹とも随分違っている。4個体が終齢幼虫まで達したが、この個体だけが葉の裏で蛹になり、他の3個体はどこかへ移動したようで行方不明になってしまった。 (2017.07.17 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.07.17更新  

  №233 ミゾカクシ(キキョウ科)
 漢字では溝隠。草丈15cmほどの小さな植物だが、溝を隠してしまうほどよく繁茂するということからこの名になったようだ。アゼムシロ(畦筵)という別名も捨てがたいが、湿地を好むからミゾカクシがより適切な気もする。1cmほどのユニークな形の花で、花粉ができる時期とめしべが成熟する時期をずらして自家受精を避ける仕組みをもっている。ルーペでじっくり観察すると面白い。 (2017.06.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.07.04更新  

  №232 キイトトンボの羽化(イトトンボ科)
 ビオトープ池でキイトトンボが羽化のピークを迎えた。今日だけで10以上。大きなヤンマのヤゴやイモリもたくさんいる中で巧みに生き延びてきた個体だ。殻から出たばかりの時は小さな突起のような翅がゆっくりと確実に伸びてこのような姿に。1時間もしないうちにふわりと飛び立つが、その時はまだあの鮮やかな色はしていない。 (2017.06.21 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.06.25更新  

  №231 メジロ(メジロ科)
 この頃近くの高い木でメジロがよくさえずる。姿は見えないことが多いが、今朝はよく見えるホオノキの枝でしばらく鳴いてくれた。よく通る複雑なさえずりの声。ききなしは「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」とされるが、なるほどそのように聞こえる。一年中身近で見られる鳥だが、季節により見せる姿も鳴き声も違っている。愛らしい鳥である。№216は冬のメジロ。 (2017.06.15 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.06.18更新  

  №230 テングチョウ(タテハチョウ科)
 毎年、この時期にテングチョウが多数見られるようになるが、今年は特に数が多い。関西の各地でも大量発生しているようで、ネット上にもいくつかの報告がある。多数が飛び回ったり、建物の壁に止まったりして気持ち悪く思う人も多いようだ。写真は近くの公民館の網戸を写したもの。食草はエノキだから農業や園芸にも害はないし、数もすぐに落ち着くだろう。しかし、今年はなぜこれほどまで大量発生したのだろうか? (2017.06.10 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.06.14更新  

  №229 ヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
 №220のヤマウグイスカグラの花が赤い実になった。果皮が薄くて透き通るよう。この時は夕日に照らされて緑の中に浮き上がって見えた。ほんのり甘みもあるが、青臭さも感じられる。数日後に見に行ったら全部なくなっていた。ヒヨドリ(?)が大喜びで食べたのだろう。 (2017.05.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.06.04更新  

  №228 ギンヤンマ(ヤンマ科)
 ギンヤンマの羽化が始まった。クロスジギンヤンマとよく似ているが、胸部側面にはっきりした黒条がないのですぐに見分けられる。脱皮殻は少し黒っぽいような気がするが、ほとんど区別がつかない。当地では羽化の始まりがクロスジギンヤンマより1ヵ月遅く、交雑を避ける仕組みかとも思えるが、種間雑種もみられるということである。 (2017.05.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.05.28更新  

  №227 ベニカミキリ(カミキリムシ科)
 この季節の甲虫をもう一種。ベニカミキリの名の通りきれいな紅色をしている。体長は15mmほど。白い花がお好みのようで、畑のカモミールに複数飛来していた。激しく動き回るし、花は風に揺れるので撮影はちょっと大変だった。魅力的な昆虫だが、幼虫が竹材を食害するので困った面もある。 (2017.05.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.05.24更新  

  №226 ジョウカイボン(ジョウカイボン科)
 前回のコアオハナムグリ同様、この季節によく見かける甲虫のジョウカイボン。一見カミキリムシのようだが違うグループで体も柔らかい。どうせならきれいな柿の若葉と共に撮れたらと思って行ってみると、いた。たまにはこんなことも。今の時期の柿の若葉は、明るく柔らかな色で、光沢と透明感があって何とも美しい。「柿若葉」は初夏の季語だそうだ。「茂山やさては家ある柿若葉」(蕪村)。 (2017.05.08 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.05.09更新  

  №225 コアオハナムグリ(コガネムシ科)
 気温が上がり、多くの昆虫たちが現れた。キク科やバラ科など多くの花に集まるコアオハナムグリ。満開のカモミールの花に数頭が集まっていた。1cm余りの小型のハナムグリの仲間で、どこでもごく普通に見かける。ミカンの花の子房を傷つけるため農業害虫とされることもあるようだが、無心に花粉を食べている様子は春らしくて悪くない。 (2017.05.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.05.07更新  

  №224 テングチョウ(タテハチョウ科)
 新緑の季節になったが、エノキは葉の展開が遅い。当地では個体差はあるが4月下旬にようやく芽鱗が緩んで緑色の新葉が顔をのぞかせる。その緩んだ芽鱗の隙間に腹端を差し込んでテングチョウが産卵していた。越冬した雌で、翅がかなり傷んでしまっている。年中見かける蝶だが、年1回だけの発生で、このあとしばらく成虫を見なくなり、6月に多数の新成虫が現れる。 (2017.04.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.05.02更新  

  №223 ムラサキケマン(ケシ科)
 山蔭のやや湿った場所に咲くユニークな形をした花。個々の花は細い筒状で4個の花弁のうち上の1個が尻尾状に伸びて距(きょ)と呼ばれる形状を作っている。ケマンは漢字では華鬘という難しい字で、仏像や仏殿の装飾品のことらしい。毒草だが、ウスバアゲハ(アゲハチョウ科)の食草である。 (2017.04.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.04.26更新  

  №222 シオヤトンボの羽化(トンボ科)
 今日はよく晴れて一気に夏日に。道路は散ったソメイヨシノの花びらでピンクに染まっている。春はまことに慌ただしい。休耕田の低い枯草でシオヤトンボのオスが羽化を迎えた。この辺りではフタスジサナエとともに、他のトンボに先立って桜の花の頃から現れる。シオカラトンボとよく似ているが、一回り小さく、色や斑紋も少し異なる。 (2017.04.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.04.17更新  

  №221 ヒオドシチョウ(タテハチョウ科)
 久々の快晴。桜の花で熱心に蜜を吸うヒオドシチョウを見つけた。どこかで越冬した個体が空腹を満たしているのだろう。翅が傷み、色も薄くなっている。間もなく産卵し、次の世代の出現は6月頃。食草はエノキ、ハルニレ、ヤナギ類など。このサクラは花が小さいエドヒガン。ヒオドシチョウは№83にも。 (2017.04.13 真庭市)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.04.15更新  

  №220 ヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
 前回のクロモジ同様、4月早々から花を咲かせるヤマウグイスカグラ。よく見ると可愛い花だけど、くすんだような淡紅色で下向きに咲くのであまり目立たない。しかし、6月頃に熟す果実は、艶と透明感のある赤色でとても魅力的。つる植物ではないのでウグイスカズラではなく、ウグイスカグラ。しかし、神楽とは関係なさそうだし、ウグイスともあまり関係は無さそう。名前の由来はどうもはっきりしないようだ。 (2017.04.04 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.04.06更新  

  №219 クロモジ(クスノキ科)
 今年はいつまでも寒い日が続く。しかし今日は気温も上がり、ようやくさまざまな姿の春が。これはクロモジの花。薄黄色の小さな花が集まっていて、離れたところから見ると黄色の霞がかかったよう。尖った芽は葉芽で、間もなく展開して淡い緑色を添えて爽やかな美しさを見せる。その頃には桜も咲いて春本番を迎える。秋には黒い実がなるが、この株は雄株で実はできない。 (2017.03.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.04.01更新  

  №218 ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
 冬鳥でスズメより少し大きい。広葉樹の明るい林縁を好むようだ。これは雄で、顔と胸の全面が黒く、眉と喉の黄色がよく目立つ。雌は色が薄いのですぐに区別がつく。雄、雌ともに警戒すると冠毛を立てる。地面で種子や虫などを食べる。通常日本では繁殖しないのでさえずりを聞くことはできない。地鳴きはチッ、チッという小さな声。そろそろ北へ旅立つころだが、まだ多数が見られる。初見の日は記録しやすいが最後に見た日というのはなかなか難しい。 (2017.03.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.03.18更新  

  №217 イカル(アトリ科)
 毎年、今の時期にウソがサクラの花芽を食べに来るので見に行った。梢付近に5、6羽の群れがいたが、ウソではなくイカルだった。黄色い大きな嘴でサクラの芽を食べていた。イカルは冬は地面で植物の種を探して食べると思っていた。サクラの芽を食べるのは今回初めて目撃したが、案外さまざまなものを食べて厳しい冬を乗り切っているのかもしれない。なお、以前№3でイカル、№189でウソ類のアカウソを扱いました。 (2017.02.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.02.20更新  

  №216 メジロ(メジロ科)
 今の時期、木の枝に切ったミカンを刺しておくと、メジロとヒヨドリがよくやって来る。体の小さいメジロはヒヨドリに簡単に追い払われるが、持ち前の敏捷性で隙をみてしっかりと食べている。花の蜜や果汁が大好物でヤブツバキやウメの花にもよく来る。名の通り眼の周囲が白く、英語名もJapanese White-eyeだそうだ。今は地鳴きのチィーという可愛い声で鳴きかわしているが、5月頃には複雑できれいなさえずりが林に響く。 (2017.01.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.01.27更新  

  №215 ホトケノザ(シソ科)
 ホトケノザは秋から少しずつ咲き始めて4月頃にピークを迎える。寒に入って気温が-3.5℃まで下がった朝、畑に出てみると一面の霜で、すでに成長を始めているハコベ、オオイヌノフグリ、ナズナなども凍てついている。しかし、これらの植物は細胞が破壊されない仕組みを持っているようで、傷むことはない。たくましい植物たち。春の七草のホトケノザはこれではなく、キク科のコオニタビラコを指すというのはよく知られているところ。 (2017.01.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.01.09更新  

  №214 マンリョウ(ヤブコウジ科)
 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。正月頃は花が無い(最近はそうでもないが)ので、赤い実をつけるナンテン、センリョウ、ソヨゴ(このあたりではフクラシという)などが飾り物としてよく使われる。このマンリョウもその一つ。「万両」の字をあて、「千両」より格上の名になっているが、別に深い意味はなさそうだ。センリョウは上向きに実を付け、マンリョウは下向きなので区別は簡単。 (2016.12.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2017.01.01更新  

  №213 コゲラ(キツツキ科)
 エナガの群れに混じってシジュウカラやこのコゲラがよく姿を見せる季節になった。自宅の窓から近い場所にあるケヤキにも毎日のようにやってくる。キツツキらしく鋭い爪のある脚と尾をうまく使って移動しながら樹皮の下に潜む虫を探している。木々もすっかり葉を落とし寂しくなったが、可愛い小鳥たちを身近で観察するのがこの時期の楽しみ。窓ガラス越しで撮影したのでソフトフォーカスの写真になってしまった。なお、コゲラは№151№188でも扱いました。 (2016.12.06 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.12.12更新  

  №212 アキグミ(グミ科)
 アキグミの名の通り秋に実るグミ。実は小さくて直径は6~7mmほど。10月ごろから赤く熟しているが、12月になってもまだ残っている。表面に白っぽい鱗片がたくさんあって白い点々に見える。美味しそうに見えるが、とても渋い。しかし、少しずつ減っているところを見ると鳥が食べているのだろうか? 落葉樹だがまだ葉も残っている。5月ごろに咲く白い花も地味だが上品な芳香をもっている。 (2016.12.03 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.12.04更新  

  №211 ツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)
 小春日和の午後、名残のキバナコスモスと昆虫たち。これはツマグロヒョウモンの雌。幼虫で越冬する蝶だから、これから産卵ということになるのだろう。他にはベニシジミヤマトシジミ、セセリチョウの仲間が来ていた。近くではナツアカネが日向ぼっこ。低い草むらではヒナバッタがかすかな鳴き声をたてていた。昆虫たちの今シーズン最後の賑わい。 (2016.11.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.11.19更新  

  №210 リンドウ(リンドウ科)
 すでに2回(№61№180)掲載しているが、田の周辺で今年は特に多く見かける。花は茎の頂部に数個だけ咲いているものから、多いのは葉の付け根ごとに総計50を数える株もあった。根は大変苦くて健胃効果があるそうだが、葉も噛んで見るとかなり苦い。草食動物に食われることを防ぐ効果がありそうだ。花屋で売っているリンドウは北日本に自生するエゾリンドウの園芸種で、県北を中心に栽培されていて岡山県は西日本最大の産地ということだ。。 (2016.11.02 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.11.09更新  

  №209 フユノハナワラビ(ハナヤスリ科)
 10月になると田の畔などにこの奇妙なものが次々と出てくる。調べてみると、フユノハナワラビ(冬の花蕨)という冬緑性のシダらしい。黄色味を帯び、立ち上がっている部分は胞子嚢穂(ほうしのうすい)と呼ばれ、上部の粟粒状のものは胞子嚢の集合。この部分が花のように見えるのが名の由来だろう。確かにこれを見ると冬も近いと感じる。緑色の栄養葉も根元に見られるが、まだ小さい。 (2016.10.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.10.27更新  

  №208 ノコンギク(キク科)
 もう1種代表的な野菊がこのノコンギク(野紺菊)。一見ヨメナとよく似ているが区別は難しくない。葉の両面に硬い毛があってザラザラしていること。頭花を分解してみると小花に長い冠毛があること。その他よく観察するといくつかの違いに気づく。ヨメナよりやや乾いた場所が好みのようで、土手や乾いた田の畔に多い。珍しいものではないが、大きな群生が秋の日を浴びている様は見事。 (2016.10.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.10.16更新  

  №207 ヨメナ(キク科)
 今週から急に空気が冷たくなり、秋が深まった感。朝露に濡れた野菊が美しい。里の野菊の代表がこのヨメナ。やや湿った場所を好んで群生する。花が美しくて葉も柔らかく、全体に優しい印象から嫁菜の名となったようで、古くは春の摘み草の代表であったらしい。しかし、強い植物で畑に生えるとちょっと厄介。白くて太い地下茎が長く伸び、引き抜こうとすると簡単に折れてなかなか全部を取ることが難しい。優しい見かけによらず、しっかりと根をおろす逞しい嫁でもあるようだ。 (2016.10.04 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.10.12更新  

  №206 ゲンノショウコ(フウロソウ科)
 名の由来は「現の証拠」。煎じて飲むと下痢止めに卓効があることからという。今の時期、草原や道端にたくさんの花を咲かせている。花は紅色のものと白色のものがあり、西日本では紅花が多いとされるが、当地では白ばかり。地域差があるようだ。同じ場所に両方が混じって咲いているのを見たこともある。写真の左の花は青紫色の葯(やく)があり、花柱は閉じている。右は葯は枯れてしまい、花柱は開いている。自家受精を防ぐ雄性先熟という仕組み。 (2016.09.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.09.17更新  

  №205 ツクツクボウシ(セミ科)
 岡山県には13種のセミがいる(岡山県野生生物目録2009改訂版による)が、当地ではそのうち8種の声を聞くことができる。種ごとに鳴く時期がずれているからセミの声で季節の移ろいを感じることができる。ヒグラシアブラゼミもいつしか聞かなくなり、今はミンミンゼミツクツクボウシだけが鳴いている。写真はツクツクボウシの雄。腹を震わせて懸命に鳴いている。近くで聞くと、「ツクツクボウシ!」の声にビーンというような音も重なっている。去りゆく夏を惜しむような気分にさせる鳴き声。 (2016.09.03 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.09.04更新 

  №204 ヘクソカズラ(アカネ科)
 葉や茎に独特の臭気があるためにひどい名をつけられている、として有名な植物。それだけではなく、他の植物を覆ってしまうほどよく生育し、塀の下部などに沿ってまっすぐ蔓を伸ばしてはびこる性質もあり、好まれないことが多い。しかし、花はなかなか可愛いし、葉が枯れた後の果実も風情がある。この花を見ると、かつて大学の恩師が「『娘十八、番茶も出花』には続きがあってね…『ヘクソカズラも花盛り』というんだよ」と笑いながら話しておられたことを懐かしく思い出す。他では聞かないから、かの先生の創作だったのだろうか? 別名はヤイトバナ、サオトメバナ。 (2016.08.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.08.20更新  

  №203 アメリカネナシカズラ(ヒルガオ科)
 セイタカアワダチソウに絡みついた黄色い糸くずのようなもの。アメリカネナシカズラという北アメリカ原産の外来植物。葉緑素をもたない寄生植物。他の植物に巻き付き、多数の突起状の寄生根を宿主の組織に食いこませて養分を吸収する。今の時期、白い花を多数咲かせている。種子の発芽時には通常の根があるが、他の植物に寄生すると根は枯れてしまうという。まことに奇妙な植物。 (2016.08.06 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.08.07更新 

  №202 コオニユリ(ユリ科)
 中国地方は18日に梅雨明け発表があり、強烈な日差しとなった。それに合わせるかのようにコオニユリの花が畔の斜面で咲き始めた。よく栽培されるオニユリとよく似ているが、花がやや小さく、オニユリのような珠芽(むかご)はできない。このユリも数を減らしている。理由は、生育地が藪になる、無造作に刈られてしまう、イノシシに鱗茎を食われる、などだろう。自然の営みに人が関わることによって維持されてきた里山環境が変わりつつあるということだろうが、何とか保全したい植物の一つである。 (2016.07.18 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.07.20更新  

  №201 ヤブカンゾウ(ユリ科)
 
道端や林縁で普通に見かける。梅雨時に花びらがねじれたような不思議な印象の花を咲かせる。晴天よりも雨の日や雨上がりがよく似合う。雌しべと雄しべの大部分が花びらのように変化して八重咲きのようになっているが、普通の線状の雄しべもある。種子はできない。有史以前に中国から持ち込まれたと考えられている。藪萱草という漢字で、薬草の甘草(マメ科)とは無関係。春の若葉はくせもなく美味しい。それにしても不思議な形の花だ。花びらを1枚ずつ外していくと何とも興味深い。  (2016.07.06 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.07.08更新  

  №200 ケリ(チドリ科)
 
ケリが田んぼ周辺で繁殖しているようだ。チドリの仲間でハト大だが脚と翼が長い。この付近で見るのは今年が初めて。田んぼの畔か草原で巣を作っているようだ。散歩コースの道を歩くと必ず2羽が「キリリ、キリリ」と鋭い声で鳴きながら頭上を飛び回って威嚇する。翼の内側はきれいな白だが先端部は黒くて鮮やかなコントラスト。後ろに伸ばした脚は尾の先を超えている。中国地方では冬季だけに飛来する鳥だったらしく、岡山県でも繁殖が確認されたのは近年になってからということだ。  (2016.06.23 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.06.26更新  

№199 アゲハモドキ(アゲハモドキガ科)
 
今の時期ではまだまだ日の高い午後4時ごろ、笹の葉に何かが舞い降りた。アゲハモドキだ。アゲハチョウの仲間のように見えるがガの一種。この写真ではわからないが、体側に赤い部分があり、翅の色もジャコウアゲハの雌によく似ている。ただし、大きさはかなり小さく、この写真の前翅頂間は7cmほど。ジャコウアゲハは毒成分を体内に蓄えていて鳥が食べないそうだが、そのジャコウアゲハに擬態して身を守っているといわれる。、このガを当地で見るのは初めて。食草とされるクマノミズキは多いのだが。  (2016.06.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.06.16更新  

  №198 ササユリ(ユリ科)
 
梅雨の季節も悪くないと思わせてくれるのがこのササユリ。清楚な姿と甘い香りが素晴らしい。野生のものだから、純白から濃いピンクまで株によって花の色には変化がある。イノシシがこのユリ根を好むので荒らされてしまった場所も多いようだ。我が家の場合は急斜面で石が多く、笹の根が地面を縛っているせいだろうか、今年も無事花を楽しむことができた。ある山で業者らしき人間が大量に掘っていったという話も聞いた。心が曇ってしまう嘆かわしい話。  (2016.06.10 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.06.13更新  

  №197 ハナウド(セリ科)
 
林縁の日当たりがよく、しかし湿り気の多い場所によく見られるハナウド。今の時期に白い小さな花を多数つける。白い花火が広がったようで爽やかな印象。一つの花序の中心部の花は花弁が小さく、周辺部は大きい。その中でも外向きの花の花弁は特に大きく、2深裂している。4月の展開したばかりの柔らかい葉は「うど菜」と呼ばれて食用にされる。しかし、それは岡山県北部など限られた地域だけのようで、私が持っている2種類の山菜ガイドブックにも取り上げられていない。  (2016.05.27 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.05.30更新  

  №196 モートンイトトンボ(イトトンボ科)
 
この橙黄色のきれいなトンボはモートンイトトンボの未成熟メス。体は小さいが夕日を浴びて静止している姿を逆光気味で見るととても美しい。成熟すると黄緑色になる。№101ではオスを取り上げたが、こちらも鮮やかな色彩をもつ。田んぼビオトープでは、この魅力的なイトトンボが今最盛期で、多数を見ることができる。絶滅が危惧される種のようで、たしかに他所で見たことがない。2年程前から本種が増え始め、逆にたくさんいたアジアイトトンボをあまり見なくなった。ほとんど同じ大きさのイトトンボなので同所で共存は難しいということかもしれないが本種の方が優勢となった理由は何だろうか?  (2016.05.22 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.05.27更新  

  №195 ギンリョウソウ(イチヤクソウ科)
 
斜面下の落葉を積み上げたところから真っ白なギンリョウソウの花茎が姿を現した。漢字では銀竜草と書くが、うつむいた花の姿はタツノオトシゴや白馬の頭を思わせる。光合成色素をもたないので透き通るような白色だが、花の中を見ると青っぽいめしべの柱頭と黄色っぽいおしべの葯が見える。以前は腐葉土から栄養を得ていると考えられていたが、最近の研究では樹木が光合成で作った養分を、根と共生関係にある菌経由で得ているということらしい。落葉を掘ってみると花茎は10~15cmほどあり、下部には小さな粒状の構造が多数ある。ここから養分を吸収しているのだろうか。まことに不思議な植物。  (2016.05.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.05.10更新  

  №194 キアシナガバチ(スズメバチ科)
 
2階のデッキに上がって春の風景を楽しんでいると大型のアシナガバチが飛んできた。キアシナガバチだ。しばらく様子を眺めているとデッキの木材をかじりはじめた。細い繊維をかじり取っては口で丸くしている。そのうちどこかへ飛び去るが、またやってきて何度も繰り返している。そう、このハチは越冬から目覚めた女王で今、巣作りの真っ最中。古くなった木材から繊維を剥ぎ取って、唾液と混ぜ合わせ、軒下などでおなじみのあの巣を作る。働き蜂が育つまでは女王が1匹で頑張る。そっと見守ってやろう。 (2016.04.22 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.04.25更新  

  №193 キリギリス幼虫(キリギリス科)
 
春の花々が次々と咲きそろい、昆虫も多くなってきた。タンポポの花の上ではキリギリスの幼虫をよく見かける。どうやら花粉を食べているようだ。体も小さく、移動力も乏しい今の時期のキリギリスにとっては都合の良い食糧ということだろう。従来のキリギリスは近年ニシキリギリス、ヒガシキリギリスに分割され、この地のものは形態や分布からニシキリギリスとしてよいと思うが詳しくはよくわからない。 (2016.04.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.04.16更新  

  №192 ミツバツチグリとモモブトカミキリモドキ
 
3月下旬から4月にかけて、斜面の草地でよく目立つ黄色い花がミツバツチグリ(バラ科)。根茎が塊状で葉は3小葉からなるのでこの名がある。本家のツチグリ(バラ科)というのは希少で岡山県では野生絶滅とされている。このあたりで普通に見られる似た花には、ヘビイチゴ、オヘビイチゴなどがあるが、花や葉の形状をよく見れば区別は難しくない。この花にはモモブトカミキリモドキ(カミキリモドキ科)という小さな甲虫が蜜を舐めによく来ている。他の小昆虫も来ているが圧倒的に本種が多い。雄の後脚腿節が膨らんでいるのが名の由来。 (2016.04.06 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.04.08更新  

  №191 コスミレ(スミレ科)
 
3月下旬から4月初めになると野の花が次々と咲き始める。中でも道端で咲くスミレを見つけると、ああ春が来たとうれしい気分になる。スミレの仲間は種類が多く、このあたりだけでも8種ほどが見られる。これはコスミレ。春早くから咲き始める。決して小型のスミレではないが、他のスミレがまだ咲かないこの時期に、花茎も短く葉も小さいが、薄紫のきれいな花を咲かせるこのスミレは可愛い印象で、この名で呼ばれることも不思議ではない。日当たりの良い南向きの斜面に多い。 (2016.03.29 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.04.04更新  

  №190 テングチョウ(タテハチョウ科)
 
3月上旬は気温の変動が激しくて戸惑うことが多い。でも二十四節季の啓蟄を過ぎる頃になると、天気の良い暖かい日には昆虫の活動が見られるようになる。まず姿を見せるのが成虫で冬越しをしていた虫たち。キタキチョウニホンミツバチ、そしてこれはおなじみのテングチョウ。水辺のセリの葉に止まり春の陽光を楽しんでいるかのように見える。もっともこのチョウは真冬でも少し気温が上がった日には姿を見せることがある。どのような場所で寒さをしのいでいるのだろうか。 (2016.03.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.03.08更新  

  №189 アカウソ(アトリ科)
 
冬から春にかけては鳥たちの活動がよく目立つので、ついそちらに目が向いてしまう。この鳥は毎年今の時期に姿を見せる冬鳥のアカウソ。日本で見られるウソの仲間は亜種レベルで3種ということだが、このあたりに姿を見せるのは体下面が赤味を帯びるアカウソのようだ。雄は喉の部分がきれいな紅色をしている。5、6羽の集団でソメイヨシノの花芽を食べに来る。きれいな鳥だが動作がゆっくりしているし、時々ごく小さな声でフィ、フィと鳴くだけなので気付きにくい。ウソというのは口笛の古語ということだが(Wikipedia)、なるほどそのような声だ。 (2016.02.21 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.02.23更新  

  №188 コゲラ(キツツキ科)
 
この時期としては珍しい快晴。小鳥たちの鳴き声も今日はひときわよく響く。コゲラがコナラの細枝でしきりに虫を探している様子。スズメ大の可愛いキツツキ。小さいけれど鋭い爪で樹の幹や縦の枝に止まり、尾で体を支える姿は大型のキツツキと同じ。一年中姿を見ることができる。群れを作らず単独で暮らすが、冬場はエナガの群れに混じっていることも多い。キツツキは漢字では啄木鳥。文字通り木を啄ばむ(ついばむ)鳥。木に潜む虫を相当量食べているのだろう。 (2016.02.11 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.02.13更新  

  №187 ツグミ(ツグミ科)
 
集団で移動してくる冬鳥のツグミも、この時期は単独で畑や草地の地面にいることが多い。盛んに嘴で落ち葉や土をはね飛ばしては餌を探している。時々顔を上げて上空への警戒も怠らない。どのような餌を食べるのか興味があって望遠で何コマも撮影するが、動作が早く、その瞬間を捉えるのは難しい。しかし今は小さな昆虫を見つけたようだ。植物の種子らしいものをくわえたコマもあった。このような場所ではツグミの羽毛は見事な隠蔽色になっている。 (2016.02.02 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.02.04更新  

  №186 ミヤマホオジロ(ホオジロ科)
 
10cmほど雪が積もった朝、ミヤマホオジロが数羽でススキの種子を食べに来ていた。冬に姿を見せる渡り鳥で、スズメよりやや大きい。雄は眼の上と喉が黄色でよく目立つが、この個体は雌で地味な色彩。雑木林の林縁などで見られ、小さなチッという地鳴きで気付くことが多い。それにしてもススキのような小さい種子も食糧として利用するのには驚く。今日は雪が積もって地面で種子を拾うことができないからだろうか。 (2016.01.20 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.01.21更新  

  №185 ノスリ(タカ科)
 
まだ霧が晴れない朝の9時半頃、棚田の電柱の上でノスリがゆったりとあたりを見渡していた。冬場に時々見かけるタカの仲間。見晴らしの良い場所で餌のネズミや小鳥を探していたのだろうか。カラス大でずんぐりとした印象。眼にも鋭さはなく、可愛い顔つきをしている。この写真は飛び立つ寸前のコマなのでやや前傾姿勢になっている。体色が薄いので幼鳥かもしれない。タカを近い距離で見られるとやはり嬉しいものだ。 (2016.01.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.01.06更新  

  №184 アオキ(ミズキ科)
 
アオキは樹林下に多い常緑低木。夏場は地味だが、冬枯れのこの時期には青々とした光沢のある葉と1,5~2cmもある大きな赤い実がよく目立つ。ヒヨドリが丸呑みするのを見たことがあるが、あまり人気はないようで長く残っている。春の花の時期まで残っていることもある。花は3月頃から咲き始める。果実のような派手さはないが、紫褐色の星のような花は春を告げるようでなかなか魅力的。学名はAucuba japonica というが、属名のAucuba(アウクバ)は方言名のアオキバ(青木葉)に由来するという。 (2015.12.27 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2016.01.03更新  

  №183 ガマの穂綿(ガマ科)
 
初冬の湿地ではこのような「綿菓子」がいたるところに。これはガマ(蒲)の穂が崩れて綿毛の付いた種子を飛ばしているところ。穂にぎっしりと並んだ種子(左の茶色い部分)の一部が風などでゆるむと、そこから一気に崩れ、綿毛を開いて風に乗って飛んでいく。種子の総数は10万個ほどもあるという(多田多恵子著「種子たちの知恵」による)。これほどの数があっても発芽率がよくないのだろうか、猛烈にはびこるようなことはない。かつてはこれをふとんの綿として使ったので「蒲団」という漢字をあてるそうだ。 (2015.12.19 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.12.21更新  

  №182 モズ(モズ科)
 
ぐずついた天気が続いて久しぶりによく晴れた日の朝。モズのキイキイという高い声がいつになく騒がしかった。雄4羽が縄張り争いを繰り広げているようだった。それほど激しく攻撃し合うわけではない。1羽が樹の梢や電線に止まると他個体が飛んでくる。静止していた方は反撃することなく逃げる。入れ替わって静止したところに他の雄が飛んでくると今度は逃げる。こんなことの繰り返し。どの個体が優勢なのか一向にわからない。1時間以上続いていたがいつしか静かになった。翌朝、付近の一番高い木の梢で1羽の雄が静かにあたりを見回していた。この個体が勝者なのだろうか。しかしどのように決着したのかよくわからない。写真はキリの木の梢で鳴く雄。 (2015.11.11 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.11.13更新  

  №181 ヤマハゼ(ウルシ科)
 
雑木林の伐採跡地がカラフルに染まっていた。ひときわ目を引くのがヤマノイモの黄葉とヤマハゼの紅葉。同じくらいの大きさのヤマハゼの若木が多く、緑や黄色の中に赤く鮮やかに浮き上がってとても美しい。樹林下で眠っていた種子が、伐採で明るくなって一斉に発芽したのだろう。ヤマハゼとヤマウルシはよく似ていて紛らわしいが、小葉の幅が狭く、側脈の数が20対ほどあることなどからヤマハゼと判断した。 (2015.11.06 津山市)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.11.08更新  

  №180 リンドウ(リンドウ科)
 
オミナエシやアキノキリンソウの花も終わり、寂しくなった斜面を彩るリンドウの花。田の周辺では花の前に刈られてしまうことが多いが、注意して刈り残してやると今の時期、紫の花が遠目にもよく目立って美しい。この写真は斜面の上から垂れ下がった株に群れ咲く花々。漢字では龍胆(竜胆)。根がとても苦く、健胃効果を持つことから生薬として「龍胆(りゅうたん)」と呼ばれ、それが訛ってリンドウの名になったという。 (2015.10.23 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.10.29更新  

  №179 ルリタテハ(タテハチョウ科)の羽化
 
ユリ(カサブランカ)の葉を食べていたルリタテハの幼虫が順調に成長し、蛹になって羽化の時を迎えた。羽化が近づくと蛹の色は黒っぽくなる。この蛹もずいぶん黒ずんできたので羽化の瞬間を撮影しようと気にかけていた。昼頃に蛹の殻が割れ始めているのに気付き、急いでカメラを取りに行って戻るとすでに脱出した後だった。ずいぶんすばやく脱出するようだ。この日はここで十分に翅を伸ばし、次の日、暖かくなってから飛び去った。成虫で越冬する蝶なので、これから栄養を蓄えて越冬にそなえるのだろう。 (2015.10.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.10.20更新  

  №178 ヤクシソウとキタキチョウ
 
日中の日差しはまだまだ強いが、空気はきりっと引き締まり心地よい。そんな季節に良く似合うヤクシソウ(キク科)。いたるところに生えてくるので刈ってしまうことも多いが、できるだけ残すようにしている。花が綺麗だし、虫たちのお気に入りでもあるから。チョウ、ガ、ミツバチの仲間などがひっきりなしに吸蜜に来ている。今日はキタキチョウ(シロチョウ科)がご執心。目に鮮やかな黄色の共演。強い斜め光線もあり、露出が難しい被写体ではある。 (2015.10.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.10.10更新  

  №177 ウスバツバメガ(マダラガ科)
 
毎年9月下旬から10月上旬にかけて、朝早くから白い蛾が多数ヒラヒラと飛び、この時期の風物詩のようになっている。ウスバツバメガという昼飛性の蛾だ。翅の鱗粉が少なくて透明感があり、後翅には尾状突起があるのでこのような名をもつ。成虫は年に1回だけ、今の時期に現れる。この写真はサクラの枝で交尾中のもの。左の細い触角の個体が雌、右が雄。幼虫越冬で幼虫はサクラやウメなどの葉を食べるということだ。幼虫は派手な体色をもつらしいがまだ見たことがない。来年には探してみたい。 (2015.09.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.09.30更新  

  №176 マツムシソウ(マツムシソウ科)
 
高原の秋の花の代表、マツムシソウ。爽やかな色の花が風に揺れる様はまことに涼しげで、登山者を癒してくれる。このような形状の花は頭状花(とうじょうか)または頭花(とうか)と呼ぶが、キク科の花と同じように多数の小花からなる。中央部の小花は浅く5裂した筒状だが、周辺部の小花の下側の花びらは3裂して大きく外へ突き出し、頭花を目立たせている。マツムシソウの名の由来は諸説あるが、はっきりしないようだ。 (2015.09.20 真庭市上蒜山)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.09.22更新  

  №175 ヤマガラ(シジュウカラ科)
 
アカマツの林でヤマガラが数羽賑やかに活動している。しきりにアカマツの松ぼっくりをつついているようだ。双眼鏡は持っていなかったので、高倍率ズームのデジカメで撮影し、後でパソコン上で拡大して見た。松ぼっくりの鱗の間から種子を引っ張り出しているところが写っていた。ヤマガラは夏には主に昆虫などの動物質を、冬には主に果実や種子を食べるということだ。エゴノキの種子を好むのはよく知られているが、マツの種子もお気に入りのようだ。 (2015.09.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.09.15更新  

  №174 コケオトギリ(オトギリソウ科)
 
8日は二十四節季の白露。草の葉に白い露が結ぶ季節という意味だそうだ。湿った休耕田で赤く染まった小さな草が目に止まった。木々の紅葉はまだ早いが、この草紅葉は見事。しかも黄色の小さな5弁の花を咲かせている。初めて見る植物で名前を調べるのにちょっとてこずったが、花の特徴からこの名にたどり着いた。コケのように小さいことからこの名になっているらしい。種子での繁殖以外に、11月頃に珠芽(むかご)を作って無性的な繁殖もするということなので継続して観察したい。 (2015.09.08 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.09.09更新  

  №173 オナガアゲハ(アゲハチョウ科)
 
クサギの花はアゲハチョウの仲間がよく吸蜜に来る。今日は珍しくオナガアゲハの雌が来た。今の時期のアゲハチョウ類は翅が傷んでいてちょっと哀れを誘うことが多いが、この個体は長い尾状突起も折れず、比較的きれい。しかし写真で見ると右の前翅が傷んでいる。間もなく食草のコクサギサンショウカラスザンショウなどに産卵して命を次の世代に委ねるのだろう。暑かった今年の夏も終わりのようだ。 (2015.08.29 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.08.30更新  

  №172 ヤブデマリ(スイカズラ科)
 
残暑は厳しいが夏もそろそろ終盤。高原では涼しい風が吹くようになった。8月後半から10月にかけての楽しみは木の実ウオッチング。緑一色で単調だった森に彩りが戻ってくる。これはヤブデマリの実。緑色だったものが今の時期から赤く色づき、熟すと黒く変化する。花序の枝も赤くなるのでよく目立つ。春は白い花で虫たちを呼び、秋は赤い果実で鳥たちにアピールする。季節と共に変化する植物の姿を追うのも楽しい。 (2015.08.11 真庭市)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.08.22更新  

  №171 キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)
 
8月になると森陰でこの花が目を引くようになる。ヒガンバナ(№1№124)と同じLycoris属の有毒植物で、やはり花の時期には葉はない。ヒガンバナのように注目されることはないが、朱色の炎を思わせる花はこの時期を象徴するようにも思える。8月は戦火で不条理な死を余儀なくされた方々への祈りの日が続く。15日は終戦の日。しかし今年は、「戦後」を否定したい一部の人たちによって新たな「戦前」が作りだされるのではないかと落ち着かない8月である。 (2015.08.11 真庭市)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.08.13更新  

  №170 キカラスウリの花
 
カラスウリ類は秋に赤や黄の果実がよく目立つが、花は夜に咲くので気付きにくい。しかし、このように縁が細かく裂けた独特の美しい姿で、一度見ると忘れられない。雌雄異株でこれは雄花。夜に活動するスズメガなどが花粉の媒介をするようだ。この植物の根から採れるデンプンは、江戸時代には天花粉(てんかふん・天瓜粉とも)の名で現在のベビーパウダーのように利用されたという。その名残りか、私が子どもの頃にも「あせも」よけの粉は「テンカフン」と言っていた。でも「カタクリ粉」と同じで、すでにキカラスウリのデンプンではなかっただろう。 (2015.08.05美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.08.08更新  

  №169 アブラゼミの羽化
 
暗くなる頃からアブラゼミの羽化が始まった。地上20cm位の細枝。セミでもトンボでも蝶でも羽化シーンは何度見ても感動的。セミや多くのトンボ類では、羽化の前半は頭部を下にぶら下がるようにして体を徐々に引き出し、後半は体をグッと持ち上げて抜け殻につかまり、全身を引き出すと静止して翅を伸ばす。アブラゼミの翅は褐色だが、この段階では白っぽく、縁部と太い脈に淡青色が入って美しい。脈の中に体液を送りこむことによって翅が伸びるということだが実にうまくできているものだ。蚊の攻撃に耐えられずこのあたりで観察終了。翌朝6時頃に見たらすでに姿はなかった。無事飛び立ったのだろう。 (2015.07.29美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.07.31更新  

  №168 イソノキ(クロウメモドキ科)
 
枝の先端近くに鮮やかな赤い実がよく目立つ。イソノキという。2、3年名前がわからず写真を?フォルダに入れていた木だ。花が咲いているときには気付かず、赤い実ができてあれ?と思う。ある年、春から花を見てやろうとずっと注意していてようやく見ることができ、名前にたどりついた。6月に、小さくてほとんど開かず、つぼみと変わらないような花を少しずつ咲かせる。雨で花粉が流されないようなしくみかもしれない。漢字では磯の木だが海岸沿いには分布しない。この名も不思議。 (2015.07.23美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.07.24更新  

  №167 ブッポウソウ(ブッポウソウ科)
 
ブッポウソウは夏鳥として日本に渡ってくる。大きさはハトよりやや小さいくらい。環境省レッドデータブックで絶滅危惧種となっているが、岡山県では保護活動の成果で局所的ながらかなりの数を見ることができる。ここ美咲町でも姿を見かけるので巣箱を設置したところ毎年繁殖が行われるようになった。光沢のある深い青緑色で嘴と脚が赤橙色。翼の内側に大きな白斑があり飛翔時にはよく目立つ。飛行の名手でもあり飛ぶ姿は美しいが、鳴き声は「ゲッ・ゲゲゲッ」というような悪声。今頃は子育ての末期でそろそろ巣立ちという時期。この個体も何となく幼げで巣立ったばかりの若鳥かもしれない。 (2015.07.14美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.07.14更新  

  №166 キイトトンボ(トンボ科)
 
キイトトンボが繁殖期を迎えているようで活発に動いている。体調40mm程で腹部が太くイトトンボの仲間にしてはたくましい印象。雄(写真)の腹部は鮮やかな黄色で先端部の背面は黒い。湿地や放棄水田などでよく見かけるありふれた種類だが、明るい黄色~黄緑の体色、上下動しながらの飛行、雄が直立姿勢をとる連結産卵など見ていて楽しいイトトンボ。葉に付いた小さな昆虫を引きはがすようにして盛んに捕食する。他のイトトンボ類もそうだが、小さくても生態系の中で果たしている役割は大きいのだろう。 (2015.07.03美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.07.06更新  

  №165 ウツボグサ(シソ科)
 
散歩中にウツボグサの大きな群落を見つけた。漢字では空穂草または靫草。空穂(靫)というのは矢を収納する筒状の武具のことで、この草の花後の枯れ穂の姿からこの名がつけられたという。まっすぐに伸びた茎の先に紫色のシソ科特有の唇形花が集まってつく。緑の中に紫の花が浮かび上がって美しい。この場所は手入れする人がいなくなって荒れた細道。ちょっと複雑な気持ちになる。 (2015.06.22美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.06.23更新  

  №164 イチヤクソウ(ツツジ科)
 
樹林の中の小道脇。日は射さないがそれほど暗くもない場所で、今年もひっそりとイチヤクソウの花が咲いた。花茎の高さは20cmほど。径1cmほどの白い花が下向きに咲く。梅雨時の蒸し暑く湿った道を歩くのはちょっと気が滅入るものだが、この花を見つけるとうれしくなって、しばし脇にしゃがみ込み、低い目線で観賞する。花も魅力的だが樹林の風景も新鮮に見える。以前はイチヤクソウ科とされていたが、最新の植物分類体系ではツツジ科とされる。 (2015.06.17美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.06.18更新  

  №163 モリアオガエルの卵塊
 
新聞にモリアオガエルの産卵が報じられていたので、そことは違うが県北の湿原を訪ねた。まずまずの数を確認できたのでひと安心。このカエルは下に水がたまっている場所の木の枝や、時には田の畦の草むらなどにも産卵する。卵塊は直径10~20cmほど。中で卵が孵ってオタマジャクシの状態で下の水中に落下する。成体も見たかったが残念ながら鳴き声だけ。他にはハッチョウトンボやトキソウ・ノハナショウブの花などが見られた。しかしこの湿原もあまり保全策が講じられている様子ではないので今後が気になる。 (2015.06.09 津山市)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.06.12更新  

  №162 ネジキ(ツツジ科)
 
5月後半は少雨で困ったが、6月2日の夜から翌朝にかけてかなりの量の雨が降り、その日に梅雨入りの発表。それに合わせるかのようにネジキの花が咲いた。長さ8mmほどの壺形で白い花が並んで下向きに咲く。この木は幹がねじれたように見えるところからこの名がある。冬芽の頃の若枝が赤くて美しいが、それ以外は地味な木である。しかし、入梅の頃に純白の花を多数つけた様は清楚で美しく、顔を近づけると素晴らしい芳香もある。雨に濡れた花も風情があって、梅雨の季節も悪くないと思わせてくれる。 (2015.06.03 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.06.05更新  

  №161 アオスジアゲハ(アゲハチョウ科)
 
アオスジアゲハゴンズイの花からせわしく吸蜜していた。この花は小さくて目立たないが、香りが良く蜜も多いようで昆虫がたくさん集まる。今日見ただけで他に蝶はアサマイチモンジクモガタヒョウモンヒメウラナミジャノテングチョウ。蝶以外ではキイロスズメバチベニカミキリ、小型のハチやハエの仲間など。ゴンズイという奇妙な名前については、役に立たない木なので役に立たない魚であるゴンズイの名をあてた、という説が紹介されることもあるが、花粉媒介昆虫の生活を支えるという大切な役割を果たしていて、昔の里人もそのことに気付いていたはず。魚のゴンズイ由来説は根拠のない思いつきに過ぎないだろう。 (2015.05.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.05.27更新  

  №160 ニッポンヒゲナガハナバチ(コシブトハナバチ科)
 
天気の良い日、アイリスの花にさまざまな昆虫が来ていた。これはニッポンヒゲナガハナバチの雄。名の通り触角がたいへん長くて体長ほどもある。ただし、これは雄だけ。よく見ると胸の後ろのほうに何か付いている。毛の長いハナバチ類で時折見かけるが、これはダニなどではなく、ランの花の花粉塊。ハチがランの花にもぐり込んで上部の雄しべに触れると、先端のカプセル(葯)がバネ仕掛けのようにくるりと反転して花粉の塊を押しつける。その根元には粘着部があって虫の体にしっかりと接着する。そして他の花に花粉をまとめて運んでもらう。不思議で面白い世界がここにも。 (2015.05.15 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)  2015.05.19更新  

  №159 オニグルミ(クルミ科)
 ゴールデンウイークも過ぎ、緑が日一日と濃くなっていく。新しい葉の展開と同じ頃に花を咲かせる樹木が多いが、これもその一つでオニグルミの雌花。色も形も不思議な花。花びら?と思う濃赤色のものは雌しべの先端部(柱頭)で、ここで花粉を受ける。その下の部分は花弁やがく片などに相当する部分が合着したものとされ、内部の子房を包んでいる。先端が粘る白い毛が密生している。雄花の集団は雌花の少し下の部分から房状に垂れ下がるが、この木ではすでに枯れて落下していた。左側の葉と花のつぼみはこのオニグルミにからみついているツルウメモドキのもの。(2015.05.10 岡山市北区)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.05.12更新  

  №158 ホオジロ(ホオジロ科)
 小鳥の声がよく響く季節になった。キリの木の梢でホオジロが大きな声でさえずっていた。双眼鏡で見ると口を大きく開いて発音しているのがよくわかる。鳥の声を人間の言葉に置き換えて覚えやすくしたものを「聞きなし」というが、ホオジロの聞きなしは有名で、「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」または「源平つつじ白つつじ」。個体により前者に近いものと後者に近いものがいるような気がする。「特許許可局」のホトトギスがやってくるのももうすぐ。(2015.05.03 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.05.04更新  

  №157 カタクリ(ユリ科)
 県北西部、鳥取県との県境になる尾根。そこかしこにカタクリの群生があって今がちょうど開花期。西南日本では少ないが、岡山県では北部に分布地が点在する。落葉広葉樹がまだ葉を展開しない早春に開花し、その後地上部は枯れて姿を消す。最近はよく耳にするようになったが、このような植物はスプリング・エフェメラル(春植物)と呼ばれ、「春の妖精」という表現をされることも多い。反り返った薄桃色の花が群れ咲く様子はその言葉にふさわしい。発芽から開花までに7~8年を要するという。カタクリが咲く自然を大切にしたいと思う。(2015.04.24 新庄村)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.04.26更新  

  №156 ミツマタ(ジンチョウゲ科)
 県北東部の粟倉村を訪ねた。よく手入れされた明るい杉植林の中で、ミツマタの花が満開。木漏れ日に輝いて小さな明かりをいくつも灯したよう。名の通り枝先が三つ又になっていて、それぞれの先端部に20個ほどの花が頭状に集まってついている。花弁はなく、筒状のものは蕚(がく)。枝の外皮の下に強靭な繊維をもち、コウゾ、ガンピとともに和紙の原料として有名。お札の原料としても使われているそうだ。岡山県北部、美作(みまさか)地方は昔からこのミツマタの栽培が盛んであったようで、この場所では今も栽培されているのだろう。(2015.04.16 西粟倉村)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.04.19更新  

  №155 コブシ(モクレン科)
 道路脇に10m超のコブシの大木がある。今ちょうど満開で、枝先にたくさん着いた白い花が見事。同じ科のタムシバと葉ではすぐに区別がつくが、花はよく似ていて、花の時期には葉がないので紛らわしい。しかしコブシでは花のすぐ下に小型の葉が付いている場合が多いので、これでわかる。コブシの名は果実がデコボコで人の握りこぶしに似ていることによるという。漢字では「辛夷」の字をあてるが、中国ではこの字は木蓮をさすそうだ(Wikipediaによる).。写真のこの木は自生なのか植えられたものなのか、はっきりしない。(2015.04.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.04.10更新  

  №154 イボタガ(イボタガ科)
 春にだけ現れる大型の蛾。左右翅の先端間の長さ(開張)は8~10cmほどある。複雑な独特の翅の模様をもつ。前翅には大きな眼状紋があって、鳥などの外敵を驚かせる効果があるのだろう。食草はイボタノキ、ネズミモチ、ヒイラギ、トネリコなど。この個体は近所の人が家の外壁に止まっていたのを持ってきてくれたもの。気温が低く、うまく飛べないので草の上に下ろして撮影した。最近は数が減ってきているのか久しぶりに見ることができた。(2015.03.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.03.31更新  

  №153 ツクシ
 春のお彼岸のころになると、日当たりの良い南斜面にツクシが一斉に出てくる。言うまでもなくスギナ(シダ植物、トクサ科)の胞子茎。成熟すると上部の膨らんだところから大量の緑色がかった胞子を出す。この胞子には弾糸というひも状のものがついていて乾湿運動をする。湿ると胞子本体に巻きついた状態になり、乾くと瞬時に伸びて胞子を弾き飛ばす。胞子を春の風に乗せて遠くに飛ばす精妙な仕組み。(2015.03.20 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.03.21更新  

  №152 フキノトウ
 内陸部の当地では3月前半はまだまだ寒さの厳しい日が多く、朝、うっすらと雪化粧ということもよくある。そんな日のフキノトウ。フキは雌雄異株(しゆういしゅ)で雄株と雌株がある。よく見比べると、フキノトウと呼ばれる頃からつぼみの形状で区別がつく。この写真は雌株。雄株(昨年の№82は雄株)の花茎は花が終わるとすぐに枯れてしまうが、雌株の花茎は上に伸びて白く美しい綿毛で種子を飛ばす。それはもう一月以上後の話。(2015.03.10 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.03.15更新  

  №151 コゲラ(キツツキ科)
 スズメ大の小型のキツツキ。一年中姿を見かける。冬はエナガの群れと一緒に行動していることも多い。ギーという特有の鳴き声と木をつつくコツコツという音で気づくことが多い。今日はウワミズザクラの細枝で何かに執着している様子だったが、写真を拡大して見るとカマキリの卵鞘だった。つつかれて形が変わっているので種類ははっきりしないが、オオカマキリハラビロカマキリだろう。外敵から卵を守るために高い木の梢に登って産卵したのだろうが、目ざといコゲラに見つかってしまったようだ。コゲラのタラララッというドラミング音が響く春も近い。(2015.02.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.02.26更新  

  №150 ネコヤナギ(ヤナギ科)
 このカタツムリのようなものはネコヤナギの花芽。赤褐色の殻は昨年の葉の付け根の部分が肥厚したもの(画面下部のものはまだ枯れた葉が残っている)。真冬にはこの殻が枝にぴったりと張り付いているが、ここ数日、中から白い綿毛が顔をのぞかせ始めた。これが雌花序と言って、おなじみの「ネコヤナギの芽」。3月になると殻は脱落してツヤツヤした綿毛の塊が細い枝に並び、その中からめしべが突き出してくる。よく見ると綿毛と殻の間にはカプセル状の鞘のようなものもある。つまり花芽は綿毛、カプセル、殻と3重のカバーで被われていることになる。役目を終えた葉まで利用した完璧な防寒対策には驚くばかり。(2015.02.16 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.02.18更新  

  №149 アセビ(ツツジ科)
 昨年末に郵便局でもらったカレンダーに月々の時候のあいさつ例が出ている。2月は「余寒の候」、「春寒厳しい折から」など。内陸部の当地の2月も厳しい寒さの日が多い。天候が安定せず雪もよく降る。しかし、2月になると他の花に先だってアセビが咲きだす。この花を見ると、もう少しの辛抱だと思う。カレンダーの中にこういうのもあった。「寒さの中にも春の足音が」。(2015.02.09 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.02.11更新  

  №148 アカゲラ(キツツキ科)
 今朝は珍客アカゲラの来訪。ムクドリ位の大きさのキツツキの仲間。背中の八の字を逆にしたような白斑がよく目立つ。この個体は後頭部が赤いので雄。自宅周辺でもたまに見かけることはあったが、警戒心が強く、すぐに逃げられていた。今日は10分以上もいて、クリやコシアブラの枯れた枝をしきりにつついていた。キツツキの仲間は足指の2本を前向き、2本を後ろ向きにして木の幹にとまるが、写真で拡大するとそれが確認できる。最近は高倍率ズームのデジカメが手頃な値段で手に入るので、自然観察のツールとしてたいへんありがたい。(2015.01.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.01.30更新  

  №147 透かし俵
 これはクスサンの繭。長さ6cmほど。網目状のその形状から「透かし俵(すかしだわら)」と呼ばれる。クスサンは9~10月に羽化するから今の時期にある繭はすべて抜け殻。この写真のものは網の一部が破れ、中にあるはずの蛹の抜け殻もないので、おそらく羽化前に外敵に食われてしまったのだろう。しかし、大変丈夫な網で、指で引っ張ったくらいでは全く破れない。かつてはクスサンの終齢幼虫から絹糸腺を取り出して引き延ばし、テグスを作ったという。その丈夫な成分で網を編んでいくのだろう。蛹を守る頑丈なバリア。この網を破った犯人は誰?(2015.01.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.01.26更新  

  №146 ヒヨドリ(ヒヨドリ科)
 今日は大寒。寒さ厳しい日が続く。これはおなじみのヒヨドリ。里山から市街地まで普通に見られる。繁殖期以外は植物食で木の実を好んで食べる。甘いものも好きでツバキ、ウメ、サクラなどの蜜を吸う。木の実も減り、花には早い今の時期はさすがに食べ物に不自由するようで、畑に残ったハクサイやキャベツをよく食べに来ている。この日は地面で大きな葉を食べているので、よく見るとダイコンの葉。捨てられていたものを見つけたようだ。以前には春先にタンポポの花を食べるのを見たこともある。いろんなものを食べて冬を乗り切るたくましい鳥だ。(2015.01.13 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.01.20更新  

  №145 ツグミ(ツグミ科)
 冬鳥の代表選手ツグミ。岡山県には11月上旬頃やってきて4月頃までを過ごす。渡ってきた当初は大きな群れで行動し、木に残った柿などを食べるのをよく見かける。今の時期には単独~数羽で、地面に降りて虫などを探す姿を見ることが多い。しかしたまたま訪れたこの場所では、かなり大きな集団でクロガネモチの実をついばんでいた。この実は鳥たちの好物でよく食べられるが、内部の堅い種子は消化されずに糞と共に排出され、離れた場所で芽生えるチャンスができるので、双方にメリットがある。赤い色は鳥たちへのアピールのようだ。(2015.01.12 総社市)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.01.13更新  

  №144 エナガ(エナガ科)
 今の時期、天気の良い日には必ずエナガの群れが雑木林にやってくる。チュリリ、ジュリリと独特の声で絶えず鳴き交わしているので、ああ来たなとすぐに気がつく。体長はスズメと同じくらいだが、長い尾が体長の半分を占めるので、スマートで愛らしい印象。和名は柄の長い柄杓(ひしゃく)に由来するとか。小さな嘴で枝や樹皮をつついて餌を探し、忙しく移動していく。この写真のリョウブの幹に白い斑点がたくさん付いている。確認が必要ではあるがエナガがカイガラムシを食べた痕跡のように見える。1個体は小さいが、エナガが果たしている役割はとても大きいのかもしれない。(2015.01.04 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.01.07更新  

  №143 ナンテン(メギ科)
 新年明けましておめでとうございます。本サイトも3年目に入ります。中身の向上もなかなか進みませんが、時折訪ねていただけたら幸いです。
 お正月ということで縁起物のナンテン。名前が「難を転じる」に通じるので、というのはよく知られた話。そうでなくてもこの時期、艶のある赤い実と常緑の葉が冬の陽に輝くさまは見る目に心地よい。垂直に近い崖に垂れ下がるように実をつけているのを見ることも多い。そのような厳しい環境に適応するたくましさももった樹のようだ。今年が難事のない穏やかな1年でありますように。(2014.12.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2015.01.01更新
  

  №142 ヤツデ(ウコギ科)
 ヤツデの花は11~12月に咲く。この花は面白い咲き方をする。左は(ピークを過ぎているが)雄しべがあり、先端には白い葯(やく)が見える。この時期には雌しべはまだ小さく未熟な状態(雄性期の花)。右はより早く開花した花で、雄しべも花弁も脱落してしまい、代わりに花柱が突き出している(雌性期の花)。このようにヤツデの花は両性花でありながら、雄花から雌花へと移行していくことによって自家受粉を避けている(雄性先熟・ゆうせいせんじゅく)。逆に雌性先熟という植物もある。ただこの写真のように雄性期の花と雌性期の花が混在すれば、株内での交配を完全に避けることにはならないだろうと思うのだが…。もう少しよく観察する必要がある。(2014.12.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.12.28更新  

  №141 センダン(センダン科)
 葉をすっかり落とした高木に黄褐色の実が群がりついていたらそれはセンダンの木。果実には金鈴子(きんれいし)というきれいな呼び名があって、俳句で使われるようだ。確かに鈴なりの果実が、冬の晴れ間に輝くように揺れる様は美しい。センダンの名の由来には諸説あるが、千珠(せんだま)または千団子(せんだんご)からという説(深津・小林「木の名の由来」、東書選書)がわかりやすい。この果実はかつて駆虫剤として利用されたということで、苦味成分があり、鳥も好まない。しかし、電線に多数止まったムクドリがこの実の核を糞とともに地面に落とすのを見たことがあるので、時期が来れば利用されるのだろう。(2014.12.14 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.12.21更新  

  №140 ヒヨドリジョウゴ(ナス科)
 野山の風景もすっかり寂しくなった。そんな中で色鮮やかな果実を見つけた。ヒヨドリジョウゴだ。鵯上戸と書き、野鳥の鵯(ヒヨドリ)がこの実を好んで食べることに由来するという。しかし、この実は有毒物質を含むので好んで食べることはないとしてある資料も。一体どちらだろうか?成長旺盛なつる植物なので毎年早々に刈ってしまうが、一部残しておいて身近で観察する必要がありそうだ。それにしても、果実が鳥や小動物に食べられることで種子散布を図る植物のように見えるし、そのための鮮やかな色だと思うが、それが有毒とはどういうことだろう?一度に食べ尽くされないように?(2014.12.10 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.12.15更新  

  №139 イカル(アトリ科)
 早くも師走。イカルが里にやってきた。1羽だけでヌルデの実を熱心に食べていた。黄色い大きな嘴とクリッとした目が魅力的だ。もうしばらくして春が近づく頃には独特の美声も聞かせてくれるだろう。ヌルデの実も今はまだたくさん残っているが、小鳥たちの冬場の大切な食料となっているようで、やがてすべて無くなってしまう。ヌルデは地味であまり役に立たない木のようだが、花には多くの虫が集まるし、このように果実も鳥たちの命を支える。人間の物差しだけで自然を見てはいけないと思う。今朝はイカルが2羽になっていた。仲間を連れてきたようだ。(2014.12.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.12.06更新  

  №138 フユイチゴ(バラ科)
 10時を回った頃にようやく霧が晴れ、日が差し始めた。落ち葉が積もった雑木林の林床に今フユイチゴがたくさんの実をつけている。透け通るような赤い果実に低い位置からの陽光が差し込んでつやつやと輝く。ありふれた自然の中にも感動がある。
 フユイチゴの花は9月頃に咲く。1つの花に雌しべが多数あって、それぞれの子房が果実となる集合果と呼ばれるものだ。中の種子がざらつくがなかなか美味しい。もっと寒くなって鳥たちが地上で餌を探すようになると素敵なご馳走となるのだろう。(2014.11.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.11.29更新
  

  №137 オオムラサキの幼虫
エノキの落葉をめくってオオムラサキ(タテハチョウ科)の幼虫を探した。このエノキは毎年発生が見られる木だが、なぜか今年は落ち葉の量が少なく、幼虫も3頭しか見つけられなかった。2本の角と背中の4対の突起が特徴だ。夏に葉の上で孵化した幼虫は、エノキが葉を落とす頃になると幹を伝って下に降り、落ち葉の裏に張り付いて越冬する。葉上にいる時は緑色をしているが、今は枯れ葉と同じような色に変っている。6か月もの長い期間この状態で寒さをしのぎ、春に再び幹を上って若葉を食べ成長を再開する。この頃には体色は再び緑色になる。しかし、無事に冬を越せるのはごく一部だろう。そっと落ち葉を元通りに戻した。(2014.11.20 高梁市)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.11.24更新  

  №136 マムシグサ(サトイモ科)
 落ち葉がたまった地面にひときわ目に付く真っ赤なツブツブ。マムシグサの熟した果実だ。この時期には葉は枯れ、茎も倒れているので、これは何だろうと思う人が多いようだ。サトイモ科の花は肉穂花序(にくすいかじょ)といって多数の小さな花が多肉の軸につく。マムシグサの花もも同じ構造で、さらに外側が緑色の仏炎苞(ぶつえんほう)というカバーに包まれている。秋になると花は赤色の果実となり、軸はさらに肥大して暗赤紫色の台座になる。仏炎苞は枯れて剥がれ、このようなものが現れる。ちょっと毒々しい色なので口にする人はまずないと思うが、シュウ酸カルシウムを含み、毒性をもつので食べてはいけない。(2014.11.16 新庄村)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.11.18更新  

  №135 ホトケノザ(シソ科)
 おや?と思われる方も多いだろう。これは春の野の代表的な花だ。その花が今、畑でかなりの数咲いている。陽だまりでは他にも春の花が見られる。オオイヌノフグリ、ナズナ、コスミレ、ゲンゲ(レンゲソウ)など。珍しいことではなさそうだ。まだこの時期、天気の良い日には活動している昆虫もいるから、無駄にはならないのだろう。昆虫の側からもありがたい開花ということになる。春のような穏やかな日もあれば、北風に木の葉が舞い上がる日もあって冬へと季節が進んでゆく。(2014.11.12 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.11.14更新  

  №134 ヤブコウジ(ヤブコウジ科)
 棚田の斜面の草が茂ったところを刈っていたら赤いものが見えた。丁寧に草をのけるとヤブコウジの実だった。雑木林の樹下や林縁で普通に見られる植物だが、この場所は予想外だった。しかしここは夏の直射を避けられ、秋から早春にかけては日当たりが良いという好環境なのかもしれない。ごく小さな樹で10~20cmほどしかない。色どりの乏しい冬に赤い実が愛らしい。正月の縁起ものとしては「十両」と呼ばれることもあり、万両(ヤブコウジ科)、千両(センリョウ科)、百両(ヤブコウジ科のカラタチバナをさす)より番付?は低いが、したたかな強さをもっているようだ。(2014.11.06 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.11.09更新  

  №133 キタキチョウ(シロチョウ科)
 2、3週間前までよく花を訪れていたツマグロヒョウモンなどのヒョウモンチョウ類も見なくなった。代わってこのごろの晴天の日には、写真のキタキチョウアカタテハキタテハなどがよく花に来ている。いずれも成虫で越冬する蝶たちだ。冬越しのためのエネルギーを蓄えているのだろうか、熱心に吸蜜をしている。この小さな花はキツネノマゴ(キツネノマゴ科)。漢字では「狐の孫」。この花の穂をキツネの尾に見立てたとか、花がキツネの顔のようだからと諸説あるようだが、面白い名だ。「キツネノゴマ」と思い込んでいる人も多いようで、以前の私もその一人。(2014.10.30 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.11.01更新  

  №132 リョウブ(リョウブ科)
 身近な木々の葉も色づき始めた。これはリョウブ。紅葉と書くべきか、それとも黄葉か。個体差もあるようでこの木は黄色味が強い。カエデ類ほどの華やかさはないが、青空に映えてきれいだ。リョウブは地味な木だが、春の若葉と秋の葉の色、どちらもとても魅力的。この秋はウワミズザクラヤマザクラの紅葉も美しい。コナラもそろそろ。静かに里山の秋が深まってゆく。(2014.10.24 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.10.26更新  

  №131 チカラシバ(イネ科)
 今日は二十四節気の霜降(そうこう)。霜が降りだす頃という意味だそうで、その通り朝晩グッと冷え込むようになった。この季節、当地では朝に深い霧が立ち込めることがしばしば。写真はチカラシバの穂。黒っぽく見える部分が実(果実)で、その根元から、長いものでは2cm以上もある針状の毛が何本も伸びている。この毛の先端や、からみついたクモの糸に小さな水滴がたくさんついて、なかなか面白い。力芝というように頑丈な草で簡単には抜けないし、このまるでブラシの毛のような部分も、実が熟す頃にはバラバラにはずれて犬の毛や毛糸にくっつく。やっかいな草だけど、この季節にこんな風景を見るために少し刈り残したりもする。(2014.10.18 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)   2014.10.23更新  

  №130 キジ(キジ科)
 最近、雄のキジをよく見かける。鳴き声もよく聞く。春の繁殖期の鳴き声は「ケッケーン」に近いような声で、直後に両翼を胴に打ちつけて「ブルル」とも「ドドッ」とも聞こえる音を出す(母衣打ち・ほろうち)。今の季節は「ケッケー・ケッケー…」と甲高く鳴き、母衣打ちはしない。冬の餌場確保のための縄張り宣言かなとも思うがよくわからない。この写真は歩くコースを予測してカメラを構えて固まっていたら、案の定至近距離に。キジくんも不審に思ったかしばらく固まっていてくれた。日本の国鳥で岡山県の県の鳥にも指定されている。(2014.10.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.10.18更新
  

  №129 アオイトトンボ(アオイトトンボ科)
 アオイトトンボ科というトンボのグループがある。イトトンボの仲間(イトトンボ科)よりひとまわり大きい体をしている。このあたりではアオイトトンボオオアオイトトンボホソミオツネントンボの3種がいるようだ。写真のアオイトトンボは5月頃から11月上旬くらいまで成虫がいる。あまり活発に飛ぶトンボではないので目につきにくいが、繁殖期のこの時期には林縁や水辺で時折見かける。アオイトトンボとオオアオイトトンボはこのように翅を八の字型に開いて静止する特徴がある。アオイトトンボの雄は成熟すると複眼が深いブルーになって間近で見るととても美しい。(2014.10.10 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.10.15更新
  

  №128 ヤマガラの水浴び
 小鳥たちの水浴び用に浅い容器に水を入れてある。高さ1m位の支柱の上にあり、周囲を見渡すことができる。すぐ近くには逃げ込める林もある。警戒心の強い小鳥たちにも受け入れられているようで、年間を通じて数種類の鳥たちが利用する。今日はこのヤマガラとシジュウカラが何度もやってきて盛大に水しぶきを上げていた。鳥たちにとって、羽毛につく虫や汚れを落とすのに水浴びは欠かせないようだ。秋の午後の強い斜光線で背景の林が暗くなってしまったが、水しぶきがよくわかるのは怪我の功名。(2014.10.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.10.11更新
  

  №127 ツマグロヒョウモンのさなぎ
 畑のニンジンの葉にぶら下がっているツマグロヒョウモンのさなぎを見つけた。幼虫の食草はスミレ類だから、移動してきてここでさなぎになったのだろう。撮影のため邪魔な葉を整理したが本当はもっと密集した中で目立たない状態だった。さなぎは突き出したとげ状のものが何本もあってちょっと異様な姿。おまけに下の方5対は金色に輝いている。これは何か意味があるのだろうか? 顔を動かして見る角度を変えると金色のとげが朝の光にキラキラ輝いて小さな不思議な世界。敵を怖がらせる効果があるのかもしれない。(2014.10.07 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.10.08更新
  

  №126 ツルニンジン(キキョウ科)
 晩夏から秋にかけて花が咲くツルニンジン。つる性で根が高麗ニンジンの根に似ることからこの名がある。花は広い鐘形で長さも直径も3cmほど。内面に紫褐色の斑紋がある。ジイソブという別名をもつ。これは「爺のそばかす」という意味の方言で、この花のしみのような斑紋に由来するという。少し小さめのよく似た花が咲くバアソブという植物も図鑑の隣に出ているが、これはまだ見たことがない。花が面白いので一部の株は残すようにしているが、他の植物に絡んで煩わしいので茎を切ってしまうことも多い。切られると、茎や葉、がくや花冠からも異臭のする白い乳液を出す。(2014.10.05 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.10.05更新
  

  №125 スジボソヤマキチョウ(シロチョウ科)
 シオン(キク科)の花が満開。この花にはいろんな蝶がよく来る。秋のきらめくような日差し、澄んだ空気、薄紫の花、蝶の翅の色。舞台装置と役者がそろって素敵な空間が出現する。今日は珍客スジボソヤマキチョウの雄、雌各1が来た。この蝶も減りつつあるようで、このあたりでも一昨年のこの時期に1頭を見かけたきり。今日は花の蜜に夢中でしばらく滞在してくれた。逆光線に透ける翅が美しく、こちらもしばし夢見心地。 (2014.09.26 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.09.27更新
  

  №124 ヒガンバナ(ヒガンバナ科)
 秋分の日を中日としてその前後3日を合わせた7日間が秋のお彼岸。毎年これに合わせるかのように一斉に花を咲かせるヒガンバナ。田のあぜが特に良く似合う。花は見事だが種子はできず、球根でしか増えない。古い時代に中国から帰化した植物と考えられている。全草が有毒で、土に穴を掘る小動物を防ぐため、あぜや土手に植えられ全国に広がったようだ。また球根を水で十分に晒して毒抜きをすれば食用にもなり、救荒食でもあったらしい。人々の暮らしと深いかかわりをもつ植物であり、印象の強い植物でもあるので日本全国で千以上の里呼び名があるそうだ。 (2014.09.20 吉備中央町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.09.22更新
  

  №123 オオイトトンボの潜水産卵
 オオイトトンボは通常雄雌が連結したまま、雌が水中の植物に産卵する。雄が体を直立させて周囲を警戒していることもある。このペアは雌が産卵しながら後ずさりして水中へ入り、ついには雄までも完全に水没してしまった。この状態でおよそ3分間。出てきたオオイトトンボは体や翅が濡れるでもなく、すぐに飛ぶこともできた。後で写真を拡大して見ると体や翅の周りに空気の層ができている。うまくしたものだ。水面反射を除くため偏光フィルターを使って撮影。 (2014.09.13 美咲町)
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2014.09.16更新
  

  №122 ツリフネソウ(ツリフネソウ科
 №121と同じ場所でたくさん咲いていたのが、このツリフネソウ。ユニークな花の形をしている。3枚の花弁と3枚の蕚(がく)からなるが、同じ色をしているのでちょっと見た目にはよくわからない。開いている方の反対側末端が渦巻状に巻いているが、これは蕚の一部で距(きょ)と呼ばれる。ここに蜜を貯めて虫を誘っている。ツリフネソウという名は、花が帆かけ舟を吊るしたような形、または花器の「釣舟」に似た形ということに由来するということだが、たしかにバランスよく吊るされているように見える。(写真:2014.09.09 真庭市)
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2014.09.13更新
  

  №121 ウラギンヒョウモン(タテハチョウ科)
 久しぶりに好天が続いたので県北の森を訪ねた。近くにはキャンプ場もある場所だが、夏の賑わいは無く静かで落ち着いた雰囲気。渓流沿いの湿地には黄色いオタカラコウが咲いていて、ウラギンヒョウモンミドリヒョウモンミヤマカラスアゲハなどの蝶がが多数訪れている。忙しく飛び回って初秋の陽光にきらめくようだ。しかし多くは翅が傷んでいて季節の変わり目を感じさせる。(写真:2014.09.09 真庭市)
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2014.09.11更新
  

  №120 エサキモンキツノカメムシ
(ツノカメムシ科)
 背中の逆三角形の部分(小楯板・しょうじゅんばん)に淡黄色のハートの紋をもつエサキモンキツノカメムシ。タラノキに来ていた。日本の昆虫学の草分け江崎悌三博士(1899-1957)に献名されたesakiiという学名をもつので和名にもエサキが入っている。このカメムシは母虫が卵と初期の幼虫を保護することでも知られる。なるほどハートを背負った愛のカメムシ…というのは人間の勝手な思いつき。 (写真:2014.09.02 美咲町)
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2014.09.08更新
  

  №119 センニンソウ(キンポウゲ科)
 低木にからみついたセンニンソウが白い十字形の花をつけている。4枚の花弁のように見えるものは蕚(がく)で、花弁はない。この仲間の分類上の属名はClematisで園芸種のクレマチスと同じ。園芸種の華やかさはないが、純白の花は清楚でかすかな芳香もある。しかし、これは毒草でウマクワズの別名もあるそうだ。仙人草という名は、花後の果実に白いひげがあるのを、仙人のあごひげまたは白髪に見立てたのではないかという。 (写真:2014.09.02 美咲町)
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2014.09.04更新
  

  №118 クズの花(マメ科)
 今日から9月。不順な天候の8月だった。8月1か月間の津山の降水量を調べてみると331.5mmとあった。過去10年間の平均値の2.4倍近くになる。隣の広島県では土砂災害で多くの人が犠牲になった。暗い8月になってしまった。秋は穏やかであってほしいと願う。さて、野山ではクズの花が盛り。秋の七草のひとつで花は上品な芳香をもつ。かつては食用、薬用、飼料、生活資材として利用された植物だが今は利用されることもなく山野を覆いつくす有害植物となってしまっている。
 (写真:2014.08.29 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.09.01更新
  

  №117 カムフラージュ
 少しお遊びを。この写真の中に昆虫が1匹いるのだけど、どこでしょうか?みごとに周囲に溶け込んで姿を隠している。おまけに近づいても動かずじっとしている。このようにしてトカゲや鳥といった天敵から身を守っているのだろう。逆にスズメバチ類のように毒をもっている昆虫は、よく目立つ色彩をして危険をアピールしている。毒もないのにそのような強い昆虫に姿を似せているものもある。昆虫の護身術もさまざま。この写真はキリギリスの仲間のクサキリ。右上のあたり、ササの葉の上にいる。わかりました?
 (写真:2014.08.28 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.08.29更新
  

  №116 ナツアカネ(トンボ科)
 今日は久しぶりに強い日差しが戻り、気温も32℃位まで上がった。棒の上で逆立ちしているトンボはナツアカネの雌。赤トンボと呼ばれる仲間の一種で、雄は成熟すると全身が赤くなるが雌は腹部の背面だけが赤くなる(褐色の個体もある)。このポーズはオベリスク姿勢と呼ばれ、赤トンボの仲間や、ショウジョウトンボハッチョウトンボなどでよく見られる。太陽光にあたる面積を小さくし、腹部や翅に風がよく当たるようにして体温の上昇を防いでいるのではないかと考えられている。 (写真:2014.08.21 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.08.23更新
  

  №115 ノカンゾウ(ユリ科)
 放棄田の一角、マコモやススキが生い茂っている場所にノカンゾウを見つけた。同じ仲間のヤブカンゾウはいたるところで見かけるが、ノカンゾウは近辺ではここにしかない。やや湿った場所を好むようだ。この仲間は中国で「忘憂草」などと呼ばれるところから、わが国でも古くから「忘れ草」の名が使われているそうだ。植物図鑑でもユリ科ワスレグサ属となっている。「忘れ草」は万葉集にも登場する。望郷の念、思慕の念を断ち切りたい想いを詠んだ歌だ。色が濃く八重でくどい印象のヤブカンゾウではなくこちらのノカンゾウまたはハマカンゾウだろうと推測する。 (写真:2014.08.13 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
2014.08.20更新
  

  №114 クロアゲハの吸水
 今年の夏はちょっとおかしい。照りつけるような日差しがほとんどない。。今朝も雲が垂れ込め、時折小雨が降るという梅雨時のような天気。そんな中、刈り草を積んだ場所にクロアゲハの雄が来た。よく見ると口吻を伸ばして枯れ草の表面から吸水している様子。時折腹端から水滴を排出している。アゲハチョウやシロチョウの仲間でよく見られる行動だ。切通しの水が滲み出しているような場所や川岸の砂地でよく見かけるが、このような場所で見るのは初めて。吸水するのは若い雄ばかりで生殖活動に必要な成分を吸収しているらしい。そういえばこの個体も新鮮で翅に傷みも全く無く、青光りしてとても美しい。翌日には同じ場所にキタキチョウが数匹吸水に来ていた。 (写真:2014.08.14 美咲町)
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2014.08.16更新
  

  №113 ツリガネニンジン(キキョウ科)
 台風一過、久々の爽やかな朝。池の堤でツリガネニンジンが咲き始めた。青空と、この淡青紫色の花を見るとホッとするようなうれしい気分になった。小さな花が輪生するように下向きに咲く。花の形から「釣鐘(つりがね)」。大きな根を朝鮮人参に見立てて「人参」という名がついたそうだ。若芽はトトキと呼ばれ、「嫁にやるのもおしござる」と謡われた美味しい山菜ということだが、まだ食べたことがない。根は痰切りなどの薬効があり、きんぴらなどにして食用にすることもあるそうだが、これも未体験。 (写真:2014.08.11 美咲町)
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2014.08.11更新
  

  №112 キアシナガバチ(スズメバチ科)
 真夏日となった日の午後、キアシナガバチがひんぱんに犬の水を飲みにやってくる。飛んでくる方向を探すと外階段の下の目立たないところに大きな巣があった。その巣の近くにしばし張り付いて観察と撮影。運んできた水は空いた巣室に少しずつ吐き出すようで水滴がいくつも見られた。また盛んに翅を震わせて風を起こすような行動をとる個体も(写真はキアシナガバチのページに掲載)。巣の温度を下げて卵や幼虫を暑さから守る行動だろう。本能行動に感情移入は禁物だが、心打たれるものがある。アシナガバチは危険な虫との先入観だろうか、巣を見つけたら殺虫剤をかけて殺すことをまず考える人もいる。懸命に生きている生命に対する冒涜とも思える。 (写真:2014.07.29 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)2014.08.05更新  

  №111 カワラナデシコ(ナデシコ科)
 秋の七草のひとつ、カワラナデシコが咲き始めた。深い緑の背景に淡紅紫の花が浮かび上がるよう。花の色は株によって若干の濃淡がある。花弁の先は深く裂けて糸状になり、繊細で可憐な印象を与える。見かけによらずたくましい植物のようで、丈も高いのでチガヤなど他の草にも負けていない。しかしより大型の草や木が茂って日照が遮られると姿を消してしまう。土の湿り気も必要なようで荒地では見かけない。この花も適度に管理された人里環境が最もお好みなのだろう。 (写真:2014.07.30 美咲町)
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              2014.07.31更新  

  №110 ツマグロヒョウモンの産卵
 これはツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)の雌。漢字では褄黒豹紋。雌の前翅端が黒いことに由来する名。雌が地面や背の低い植物上を歩きまわっていたら産卵行動。食草はスミレ類で、この写真は腹部を曲げてニョイスミレに産卵しようとしているところ。他のヒョウモンチョウ類がほとんど年1回しか発生しないのに対し、本種は暖地では年4、5回の発生を繰り返すという。また他のヒョウモンチョウ類と異なり本種には夏眠の習性がないので真夏でも姿を見る。都市部でも幼虫がパンジーやビオラを食べて育つたくましい蝶。幼虫や蛹の姿も面白い。 (写真:2014.07.20 美咲町)
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              2014.07.25更新  

  №109 ニイニイゼミ(セミ科)
 梅雨が明け夏本番。ニイニイゼミが羽化のピークを迎えている。これはその抜け殻。細い草の地表から10~20cmの所で見つけることが多い。表面に泥をかぶっているので他のセミとはすぐに区別ができる。前脚部分はガッチリとたくましく、地中生活の幼虫時代の姿を示している。里山ではごくありふれたセミだが、都市部ではほとんどいない。子ども時代の記憶をたどれば、都市開発で水田が消えていった頃から本種も減少の一途をたどり、いつしかいなくなった。水田が作りだす湿潤な空気や土壌が欠かせないセミのように思う。 (写真:2014.07.20 美咲町)
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              2014.07.22更新  

  №108 オオバノトンボソウ(ラン科)
 続けてランの仲間、オオバノトンボソウ。黄緑色なのでつぼみのように見えるが十分開いている。小さな花が1株に20個ほど咲く。この仲間の花は後方に距(きょ)と呼ばれる細い筒状のものが伸びて、トンボのように見えるところからこの名がある。花は下向きに咲くが、正面から見るとあの「クリオネ」のような姿でこれまた面白い。木漏れ日が差す林縁で、株は毎年出てくるが開花にまで至ったのは4年ぶり。なかなか気難しいようだ。 (写真:2014.07.17 美咲町)
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              2014.07.18更新  

  №107 ネジバナ(ラン科)
 公園の芝生などでおなじみのネジバナ。空き地や田のあぜなど、よく草刈りが行われて日当たりのよい所にも出てくる。だから刈られてしまうことも多いわけだが、花が可愛いので刈り残されていることもある。小さなピンクの花が30個あまりねじれるように着く。右上がりに巻くものと左上がりに巻くものが同じくらいある。1つの花を倍率の高いルーペで観察すると確かにラン科の花。白く見えるのは唇弁(しんべん)と呼ばれるラン科特有の花弁で、繊細なガラス細工のようでとても美しい。モジズリの別名をもつ。 (写真:2014.07.08 美咲町)
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              2014.07.13更新  

  №106 ネムノキ(マメ科)
 どんよりとした梅雨空を彩ってくれるピンクのフワフワの花。おなじみのネムノキ。よく見かけるがちょっと不思議な花。このフワフワは花びら? そうではなくこれは長く突き出した雄しべ。枝先についた10~20個の花がひとまとまりとなって、1花あたり30本以上ある雄しべを伸ばすと遠目にもよく目立つ花になる。雌しべも糸状で雄しべにまぎれているが、受粉後はマメ科らしいさや状の実をつける。夜になると葉を閉じて眠っているように見えるところからネムノキの名がついたという。  (写真:2014.06.30 津山市)
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              2014.07.09更新  

  №105 オオコオイムシ(コオイムシ科)
 この奇妙なものは、たくさんの卵を背に載せたオオコオイムシの雄(下が頭)。水生のカメムシ類で、水田など浅い水域で農薬の影響がないところでは割合よく見かける。この仲間は、雌が雄の背部に卵を産み付け、雄は卵が孵化するまでそれを背負ったまま生活するという変わった習性をもつ。したがって子負虫。一体幾つの卵を背負っているのかと、写真をプリントして印をつけながら数えてみた。草に隠れてはっきりしないところもあるが90個以上! そして左上方には孵化したばかりの幼虫も1匹。頑張るお父さんというところだが、孵化して幼虫になると世話はせず、捕食対象としてしまうこともあるという。  (写真:2014.06.21 美咲町)
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              2014.07.03更新  

  №104 ガマ(ガマ科)
 休耕田のガマが花を咲かせている。写真中央、円柱形の「がまの穂」と呼ばれるもの。上の茶色い部分が雄花の集合で揺らすと大量の黄色い花粉が出る。下の緑色の部分が雌花の集合。雄花部分は程なく枯れ落ち、雌花部分は茶色に変わってくる。風媒花だから虫を呼ぶ装飾は無い。雌花の部分をほぐして高倍率のルーペで見ると綿毛をまとった3mmほどの雌しべがぎっしりと並んでいる。その数は推定約10万という(多田多恵子著「種子たちの知恵」)から驚く。ガマは漢字では蒲。蒲鉾(かまぼこ)はこの穂の形から、蒲団(ふとん)は雌花が成熟した穂をほぐして綿として使ったことからという(同書)。何とも興味深い花だ。  (写真:2014.06.20 美咲町)
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              2014.06.30更新  

  №103 マタタビ(マタタビ科)
 山の緑もすっかり濃くなった。山林の手入れが不十分なせいだろう、林縁部の高いところまでツル性植物が絡みついていて、梅雨時にはマタタビの白い葉が遠目にもよく目立つ。マタタビの花はツルの下に着くので葉に覆われて目立たないが、この白い葉と芳香が目印となって虫たちを集めるのだろう。この白い部分の組織はどうなっているのかが知りたいが、個人持ちのツールでは限界があり、ネット上にもあまり詳しい情報はない。高校生物部などの研究材料として好適だと思うがいかがだろう。  (写真:2014.06.14 美咲町)
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              2014.06.23更新 

  №102 ドクダミ(ドクダミ科)
 梅雨の季節、道端や林縁の日陰にドクダミの花をよく見かける。実はこれが1個の花ではなく、上に突き出した部分に多数の花が集まっている。白っぽい糸状のものは雌しべの先端が3裂したもので、黄色っぽいものが雄しべ。雌しべ1個と雄しべ3個がセットになっていて下の方から成熟してくる。花びらはないが痕跡だろうか、小さな突起のようなものが散在している。小さいのでちょっと大変だったが、数えてみたら70個ほどの花が集まっていた。したがって上の穂状の部分は植物学的には、花序(かじょ)。白い花びら状の4枚は花序を包んでいたものだから総苞(そうほう)ということになる。 (写真:2014.06.11 美咲町)
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              2014.06.16更新  

  №101 モートンイトトンボ(イトトンボ科)
 昨年早春から棚田の休耕田を借りて水を張り、冬場もそのままにして「田んぼビオトープ」にしている。昨年6月に見たことのないきれいなイトトンボがごく少数現れた。それがこのモートンイトトンボ。次世代がうまく育ったようで、今年は驚くほど数が増えた。他にも多くの昆虫、小動物、水生植物や湿地性植物など興味深い生きものが次々現れる。「生物多様性」とか「生態系」とか、わかりにくい言葉もここではすぐに体感できる。全国の耕作放棄田のごく一部でもこのような形にできないものだろうか。乾田化や農薬の影響で姿を消した多くの生きものが復活するはずだ。 (写真:2014.06.09 美咲町)
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              2014.06.12更新  

  №100 メスグロヒョウモン(タテハチョウ科)
 6月になるとヒョウモンチョウの仲間をよく見かけるようになる。今日はメスグロヒョウモンの交尾が見られた。この蝶は名の通り雌(左側)が黒っぽい色をしているので、雄雌が別の種のように見える。しかしどちらもそれぞれの美しさがあってとても魅力的。このあたりではそれほど珍しい種類ではないが、ウツギの白い花に来ていると思わず見とれてしまう。食草はスミレ類。 (写真:2014.06.03 美咲町 少しトリミングしています)
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              2014.06.06更新  

  №99 アカシジミ(シジミチョウ科)
 今年はゴンズイの若木にたくさんの花が咲いた。地味な花だけど、爽やかな芳香がしてチョウ、ハナカミキリ、ハチなどたくさんの虫たちが来ている。その中にアカシジミがいた。翅の表、裏ともにきれいなオレンジ色で魅力的な蝶だが、このあたりではあまり見かけない。見つけても近づけないことが多く、なかなか写真は難しい。今日はチャンスと思ったが敏感で数コマしか撮らせてもらえなかった。随分昔、信州で夕暮れ時に群飛しているのを見て感激したことがあったが、もう一度そんな光景を見たいものだ。 (写真:2014.06.02 美咲町 少しトリミングしています)
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              2014.06.04更新  

  №98 ヘビイチゴ(バラ科)
 半日蔭の空き地にヘビイチゴの真っ赤な果実がたくさんできていた。子どもの頃は毒があると言われていたので手を触れることもなかった。実際は毒はないが食べても全然美味くない。ヘビが出そうなやや湿った場所に多いのでこの名がついたように思えるが、ヘビとは何の関係もない。表面のツブツブが本当の果実で、大きく膨らんだ部分は雌しべがついていた花床部が発達したもの。これは食用のイチゴと同じ構造だが、ヘビイチゴでは甘みが全くないので、食べて種子を運ぶ鳥や動物がいるのだろうかと気になる。もちろんヘビは食べない。 (写真:2014.05.28 美咲町)
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              2014.05.31更新  

  №97 ウスバシロチョウ(アゲハチョウ科)
 ウスバシロチョウは年1回、5月に成虫が現れる。岡山県では北部の中国山地に近い所で多数発生するが、中南部では全く見かけない。シロチョウという名がついているがモンシロチョウスジグロシロチョウなどのシロチョウ科ではない。したがってウスバアゲハと呼ばれることもある。モンシロチョウよりひとまわり大きく、飛び方もやや重そうでシロチョウ科とは違っている。幼虫が蛹になる時に糸を吐いて繭をつくるというチョウとしては珍しい習性をもつということだが、残念ながらまだ見たことがない。食草はケシ科のムラサキケマンなど。 (写真:2014.05.22 真庭市津黒高原)
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              2014.05.27更新  

  №96 ギンラン(ラン科)
 金の次は銀というわけでもないが、№95のキンランを見つけた近くで、今度はギンラン3株が花を咲かせていた。毎年わずかながら出てくる場所で、樹林下のあまり日が当たらない場所。キンランよりやや小さく、この株は草丈10cm余。花も純白で平開しないので目立たないが、上の樹木の葉が風にそよいで木漏れ日が当たると何とも美しい。残念ながらこの種も岡山県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。(写真:2014.05.19 美咲町)
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              2014.05.21更新  

  №95 キンラン(ラン科)
 隣人が笹刈りをしてくれて明るくなった雑木林で、1株のキンラン(金蘭)を見つけた。全国的に急激に数を減らしている植物で、このあたりでもめったに見ない。環境省、岡山県いずれも絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に指定している。このランは土中の特定の菌から栄養のかなりを供給されており、その菌もまた特定の樹木の根から栄養を得ている樹木共生菌であるという。微妙なバランスで維持されてきた雑木林の環境全体に依存する植物といってよいだろう。花が美しいので園芸目的の採取も多いという。鉢に植えて育つわけもないのに。(写真:2014.05.08 美咲町)
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              2014.05.12更新  

  №94 ミツバアケビの花(アケビ科)
 先日№90でアケビの花を紹介したが、これは同じ仲間のミツバアケビ。名の通り3つの小葉がセットになっている(3出複葉・さんしゅつふくよう)。大きいのが雌花で花弁のように見えるものは蕚(がく)。房状に垂れ下がっている小さな花が雄花。どちらも暗紫色で香りもなく、アケビと比べると華やかさに欠ける。しかし、この花は逆光線で見ると雌花の蕚が赤く透けてハッとするような美しさを見せる。(写真:2014.05.04 美咲町)
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              2014.05.07更新  

  №93 レンゲソウ(マメ科)
 昨年10月に休耕田にレンゲソウの種を蒔いたら、順調に育って満開を迎えた。標準和名はゲンゲだが、レンゲソウ、レンゲの方が一般的。かつては水田の緑肥として利用されたから、レンゲ畑はごく普通の風景だったが今はあまり見られない。田植えの時期が早くなったことや化学肥料の普及によるのだろう。花に近づくとたくさんの蜜蜂や蝶が来ている。土を肥やし、蜜源となり、子どもの遊び道具になり、大人の心をも和ませてくれる魅力あふれる植物。消滅させたくない風景。(写真:2014.05.02 美咲町)
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              2014.05.05更新  

  №92 ヤマフジ(マメ科)
 ヤマザクラが終わり、コバノミツバツツジが終わり、藤の季節になった。このあたりの山野で今咲き始めているのはヤマフジ。やや遅れてフジが咲き出す。よく似ているがヤマフジは花の房(花序)が10~20cm程で短く、長く伸びるフジとはすぐに区別がつく。個々の花はヤマフジの方がやや大きい。ツルの巻き方も反対でヤマフジは右巻き(右上がりの巻き方)。(写真:2014.04.30 美咲町)
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              2014.05.01更新  

  №91 ヨツボシトンボの羽化
 ビオトープ池で今年もクロスジギンヤンマが10個体ほど羽化した。さらに新顔のヨツボシトンボが2個体羽化。西南日本では分布が局地的なトンボということで、このあたりでもほとんど見かけない。羽化したばかりではわからないが、翅によく目立つ褐色斑があって和名の由来となっている。胸部の側面などが毛深く、これは成熟しても残る。こんな小さな水辺環境でも様々な生き物が利用してくれる。(写真:2014.04.24 美咲町)
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              2014.04.29更新  

№90 アケビの花(アケビ科)
 アケビの実はよく知られているが、花を知っておられる方は少ないかもしれない。ちょうど今頃がアケビの花のシーズン。雌雄同株で写真の上が雌花、下が雄花。どちらも花弁のように見えるのは蕚(がく)で花弁はない。蕚片は白色~淡紫色。雌花では紫色の雌しべがよく目立つ。この花では雌しべが6本あるが、図鑑によると3~9本とのこと。これが秋に房状の果実になる。上品なよい香りのする花で、私の好みでは№87のニオイタチツボスミレと双璧。(写真:2014.04.19 美咲町)
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              2014.04.21更新 

  №89 コナラの葉の展開
 コナラの葉が開きはじめた。広がったばかりの小さな葉には、表にも裏にも光沢のある絹毛が密生していて銀色に輝く。近づいて見るととても美しいが、絹毛は短期間で脱落して薄緑色の若葉となる。その頃には花も咲き始める。この時期の変化はとても速い。コナラが多い雑木林の遠景も、今は白っぽく霞んでいるが日に日に淡い緑色へと変化していく。散歩中に雑木林や遠くの山の色の変化を見るのも、この時期の楽しみの一つ。(写真:2014.04.17 美咲町)
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              2014.04.18更新  

  №88 ヤマザクラ(バラ科)
 ソメイヨシノがほぼ終わって、今はヤマザクラが静かに咲き誇っている。花は白っぽく、赤味を帯びた若葉が花と同時に開き始める。この風情がとてもよい。花の時期には葉が無くて、あたりが一色に染まるソメイヨシノよりも私はこの桜が好きだ。江戸時代以降にソメイヨシノが全国に広まる以前はこの花がお花見の対象であったそうだ。野生種だけに遺伝的な変異もあり、また雑種も多いようで典型的なヤマザクラは意外と少ない。(写真:2014.04.15 美咲町)
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              2014.04.16更新  

  №87 ニオイタチツボスミレ(スミレ科)
 日当たりの良い草原に、ニオイタチツボスミレが今花盛り。花弁は円みがあり、重なり合っている。色の濃い株が多く、中心部の白がはっきりとしている。今の時期は葉はまだ小さく目立たない。名の通り、きつくはないが独特で濃厚な甘い香りをもつ(ほとんどわからない株もある)。この花を見るとつい地面に伏せるようにして鼻を近づける。人が見たらどう思うかだが…。
 良い図鑑が出版されてスミレ類の判別が随分楽になった。私の愛用は、「日本のスミレ」(山渓ハンディ図鑑)と「スミレハンドブック」(文一総合出版)。ルーペも必需品。(写真:2014.04.09 美咲町)
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              2014.04.10更新  

  №86 カワラヒワ(アトリ科)
 このところ毎日カワラヒワのカップルが庭の芝生にやってくる。よく見ると毛のようなものをくわえている。この場所はよく飼い犬を繋いでいるところで、カワラヒワは抜けた犬の毛を集めている様子。たぶん巣をつくる材料の一部になるのだろう。小鳥たちの繁殖シーズンが始まったようだ。ケヤキの幹に取り付けた巣箱でもシジュウカラが盛んに巣材のコケを運びこんでいる。ヤマザクラやコバノミツバツツジも咲き始めて里山は一気に活気を見せるようになってきた。
(写真:2014.04.02 美咲町)
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              2014.04.04更新  

  №85 アサギマダラの幼虫
 早春の森を歩いた。キジョラン(ガガイモ科)の葉を注意して見ると、円い穴の開いたものがある。葉をめくってみると、何枚目かで、いた!アサギマダラの幼虫。 秋に葉裏に産み付けられた卵はすぐに孵化して、幼虫は常緑のキジョランを食べながら冬を越し、5月頃に蝶になる。この個体は体長10mmほど。おそらく2回脱皮を済ませた3齢の幼虫。上の円い穴は幼虫が食べた跡。アサギマダラは渡りをする蝶として有名で、秋に南西諸島や台湾に渡る個体が多数いることが知られている。一方で西南日本ではこのように幼虫で越冬するものもいる。この個体は無事育ったらどこへ行くのだろうか?(写真:2014.03.29 吉備中央町)
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              2014.03.30更新  

  №84 アオイスミレ(スミレ科)
 3月後半はポカポカ陽気の日もあれば、まだまだ風の冷たい日もある。そんな中で花期の早いスミレが咲き始める。まだ落葉が積もっている雑木林の林縁で薄紫のスミレが清楚な花をつけているのを見つけた。スミレ類は同定が難しいが、花柱の先端が鉤型に曲がるなどの特徴からアオイスミレのようだ。花の後、フキのような円い葉がびっくりするほど大きくなるのでヒナブキの別名もあるという。果実も他のスミレとは違い球形をしていて、株の根元に隠れるようにつくということで、花が終わった後も観察を続けたい。(写真:2014.03.24 美咲町)
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              2014.03.27更新  

  №83 ヒオドシチョウ(タテハチョウ科)
 今日は素晴らしい快晴で気温も19℃まで上昇した。こんな日には成虫越冬の蝶たちが姿を現す。テングチョウアカタテハ、そして写真のヒオドシチョウを見ることができた。ヒオドシとは漢字では緋縅または火縅。辞典によると「まっかな糸や皮で、よろいの札(さね)をつづること。そのよろい。」とある。がっちりした体つきと翅の色は、鮮やかな緋縅のよろいをまとった武者のイメージ。昔の人のネーミングの感性には感心させられることが多い。越冬後の個体はたいてい翅が傷んでいて、この個体もひどくはないが端が擦り切れている。(写真:2014.03.17 美咲町)
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              2014.03.18更新  

  №82 フキノトウ
 早春の主役のひとつ、フキノトウ。キク科のフキの若い花茎である。葉に先だって地上に顔を出す。日当たりの良い場所では2月末頃から見られるが、山陰(やまかげ)のこの群生地では毎年3月の10日頃から。赤土の急斜面で、冬は霜柱が立ち、少しずつ崩れ続けている場所だ。植物には厳しい場所の筈だが、地下茎を張りめぐらせているフキにとっては、他の植物に覆われることのないこのような場所がむしろ好ましいようだ。毎年少し摘ませてもらって、ふきのとう味噌に。春の香りが口中に広がる。(写真:2014.03.10 美咲町)
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              2014.03.12更新  

  №81 ネジキ(ツツジ科)
 ネジキの若い枝はこのように鮮やかな赤色をしている。葉のない冬場は特によく目立つ。冬芽も赤い。ネジキは同じツツジ科のアセビと同じく有毒植物で、この赤色は草食動物に対して「食べるとひどい目に会うよ」というメッセージ、つまり警告色(警戒色)の意味をもつのかもしれない。観察会で他の植物がシカにひどく食べられているのを見たばかりなので、そのようなことを考えた。
(写真:2014.03.02 和気町 自然保護センター)
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              2014.03.05更新  

  №80 ニホンアカガエルの卵塊
 2月下旬になるとフッと寒さが緩み、さほど冷たくない弱い雨が降ったりする日がある。このような晩に外に出て耳を澄ますと、田の方からニホンアカガエルの雄が雌を呼ぶ鳴き声が聞こえる。文字で表すのは不可能だけど、あえて書くとクルルルルッ、クルルルルッ(最後が上がる)というような感じ。よく澄んだ美しい声で早春の訪れを知らせてくれる。翌朝、田の水路や水たまりを探すとこのような卵塊が幾つも。黒い卵が丸い寒天質に包まれてたくさん集まっている。オタマジャクシになるのは3月中頃。(№10
(写真:2014.02.28 美咲町)
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              2014.03.01更新  

  №79 アセビの花(ツツジ科)
 寒さもようやく一段落の様子。毎年真っ先に春の気配を感じさせてくれるのがこのアセビの花。今年は例年より遅かったが、ようやく日当たりの良いところから咲き始めた。壺形の花を下向きに多数つける。野生の花は普通白色だが、この株は赤味を帯びた花をつけていた。有毒植物で、漢字では馬酔木と書くというのはよく知られているところ。里山から山地までどこにでも生えており、花も芳香をもつわけではないが、この花を見るとようやく厳しい冬も終わりだとホッとする。(写真:2014.02.23 美咲町)
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              2014.02.26更新 

  №78 ハラビロカマキリの卵鞘
 雑木林の伐採をして片づけをしていたら、コナラの木の梢近くにハラビロカマキリの卵鞘(らんしょう)が付いていた。中に多数の卵が収まっている。このカマキリの卵鞘は木の幹や枝に付いていることが多く、地上1~2mでよく見かける。しかし、この場所はおそらく地上5mはあっただろう。こんな高い場所で産卵することもあるらしい。カマキリ類は産卵のとき、泡状の粘液を分泌してその中に卵を産み、その泡が固まって卵鞘ができる。卵を寒さや乾燥、衝撃から守る素晴らしい揺籃だ。5月になると中から100個体以上の幼虫が現れる。(写真:2014.02.16 美咲町)
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              2014.02.19更新  

  №77 トチノキの冬芽(トチノキ科)
 また積雪。例年なら2月に入ると明るい日が射したり、寒さが緩む日もあるのだが、今年はずっと天気が良くない。予定していた雑木林の手入れもできずちょっと情けない。雪の中で自分と同じようなトホホ顔をしているのがいたのでおもわずニヤリ。これはトチノキの冬芽(側芽)。大きな葉をもつトチノキは人の顔のような葉痕も大きい。冬芽はうろこ状の芽鱗(がりん)で保護されているが、さらに外側が粘液質で被われていてべとつく。乾燥や食害から芽を守る効果があるのかもしれない。ピントがずれて見えにくいが上の方にはススキの綿毛がくっついている。この写真の木は自生ではなく植栽のもの。(写真:2014.02.14 美咲町)
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              2014.02.14更新  

  №76 シロハラ(ツグミ科)
 7日夜から8日朝にかけて雪が降り続き、当地でも最大15cm程の積雪となった。この時期地面に降りて餌を探すことが多いシロハラも、今朝はヤマハゼの樹上でわずかに残った実をついばんでいた。ツグミと同じ冬鳥でこのあたりでは11月から4月頃まで見ることができる。大きさもツグミとほぼ同じで25cmほど。名の通りお腹が白い。この個体は全体的に色が淡いので雌だろう。今日は十分に食べられただろうか。この程度の雪は織り込み済みだろうが、ちょっと気になるところ。(写真:2014.02.08 美咲町)
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              2014.02.08更新  

  №75 ヤママユの卵(ヤママユガ科)
 コナラの細枝を丁寧に探すとヤママユの卵を見つけることができた。№53で紹介した大型の蛾で卵も大きく、長い部分で3mmもある。食草はコナラクリクヌギなどのブナ科とサクラなどのバラ科樹木。昨年飼育した時は4月20日に孵化した。小さな毛虫が葉を食べてずんずん成長し、初夏には緑色のきれいな繭を作り、秋の初めには立派な蛾が羽化する。年に一度だけ成虫が現れるので、冬に落葉した枝先でよく見かける繭はすべて抜け殻。今はこの姿で命がつながっている。(写真:2014.01.31 美咲町)
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              2014.02.02更新  

  №74 エゴノキの冬芽と霧氷
 今朝は-2℃まで冷え、おまけに濃霧。霞みの中で枯れ草や木の葉の縁などに霧氷が張り付いて不思議な光景。エゴノキの冬芽も氷の粒で被われてしまっている。エゴノキや近縁のハクウンボクの冬芽は主芽の下に副芽(予備芽)を持つのが特徴。副芽の下の円いのが葉痕。ところで右側の白いモールのようなものは? これはクモの糸に霧氷が着いたもの。珍しいものが見られるのはいいが、やはり暖かい春が待ち遠しい。(写真:2014.01.29 美咲町、トリミングしています)
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              2014.01.30更新  

  №73 ビワの花(バラ科)
 最も寒いこの時期、雪の中でも花を咲かせているのがビワ。11月から2月頃にかけて開花する。かすかな芳香もあり、天気が良く暖かい日には小昆虫が来ている。しかしこの時期そんな日は少ない。開花期間が長いのはそのせいだろうか。花の防寒対策はよくできていて、花序(花がついている枝)、蕚(がく)は淡褐色の綿毛が密生し、まるで毛布をかぶっているかのよう。自生も見られるが、栽培品の野生化したもののようだ。ちなみにこの写真のビワも随分前に子どもが食べた後の種をまいて芽生えたもの。(写真:2014.01.19 美咲町)
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              2014.01.24更新  

  №72 クズの冬芽(マメ科)
 続いて冬芽。ちょっと意外性のあるところで、つる植物のクズ。葉痕は人の顔のよう。上の左右に尖った冬芽があるので小鬼が泣きべそをかいているようにも見えてなかなかユーモラス。「冬芽ハンドブック」(文一総合出版)によると「顔」の両側の耳のようなものは前年の葉の付属片である托葉(たくよう)の跡。しかしクズの托葉というのは意識して見たことがないなあ。節分はもう少し先だが、春になってこの小鬼の顔や角がどう変化していくのか、ちょっと楽しみ。(写真:2014.01.14 美咲町)
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              2014.01.16更新  

  №71 オニグルミの冬芽(クルミ科)
 冬の楽しみの一つが冬芽の観察。この写真は冬芽を紹介する本で必ず登場するオニグルミ。羊の顔のように見えるのは葉の柄がついていた跡(葉痕)で、目や口のような模様は水分や養分の通路の跡(維管束痕)。葉痕の上のこぶのように膨らんだ部分が冬芽で、葉や花のもとになるものが入っている。外側には短い毛が密生して低温から内部を守り、春が来るのをじっと待っている。この冬芽や葉痕の形は木の種類によって決まっているので落葉した木の種類を見分ける拠り所にもなる。オニグルミのように何となくユーモラスなものも多いので、ルーペ片手に冬芽ウオッチングはいかがですか。(写真:2014.01.05 岡山市北区)
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              2014.01.07更新  

  №70 ソヨゴ(モチノキ科)
 新年明けましておめでとうございます。おかげさまで1年間続けることができました。今年はもっと内容充実を図るつもりですのでどうぞよろしく。
 写真は当地で正月飾りによく使われるソヨゴの赤い実。年末には道の駅などでも売られているが、ソヨゴではなくフクラシとかフクラシバという名で。これは葉を熱すると膨れてパチンとはじけるところからという。「柴」は材が緻密で萌芽力も強く、薪炭材として利用されたことからだろう。ミツバチの蜜源植物としても有用で、人びとの暮らしと密接に関わりのあった植物なのだろう。フクラシ、フクラシバという呼び名に何となく温かいものを感じるのはそのせいだろうか。(写真:2013.12.30 美咲町
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              2014.01.01更新  

  №69 ジャノヒゲ(ユリ科)
 次は青い宝石、ジャノヒゲの種子。林の下で細い常緑の葉に隠れている。「青い実」と言いたくなるが、この植物の子房の壁(果皮)は花後すぐに破れ種子がむき出しになるので、植物学的には実(果実)ではなく種子ということになる。これは「野に咲く花の生態図鑑」(多田多恵子著、河出書房新社)という本で知った。青い種皮を取り除くと乳白色の胚乳があり、これは弾性があって、昔は「弾み玉」と言って遊び道具だったとも。冬の観察会では子ども達に喜ばれそう。俳句では「竜の玉」と呼ばれ、冬の季語だそうだ。(写真:2013.12.23 美咲町
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              2013.12.26更新  

  №68 ツルリンドウの果実(リンドウ科)
 落葉樹がほぼすべて葉を落としたので、今日は小道の落葉掻き。量が多いのでなかなかの重労働。疲れた目に飛び込んできた赤い宝石がツルリンドウの実。夏から秋にかけて咲く花はやや地味で、果実の方がよく目立つ。初冬の頃、花冠から赤い果実をのぞかせ、今の時期になると軸が伸びてこのような姿になる。切ってみると赤いのは薄い果皮だけで、白くて柔らかい果肉の内部に10個あまりの黒い種子が入っていた。この実を食べて種を運ぶのは誰だろう?(写真:2013.12.23 美咲町
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              2013.12.24更新 

  №67 カメノコテントウの集団越冬
 ここ数日、急激に寒くなった。そんな中、久しぶりに自然保護センターを訪ねた。冬も自然観察は楽しい。今の時期ならではの出会いもある。クヌギの木にスプリングで取り付けられているネームプレートをそっと持ちあげるとカメノコテントウ5頭、ナミテントウ2頭が集まって越冬していた。プレート裏の窪みにはクサギカメムシ1頭とヨコヅナサシガメの幼虫が1頭。写真を撮ってプレートを元通りに。皆さんお邪魔しました。(写真:2013.12.15 岡山県自然保護センター
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              2013.12.16更新  

  №66 フユイチゴ(バラ科)
 本格的な冬の訪れはもう少し先だが、このところ朝晩グッと冷え込むようになってきた。星空のきれいな翌朝は必ず一面の霜だ。そんな中にフユイチゴの赤い果実。普段はあまり目立たないが夕日に輝いていたり、このように霜をまとっていたりするとハッとする美しさを見せる。味も甘酸っぱくてなかなかおいしい。夏にはちょっと邪魔になっていたのだが、刈り取らずにいてよかったかな。(写真:2013.12.07 美咲町)
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              2013.12.09更新  

  №65 スイカズラ(スイカズラ科)
 12月に入り野原も冬の色になったが、よく見れば緑のまま冬越しをする植物も結構ある。これはつる性低木のスイカズラ。今の時期に果実が黒く熟す。春の新しい葉は柔らかいが、今の時期はやや厚く縁が下向きに巻いたようになっている。このような姿で落葉することなく冬を越すので忍冬(ニンドウ)の別名もある。
 秋から冬にかけて採取し、刻んで天日乾燥させたものを生薬として用い、これも忍冬というそうだ。(写真:2013.12.05 美咲町)
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              2013.12.06更新  

  №64 ヒイラギ(モクセイ科)
 ヒイラギの花が芳香を漂わせている。雌雄異株でこれは雄株の花。2本の雄しべが突き出しているが雌しべはごく小さく結実しない。日ごとに寒くなるこの時期の開花だが、天気の良い日には匂いに誘われるのか小型のハナアブやハエ類が多数来ている。よく見ると雄しべの先端あたりを舐めており、そこから蜜を分泌しているのだろうか?
 漢字では柊、柊木、疼木と書く。ヒイラギの名は古語の「疼(ひひら)く」(ヒリヒリ痛むの意)に由来する(Wikipedia)そうで、なるほどこの葉は痛そうだ。でも老木になると刺がなくなり丸い葉になる。人間と同じかな?(写真:2013.11.22 美咲町)
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              2013.11.27更新  

  №63 キトンボ(トンボ科)
 遅くまでいたナツアカネノシメトンボもいつしかいなくなった晩秋。近くのため池周辺にキトンボの雄が今年も姿を見せた。。小春日和の暖かい日に枯葉の上で静止していたり、水面をパトロール飛行して他個体と縄張り争いをしたりしている。赤トンボの一種で成熟した雄は腹部が赤くなる。翅の前縁と基部が橙色に透き通り、秋の低い日差しに輝いて綺麗だ。もっと早い時期から成虫がいる筈だが、自宅周辺ではこの時期の穏やかな晴天の日にしか見ない。私にとっては謎の多いトンボ。成虫越冬でないトンボでは最も遅くまで見られるということで、高知県では1月27日に観察という記録もあるそうだ。(写真:2013.11.16 美咲町)
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              2013.11.22更新  

  №62 コスミレ(スミレ科)
 木の葉が散り、冬も近いというのにスミレの花! 日当たりのよい斜面にかなりの数が開花中。春にもこの場所で咲いていたコスミレのようだ。小型のハナアブが来ていたから無駄咲きにはならないのだろう。他のスミレ類と同様、コスミレも春の花の後から秋にかけても閉鎖花という目立たない花をつけて種子をつくり続ける(画面右上に見えている)。この時期に再び普通の花(開放花)を一斉に咲かせるというのは驚きだ。今年だけなのか、それとも毎年のことなのだろうか?(写真:2013.11.13 美咲町)
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              2013.11.17更新  

№61 リンドウ(リンドウ科)
 棚田の斜面でリンドウが可憐な花を咲かせている。9月に草刈りをされた場所なので、その後に伸びたものだろう。そのせいだろう、どの株も小さいか横倒しになっている。花期もやや遅いようだ。このあたりでは、刈られるリスクはあっても日当たりの良い、このような場所で種族を維持しているのだろう。ここは標高300m位だが、1000mほどの中国山地の草原でもよく見かけ、こちらはスッと直立していることが多い。分布は広いが、十分な日照を得られる場所でなければ生きられない植物のようだ。(写真:2013.11.09 美咲町)
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              2013.11.11更新  

  №60 コバノガマズミ(スイカズラ科)
 里山の秋も深まってきた。9月頃から色づき始めたコバノガマズミの実がすっかり熟したようだ。食べてみてももう渋くない。これなら小鳥たちにも美味しいだろうと思うのだが、あまり人気がない。この時期は他にも食べるものが豊富にあるせいかな。でも雪が降る頃になればこの実も食べられることだろう。この植物にとってもその頃に食べられ、運ばれるのが発芽のために好都合なのだろう。ちょっと前までの不味さは、まだ食べないでというサインだろうか。
 葉も色づき、もうすぐ落ちてしまう。でも付け根には冬芽が来年の準備を始めている。(写真:2013.11.06 美咲町)
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              2013.11.07更新  

  №59 マユミ(ニシキギ科)
 マユミが見ごろというので森林公園を訪ねた。見ごろといっても花ではなく果実。6月頃に咲く花は小さくて地味。しかし色付いた秋の果実はまことに見事。ピンクの部分が果皮で、ちょうど今頃の時期、4つに裂開して鮮やかな赤の種子が顔を出す。花が目立つもの、果実や種子が目立つもの、どちらも目立つもの、植物の戦略もさまざま。いや、戦略などと無粋なことを言わず、ここは美しさに浸っていればよいのだろう。(写真:2013.10.28 鏡野町岡山県立森林公園)
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              2013.10.30更新  

  №58 ホシホウジャクとヤクシソウ
 中央の茶色い昆虫はスズメガ科のホシホウジャク。猛スピードで移動し、巧みにホバリングしながら長い口吻を花に伸ばす。まるでハチドリのミニチュアのよう。ホウジャクは「蜂雀」で、ハチに似たスズメガということだろう。黄色い花はキク科のヤクシソウ。薬師草と書くが薬効はないそうだ。しかしこの花の蜜は魅力的なようで実にさまざまな昆虫がやってくる。野のありふれた植物が昆虫たちの命を支え、昆虫たちは花粉媒介で植物を支える。たくさんの命がつながっている。(写真:2013.10.19 美咲町)
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              2013.10.23更新  

  №57 ジョウビタキがやってきた
 冬鳥のジョウビタキが庭にやってきた。今シーズン初で去年とほぼ同じ頃。№4で紹介したのは雌だがこれは雄。雄は顔や喉と翼が黒っぽいのですぐに見分けがつく。雄も雌も人を恐れない。今日も土掘りをしていたら近くまで来て虫が出てくるのを待っていた。雄も雌も1羽で縄張りをもつ。そのせいだろうか、この時期にはよく車のミラーに映る自分の姿とケンカ?をしている。糞で車が汚されて困るのだが、ユーモラスで愛らしいので許してやろう。(写真:2013.10.17 美咲町)
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              2013.10.17更新  

  №56 クスサン(ヤママユガ科)
 飼育していたクスサンが羽化した。翅を広げた時の幅が10cm程になる大型の蛾だ。№53のヤママユに似ているが前翅外縁内側に波状のラインがあることと、前翅の眼状紋が表側からは目立たないという特徴で区別できる。この個体は雌で、自分が入っていた繭(網目状なのでスカシダワラと呼ばれる)に止まって動かない。飼育容器から出したり、後翅の眼状紋を写すために少し刺激して前翅を上げさせたりしても逃げなかった。この後飼育容器を片づけると裏で雄がじっとしていうのを発見。昨夜から来ていたようだ。近くにこの雌を戻しておいて今朝見ると交尾していた。気付いてよかった。(写真:2013.10.08 美咲町)
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              2013.10.09更新  

  №55 サクラタデ(タデ科)
 耕作放棄の湿田にかなり大きな群落があった。初めて見る美しい花だった。タデの仲間ということはすぐにわかったので図鑑で調べるとサクラタデ。これしかないというネーミング。薄桃色の小さな花が穂状に咲き、上部は垂れ下がって、しだれ桜のミニチュアのようだ。でも花弁のように見えるものは蕚(がく)でサクラ類とは花の構造が違う。湿地に生える植物で日本全土に分布するようだが、やはり減少の一途ということらしい。水田を含めた水辺環境が大きく様変わりする中で絶滅の危機に瀕している動植物が実に多い。
(写真:2013.09.28 美咲町)
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              2013.10.02更新  

  №54 メスグロヒョウモン(タテハチョウ科)
 メスグロヒョウモンという蝶は名の通り雌は黒っぽい色彩をもち、一見ヒョウモンチョウの仲間とは思えない。雄とは全く異なるので初めて交尾を目撃した時にはわかっていても奇妙な気がした。今日は雌がケヤキの幹上で奇妙な行動をしていた。産卵のようだ。本種は立木の樹幹上に産卵することが多いそうだ。
後で樹皮のめくれた部分を剥がしてみると1個だけ卵を発見することができた。卵のまま、または初齢幼虫の状態で食を摂らずに越冬するということだ。幼虫を見たいので飼育に挑戦してみることにした。
(写真:2013.09.26 美咲町)
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              2013.09.27更新  

  №53 ヤママユ(ヤママユガ科)
 飼育していたヤママユが羽化した。冬にコナラの枝で見つけた13個の卵のうち2つが4月に孵り、うち1頭だけが成虫まで育った。撮影しようとした時に逃げられたが、幸い近くの桜の枝に止まってくれたので望遠レンズで撮影できた。子どもの手ほどもある大きな蛾だ。色彩は変異があり、黄色や褐色のものもいる。幼虫はクヌギ、コナラ、ミズナラなどの葉を食べる。淡緑色のきれいな繭を作り、絹糸が採れるので天蚕(てんさん)とも呼ばれる。安曇野市天蚕振興会のHPで美しい天蚕糸の写真を見ることができる。
(写真:2013.09.23 美咲町)
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              2013.09.24更新  

  №52 アケボノソウ(リンドウ科)
 山の谷間にひっそりと咲くアケボノソウ。5枚の花弁があるように見えるが、基部はつながっているので1つの花冠(かかん)が5つの裂片に分かれているということになる。各裂片の先端部には黒い点、その内側には黄緑色の丸い斑紋が2つある。今までは変わった模様の花だと思うだけだったが、図鑑やHPで調べるとここには蜜腺があるとの記述が。ふと、この花に来ていたハナアブを撮影したことを思い出し、よく見ると確かにこの黄緑色の部分を舐めているではないか。この斑紋は蜜のありかを虫に教えているらしい。現場では気付かず、観察力が足りなかったと反省。(写真:2013.09.17 岡山県立森林公園)
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              2013.09.19更新  

  №51 ワレモコウ(バラ科)
 ワレモコウの花をじっくり観察した。小さな花が集まって穂状になっている。小花はつぼみも含めて数えると100個近くあった。個々の花の花弁のようなものは蕚(がく)片で4枚あり、雄しべも4本。先端部から開花し、新しい花の蕚は白っぽいが、雄しべがしおれてしまったような花では赤紫色になっている。これからさらに黒ずんでくるはずだ。花が終わっても蕚片はそのままの形で残るので、あの独特のドライフラワーのような姿になる。草原に秋の風情を届けてくれるユニークで魅力的な花だ。(写真:2013.09.13 美咲町)
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              2013.09.15更新  

  №50 ナツアカネの産卵
 このあたりで最も多い赤トンボがナツアカネ。このトンボは普通このように連結のまま雌が空中で卵をばらまく(連結打空産卵という)。赤色が鮮やかな雄がリードして水面上1m位の所をゆっくりと移動し、雌は尾端をわずかに上下させて卵を落下させる。植物に引っかかったりするロスも多そうだが、水面ではトノサマガエル、ウシガエルなどが待ち構えているので、これがいちばん安全な方法なのだろう。ノシメトンボも同じ方法で産卵する。(写真:2013.09.11 美咲町)
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              2013.09.12更新  

  №49 ツバメシジミ(シジミチョウ科)
 6日間も雨が降る日が続いた。時に恐ろしいほどの勢いで。この日ようやく止んで夕方から日も射してきた。小型のチョウたちが一斉に現れて翅を広げたり、花の蜜を吸ったり。虫たちも困っていたのだろう。これはツバメシジミの雄。どこにでもいるありふれたチョウだ。でもじっくり見ると本当に美しい翅の色をしている。後翅の小さな突起(尾状突起)と裏側の橙色の斑紋が目印になる。庭や公園などで翅の裏が薄いグレーの小さなチョウを見かけたらよく見てください。尾状突起と橙色がなかったらヤマトシジミかな。
(写真:2013.09.04 美咲町)
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              2013.09.08更新  

№48 リスアカネ(トンボ科)
 赤とんぼの一種リスアカネ。動物のリスではなく、スイスのトンボ学者Risに由来する名。雄は成熟すると腹部だけが鮮やかな赤色になる。翅の先端に褐色の斑紋がある赤とんぼは他にノシメトンボ、コノシメトンボ、マユタテアカネの一部の雌。コノシメトンボはこのあたりでは見かけず、写真も撮れていない。
 今年の夏は猛烈に暑く、大変な豪雨もあった。トンボもチョウも、スズメバチや他の昆虫も異常に少ない。福島原発の汚染水漏れ、蜂蜜の残留農薬などの報道もあったが、人々の関心は高くないようだ。我々は将来の世代に責任をもてるのだろうか。(写真:2013.08.29 美咲町)
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              2013.09.01更新  

   №47 ツユクサ(ツユクサ科)
 しっとりとした朝露に夏の終わりを感じる今日この頃。名の通り朝露とともに咲き、昼頃にはしぼむ露草の花。万葉集では月草とか鴨頭草、または搗草(読みはいずれも「つきくさ」)と表記されているそうだ。青い花弁を搗(つ)いて染色用の汁を出したことに由来するという。
 6本の雄しべのうち、上方のよく目立つ黄色でユニークな形の3本は花粉をつくらない。昆虫へのアピール用だろうか。昆虫が来なくても、しぼむ前には下方に伸びた雌しべと2本の雄しべがくるくると巻いて自家受粉をする。巧妙な仕組みをもった面白い花。ぜひルーペで観察を。(写真:2013.08.27 美咲町)
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              2013.08.28更新 

  №46 フシグロセンノウ(ナデシコ科)
 標高1000メートルほどの高原を訪ねた。セミの声に誘われて林道を少し外れたら、ミズナラやウリハダカエデなどの樹林下そこかしこにフシグロセンノウの花が咲いていた。緑一色の森の中で、しばし独特のあでやかな色彩を楽しませてもらった。
 節黒仙翁と書く。ある図鑑によると、茎の節の部分が黒っぽいので節黒、仙翁はかつて京都嵯峨にあった仙翁寺に植えられていた中国産の仙翁花(せんのうげ)に似た花であることからという。 (写真:2013.08.19 新見市)
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              2013.08.20更新  

  №45 オミナエシ(オミナエシ科)
 秋の七草の一つオミナエシ。里山地域では珍しい植物ではないが、刈られてしまうことが多いのだろう、数株がまばらに生えていることがほとんど。これは車で通りがかりに見つけた珍しく見事な群落。隣接地に小さなお墓があったので、地主の方がお供え用に保護されているのだろう。
 普段は日常生活に追われていても、お盆のこの時期、遠い故郷や亡くなった人に思いを馳せることがよくある。そんな季節によく似合う優しい風情の花だ。 (写真:2013.08.08 鏡野町)
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              2013.08.11更新  

  №44 ミズオオバコ(トチカガミ科)
 休耕田でミズオオバコが咲きだした。道端に生えるオオバコとは縁遠い植物だが葉がオオバコに似ているのでこの名がある。葉はくすんだ色で水中にあるが花は柄を伸ばして水面上で咲く。白い花弁は輝きがあってきれいだ。この植物もやはり除草剤や溝のコンクリート化などで著しく減少していて、環境省・岡山県ともに絶滅危惧Ⅱ類に指定している。ちなみに絶滅危惧Ⅰ類とは絶滅の危機に瀕している種。Ⅱ類は絶滅の危険が増大している種ということ。環境の多様性をどこかで確保しておかないと、気がつかない間にいろんな生きものが姿を消してしまう。 (写真:2013.08.07 美咲町)
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              2013.08.07更新  

  №43 マユタテアカネ(トンボ科)
 アカトンボ類が見られるようになった。これはマユタテアカネ。顔面に眉斑とか眉状斑と呼ばれる黒い紋があるのでこの名がある。ため池などの周辺で普通に見かける。この個体は雄で、成熟すると腹部が鮮やかに赤くなるが、今はまだ黄色っぽい色をしている。7月27日にはツクツクボウシ、31日にはミンミンゼミの鳴き声を今年初めて聞いた。31日夜にはエンマコオロギの鳴き声も。夏休み後半の役者たちが登場してきたが、暑さはまだまだこれから。やれやれ。 (写真:2013.07.31 美咲町)
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              2013.08.01更新  

  №42 キタキチョウとミソハギ
 連日の猛暑で毎日ぐったり。山や田も緑一色でちょっと単調、というわけで今回は少し色彩感のある写真を。黄色い蝶はキタキチョウ(シロチョウ科)。赤紫の花はミソハギ(ミソハギ科)で湿地に生える多年草。和名は溝萩または禊萩に由来するのではないかという。 近くの湿地に自生を見つけ、2,3株をビオトープ池のほとりに移植したもの。毎年暑さにうだるこの季節に、ほっとするような爽快感を与えてくれる。盆花として使うこともあるそうだ。しかしこの植物も田の畔では刈られ、荒地では競争に負けるのだろう。自生を見かけることはあまりない。 (写真:2013.07.21 美咲町)
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              2013.07.26更新  

  №41 ニイニイゼミ(セミ科)
 6月末から現れたニイニイゼミが、今盛んに鳴いている。当地ではごく普通のセミだが、都市部ではほとんどいない。幼虫が乾燥に弱いということのようだ。
 翅にまだら模様があるので他のセミと間違えることはない。この模様がウメノキゴケ類が付いたサクラの樹皮とそっくり。このセミはサクラを好むようなのでみごとなカモフラージュとなっている。
 芭蕉の有名な句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」のセミは、論争の末このニイニイゼミで決着したそうだが、やはり岩にしみ入るのは本種のチィーという声しかないだろうと思う。 (写真:2013.07.18 美咲町)
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              2013.07.19更新  

    №40 エゴノネコアシ
 エゴノキの枝先にしばしばこのようなものが付いている。これは実ではなくエゴノネコアシと呼ばれる「虫こぶ」。植物に昆虫やダニなどが寄生することによって組織が肥大化したもので多くの種類がある。
 エゴノネコアシはエゴノネコアシアブラムシという昆虫の寄生によって形成されることが知られており、ちょうど今頃の時期に「猫の足指」の先端が開いてアブラムシの有翅虫が飛びだし、他の植物に移動する。不思議な世界がここにもある。 (写真:2013.07.08 美咲町)
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              2013.07.10更新 

  №39 キイトトンボ(イトトンボ科 
 ビオトープ池でキイトトンボの配偶・産卵行動が始まった。写真は交尾中のペア。上のオスはメスの前胸部を尾部付属器で確保し、メスは腹端をオスの腹部前方の副生殖器にあてがう(オスはあらかじめ精子を副生殖器に移してある)。トンボの交尾はこのように特徴的なもので、オス・メスでハート形ができあがる。この後メスは腹端をはずし、産卵行動に入る。キイトトンボでは、多くの場合産卵は連結したまま行われ、オスは直立した姿勢をとって周囲を警戒する。
(写真:2013.06.28 美咲町)
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              2013.07.03更新 

  №38 ショウジョウトンボ(トンボ科
 ショウジョウトンボのオスが鮮やかな赤色になった。未成熟なうちは黄褐色の目立たない色をしているが、成熟するとこのようになる。盛夏も近いようだ。今はまだ食べざかりのようで、一か所に静止し時々パッと飛んでは巧みに小昆虫を捕えている。
 ショウジョウというのは「猩々」と書き、猿に似た、赤ら顔で酒好きという中国の想像上の動物のことだそうだ。このような色をしているが、童謡などでおなじみのアカトンボの仲間ではない。 (写真:2013.06.27 美咲町)
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              2013.06.29更新  

  №37 ヤマボウシ(ミズキ科
 最近は庭木にもよく使われるヤマボウシ。県北の森の中では、10メートルを越える大きな樹が今花盛り。枝のつき方は同じミズキ属のミズキクマノミズキとよく似ている。白くてよく目立つのは花弁ではなく総苞片(そうほうへん)。ヤマボウシという名はこれを僧兵の白い頭巾に見立てたという。本当の花はこの白い頭巾の中心部にあって目立たないが、秋には赤いサッカーボールのような実になる。 (写真:2013.06.25 鏡野町、岡山県立森林公園)
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              2013.06.26更新   

  №36 ウマノスズクサ(ウマノスズクサ科
 このユニークな花はウマノスズクサ。多年生のつる草で冬には地上部は枯れる。今の時期から花が咲き始める。ラッパ状の部分と下の球状の部分が蕚(がく)に相当し、花弁に相当するものはない。球状の部分の内部に雌しべと雄しべがある。花粉媒介は小型のハエ類に依存するようだ。有毒植物だが、ジャコウアゲハの幼虫はこの葉を食べて育つ。毒成分は成虫になっても体内に残るため、鳥などはジャコウアゲハを食べないということだ。 (写真:2013.06.18 美咲町)
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              2013.06.19更新  

  №35 クリの花(ブナ科
 花火のようなクリの花が良く目立つ。匂いも強烈で蜜も多く、虫がたくさん集まる花だ。クリはブナ科の中では異色で、花粉媒介を昆虫に頼る(虫媒)。だから風媒のコナラなどよりはるかにアピールの強い花を咲かせる。花の時期も他のブナ科よりも遅く、虫の活動が活発になる6月。うまくできているものだ。
 遠目に白い糸のように見えるのは、ごく小さな雄花が莫大な数集まったもの。では栗の実の元(雌花)はどこに? 答えはクリのページを見てください。 (写真:2013.06.14 美咲町)

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              2013.06.15更新 

   №34 ササユリ(ユリ科
 ササユリが咲く季節になった。10年近く前に自宅敷地の斜面に3株ほど見つけ、その後大切に保護してきたら今年は30株以上になっていた。
 花の色はほとんど真っ白なものからピンクまで変異があるが、どれも美しい。香りも良い。
 地元の人によると、以前はいくらでもあったがすっかり減ってしまったという。適度に手の入った笹原が減ったせいだろう。刈払機できれいにされるか放置されてひどい藪になっている場所がほとんど。どちらの場合もこのユリは消えていくしかない。 (写真:2013.06.10 美咲町)

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              2013.06.12更新

   №33 ウツギ(ユキノシタ科
 ウツギの花が満開になった。どこにでもある植物だが、鈴なりに咲く純白の花は青空にも雨にもよく似合って美しい。卯の花ともいうので名曲「夏は来ぬ」を思い出される方も多いだろう。冒頭「卯の花の匂う垣根に…」の「匂う」は古語の「輝くように美しい」と解釈するのが良いのだろう。この花はほとんど香りはしないから。「良い香りがする」と書いてあるものも見たことがあるが、からみついたスイカズラの香りを誤解されたのではないだろうか?勝手な推測で恐縮だけど…。 (写真:2013.06.06 美咲町)

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              2013.06.07更新

  №32 ニホンアナグマ(イタチ科
 夜、ハクビシンのような動物を捕まえたので見に来てほしい、と農家の方から連絡を受けた。行ってみると頭胴長が30cm弱のニホンアナグマの子どもだった。小さいながらも鋭い爪をしている。鼻筋が白っぽいのでハクビシンかと思われたようだ。農作物を荒らすような動物ではないからとお話しして、捕獲された場所で放してやったが衰弱していて動けない。やむなく持ち帰って体を温めて寝かせた。翌日から生肉やミミズを与えるとよく食べて元気になったので2日後に再び放してやった。まだ独り立ちする段階ではないので、自力で巣穴に戻るか親と再会できなければ死んでしまうのだろう。でもそうするのがベストだろうと判断した。 (写真:2013.05.31 美咲町)

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              2013.06.03更新 

   №31 コマルハナバチ(ミツバチ科
 5月には芳香をもつ花が次々と咲き、外を歩くのが楽しい。このエゴノキも下向きの白い花をいっせいに咲かせ、周囲に甘い香りを振りまく。もちろんお目当ては昆虫たち。短時間見ている間に、ハチ5種、甲虫3種、チョウ2種、ハエ1種を数えることができた。中でもコマルハナバチの働き蜂たちが数も多く活発。ずんぐりした体形だが、下向きの花も苦にしない。鉤爪を雄しべや花弁にひっかけ、奥の蜜を吸う。体は花粉まみれになるが、巧みに脚を動かして後脚の花粉バスケットに集める。大変な働き者だ。エゴノキにとっても結実を助ける有難い存在なのだろう。ちなみに「小丸花蜂」であって「困る花蜂」ではありません。 (写真:2013.05.21 美咲町)

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              2013.05.26更新

  №30 シュレーゲルアオガエル(アオガエル科
 休耕田の窪みにシュレーゲルアオガエルのペアがいた。下の雌はお腹がはちきれんばかり。今夜にも産卵が行われるのだろう。
 つい先日、コンクリートの側溝に落ちて衰弱しているこのカエルが多数いた。まだ生きている68個体を回収してこの田に放したがほとんどが死んだ。雌はみなこのように大きなお腹をしていた。産卵のため水辺に移動しようとして転落したのだろう。カエルだけでなくいろんな小動物の命を奪うような側溝は罪作りだ。落ちても上がれるように工夫された側溝もあるのにほとんど見かけない。残念で仕方がない。(写真:2013.05.20 美咲町)

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              2013.05.21更新 

  №29 ジャケツイバラ(マメ科)
 「落石注意」の標識が出ている急峻な谷筋。ジャケツイバラの明るい黄色の花が鮮やか。この植物を知ったのは、冬に同じ場所で出会ったひどいトゲの蔓。何の蔓かわからず、春を待っていたらこんなきれいな花が咲いて驚いた。漢字では蛇結茨。ヘビどうしが絡み合っているように見えるところからという(wikipedia)。ジャケツイバラ科とされることもある。(写真:2013.05.14 美咲町)

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              2013.05.16更新  

  №28 ヤマツツジ(ツツジ科)
 ヤマツツジが今満開。ところでこれは棚田の崖に咲くヤマツツジ。農家の人がいつもきれいに手入れをされている場所だ。このようにしょっちゅう刈り込みをされる場所でもこの植物は低く地を這って広がり、季節には花も咲かせる。農道の脇とか雑木林の縁でもこのような状態の花をよく見かける。そして刈り込まれることがなくなればすっと枝を伸ばして直立する。実にたくましい。あちらこちらで花を目にするのはこんな性質を持っているためだろう。(写真:2013.05.12 美咲町)

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              2013.05.13更新  

    №27 ホソミオツネントンボの産卵
 ビオトープ池も賑やかになってきた。今日はホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科)のカップルが産卵に来た。体はすっかり春の色になっている。下の雌はミクリの葉に産卵管を差し込んで産卵している。とても敏感でカメラを構えて近づくと必ず逃げられるが、このときは目の前に飛んできて産卵を始めた。おかげでじっくりと観察することができた。たまにはこんなこともある。(写真:2013.05.09 美咲町)
(写真集ページの写真も入れ替えました)

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              2013.05.11更新 

    №26 オオカメノキ(スイカズラ科)
 中国山地に遅い春の訪れを告げるオオカメノキ(別名:ムシカリ)の花。白い花と細かい皺のある若葉が風にそよぐ。中心部の小さな花が実を結ぶ両性花。よく目立つ外側の白い花は装飾花といって雄しべも雌しべも退化している。虫たちに花の存在を知らせて、役割りを終えると平開したそのままの形で地面に落ちる。両性花は秋には赤い実となって再び鳥や人の目をひきつける。(写真:2013.05.07 岡山県立森林公園

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              2013.05.08更新 

  №25 ヒメハギ(ヒメハギ科)
 日当たりのよい斜面でヒメハギが咲いていた。草丈10cmほど。初めてこの花を見た時は種名も科名もわからず、図鑑を1ページずつ繰ってようやくたどりついた記憶がある。左右に開いた花弁状のものは蕚(がく)で筒状に見えるのが花弁。下側の花弁の先端にはヒゲのような細かい突起が出ている。ヒメハギの名が示すように一見マメ科のような印象を受けるが、花の構造は全く異なる。それにしてもこのヒゲは何の役割を果たしているのだろう?(写真:2013.05.02 美咲町)

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              2013.05.06更新  

  №24 ウワミズザクラ(バラ科)
 続けてバラ科の白い花、ウワミズザクラ
 小さな白い花を房状につける。多いものでは1房に70個以上も花がある。個々の花はサクラと同じような形だが全体の印象は全く違ったものになる。花も新緑も、赤から黒に熟していく果実も、秋の黄葉も、すべてに不思議な魅力がある木だ。(写真:2013.04.29 美咲町)

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              2013.05.02更新 

  №23 ザイフリボク(バラ科)
 何気なく見上げた木の梢付近が白っぽく見える。近づいてよく見るとザイフリボクの花が満開になっていた。いつもの散歩コースなのに、この木があることに気づいていなかった。普段はこれという特徴もなく、目立つ木ではないが、純白の花は青空に映えて美しい。
 采振木という名は、この花の様子を采配に見立てたものという。シデザクラ(四手桜)という別名もあってこれは注連縄(しめなわ)などにつける「四手」にちなむということ。どちらも特徴をよく表したきれいな名だと思う。(写真:2013.04.28 美咲町)

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              2013.04.29更新  

  №22 カワラヒワ(アトリ科)
 タンポポも綿毛になりだした。タンポポの若いタネ(果実と言った方が良いのかな)はこの鳥の大好物のようで、この時期よく食べにやってくる。今日も雨の中、数羽が繰り返しやってきた。カワラヒワにとって春の大切な食料なのだろう。
 天気の良い日には、タンポポの花に集まる虫たちも多い。チョウ類・ハナバチ類・小型の甲虫類。ヤブキリの幼虫もよく花の上にいる。
 たくさんの命が繋がっている。カワラヒワが食べた後のタンポポを見てふとそんなことを思った。(写真:2013.04.24 美咲町)

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              2013.04.24更新  

   №21 ウマノアシガタ(キンポウゲ科)
 この時期、山野のいたる所に見られる植物で、おまけに有毒。あまり人に愛される植物ではないが、5枚の花弁には真珠のような光沢があり、午後の日差しに輝いて美しい。
 キンポウゲ(金鳳花)と呼ばれることもあるが、本来は八重咲きのものを指すらしい。ウマノアシガタという名の由来もよくわからないようだ。
 この花にはベニシジミという、これまたごく普通の蝶がよく来るが、この組み合わせもとても魅力的。人に言うと笑われそうだけど。(写真:2013.04.22 美咲町)

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              2013.04.23更新 

    №20 クマバチ(ミツバチ科)
 クマバチ(キムネクマバチ)の雄が縄張りのパトロール飛行をする季節になった。一か所でホバリングをしているかと思えば、猛烈なスピードで他のクマバチや昆虫を追いかける。縄張りを守りながら雌を待っているのだろう。
 大型のハチなので怖がられることもあるようだが、人を攻撃したりはしない。特に今パトロール飛行をしているのは雄だから、そもそも人をさすような「針」はない。スズメバチのことをクマンバチという人もあり、混同されたり誤解されたりすることもあるようで、ちょっと気の毒。(写真:2013.04.18 美咲町)

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              2013.04.21更新 

    №19 リョウブ(リョウブ科)
 リョウブの若葉は黄色味が強く、朝日が射すとまるで黄金に輝いているかのようだ。
 この若葉は古代から飢饉に備えるための保存食とされ、またこの木の緻密で美しい材もさまざまに利用されてきたという。そしてこの季節には朝から贅沢な気分にさせてくれる。いろいろと役に立ってくれる木だ。(写真:2013.04.16 美咲町)

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              2013.04.17更新 

    №18 クロスジギンヤンマの羽化(ヤンマ科)
 庭のビオトープ池で13日からクロスジギンヤンマの羽化が始まった。去年より10日ほど早い。
 図鑑によると近縁のギンヤンマと違い、小規模な水域を好む傾向があるということなので、小さなこの池も利用されたようだ。
 羽化の失敗も多い。翅がうまく伸びず、飛行できないまま死んでしまう。なかなか厳しいものだ。でもうまくいった個体は翅を小刻みに震わせたかと思うと、あっという間に高く舞い上がって春の空に姿を消す。(写真:2013.04.15 美咲町)

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              2013.04.15更新 

    №17 コバノミツバツツジ(ツツジ科)
 コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)が咲いて、小径が華やかになった。一月後に開花するヤマツツジとともにこのあたりの里山を代表するツツジだ。日当たりのよい二次林の林縁に多い。花の色には、写真のように多少の変異がある。
 晴天の陽光によく映えるが、夕暮れ時の霞むような風情にも魅力がある。三本の指をつぼめたような展開前の若葉も愛らしい。(写真:2013.04.08 美咲町)

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              2013.04.09更新 

  №16 クロモジ(クスノキ科)
 クロモジは低山からやや高い山まで普通に見かける低木。葉と花が同時に展開する今の時期は樹全体が黄緑色に霞むようで、離れた所からでもよくわかる。
 葉や枝には芳香があり、皮付きのの高級爪楊枝「黒文字」はこの木から作る。近くの道の駅では小枝や葉を乾燥させたものを「クロモンズ」という名で売っており、お茶として飲用にする。爽やかな香気があってなかなかいいものだ。 (写真:2013.04.05 美咲町)

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              2013.04.06更新  

  №15 ビロウドツリアブ(ツリアブ科)
 これも春の到来を告げてくれる存在、ビロウドツリアブ。ホバリングの名手で、吊るしたように静止飛行をするのでツリアブというそうだ。ビロウドは布地のビロードだろうが、それよりフサフサのぬいぐるみのよう。
 幼虫は土中に営巣するハナバチ類の寄生者ということで、興味深い生態がありそうだが、資料は乏しい。
 (写真:2013.03.30 美咲町)

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              2013.04.02更新  

  №14 ヒサカキ(ツバキ科)
 ヒサカキの花が今盛り。この花には独特の臭気がある。「都市ガスに似た悪臭」と書いてある図鑑もあるが、ちょっと酷な気もする。良い香りとは言えないが、春の訪れを感じさせてくれる匂いではある。
 雌雄異株でこれは雄花。 墓や仏壇のお供えにするのでおなじみの木。それだけに別名も多いようだが、このあたりでは「シャシャキ」というようだ。
(写真:2013.03.28 美咲町)

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              2013.03.30更新  

  №13 ツマグロオオヨコバイ(オオヨコバイ科)
 今日は朝から暖かくなった。アセビの葉にツマグロオオヨコバイが数頭集まっているのに気付いた。交尾行動も見られた。成虫越冬なので暖かくなって活動を始めたようだ。いろんな植物から吸汁する種だが、アセビは有毒成分をもっているからもちろん吸汁はしていない。ではなぜアセビに集まっていたのだろう? たまたまだったのか、何か訳があるのか? ごく普通に見かける昆虫でもわからないことは多い。
(写真:2013.03.28 美咲町)
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              2013.03.29更新 

 
№12 ユキワリイチゲ
(キンポウゲ科)

 セツブンソウと同様に落葉広葉樹林の環境をうまく利用する早春植物。小さな渓谷沿いの北西向き斜面にかなり大きな群落があった。
 淡く紫色を帯びた花は清楚で美しいが、植物学的にはガクであって花弁は無いということだ。地面を被う葉はミツバのような3小葉からなり、たくましい印象。属名はAnemone。園芸種のアネモネと同じ仲間。(写真:2013.03.22 美咲町)

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              2013.03.23更新  

  №11 シュンラン(ラン科)
 シュンラン(春蘭)が咲き始めた。鉢物でおなじみの洋蘭シンビジウムの仲間。それにしては地味な花だが、春の明るい雑木林には実によく似合う。
 淡い緑色で外に張り出した3枚は蕚(がく)、内側の3枚が花弁で、そのうち白色で赤紫の紋が入る下の1枚は唇弁と呼ばれる。シュンランにはホクロやジジババという異名もあるらしいが、唇弁の斑紋からの連想だろうか?
 この植物も減少傾向。生物多様性に富む里山環境が少なくなってきたということだろう。
(写真:2013.03.19 美咲町)
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              2013.03.19更新  

  №10 ニホンアカガエルのオタマジャクシ
 (アカガエル科)

 浅いビオトープ池に産卵(2.26頃)されたニホンアカガエルの卵が孵化した(3.15頃)。氷が張るような日もあったが2週間ちょっとで孵ったことになる。体長8mmほどで、ほとんど動かない。このカエルは、まだまだ寒さの厳しい2月下旬から3月上旬に産卵する。他のカエルとの競合を避けたり、天敵を避けたりする意味があるのだろうか。しかしこの時期は乾田がほとんどで、わずかな水たまりに産卵された卵塊も水が干上がって全滅してしまうことがある。今後が心配なカエルだ。運よく成長できた個体は6,7月に上陸する。(写真:2013.03.16 美咲町)
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              2013.03.16更新  

   №9 タネツケバナ (アブラナ科)

 田畑の畦にタネツケバナの白い花が今盛り。
草の高さは10数cmほど。花の径はよく開いた状態でも5mmほど。目立つ花でもなく、どこにでも生えている所謂雑草のひとつ。しかし田園に春を告げる愛らしい花だ。漢字では種漬花。この花が咲くころに籾を水に漬けるなど、田植えの準備を始めたことに由来するという。春本番もすぐそこまで。
 (写真:2013.03.11 美咲町)

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              2013.03.13更新 

  №8 ニホンミツバチ(ミツバチ科)

 昨日は二十四節季の啓蟄。暖かくなった。在来のミツバチであるニホンミツバチがオオイヌノフグリに吸蜜に来ていた。一昨年からほとんど見かけなくなって心配していた。復活してくれるとよいのだが…。写真で見ると、ハチが口を花の奥に伸ばすと、ちょうど2本の雄しべ(色は白色)先端の花粉が蜂の顔面に付着するようになっている。この花粉で別の花が受粉できるし、ハチはこれを後脚の花粉バスケットに集めて巣に持ち帰ることができる(写真に写っている白い塊がそうです)。植物と昆虫の絶妙な調和。

 (写真:2013.03.06 美咲町)
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              2013.03.06更新  


  №7 テングチョウ(タテハチョウ科)

 2月最終日。よく晴れて4月上旬並みの気温に。越冬中のテングチョウが日向ぼっこに出てきた。1月8日にも飛んでいるのを目撃した(高梁市で)。その日も季節外れの暖かさだった。越冬中も暖かい日には活動することがあるようだ。
(写真:2013.02.28 吉備中央町)
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              2013.03.01更新  

  №6 セツブンソウ(キンポウゲ科)

早春2月から咲き始めるので節分草。花の径は約2cm。群生していると星をちりばめたようで可愛い。白い花弁のように見えるのは萼(がく)で、花弁は退化して黄色い蜜腺に変化している。
今の時季の落葉広葉樹林の明るい光を利用する早春植物。5月に種子を作った後、地上部は枯れてしまう。芽生えてから開花までは数年かかるそうだ。
(写真:2013.02.21 美作市)
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              2013.02.23更新  

  №5 越冬中のホソミオツネントンボ♀(アオイトトンボ科)
自然保護センター(和気町)での研修会の昼休みに講師の先生が発見。
オツネンは漢字では越年。成虫で冬越しするという珍しい習性のトンボだ。
色も形もみごとに枯れ枝。大きさも3cmちょっとぐらいだから、越冬中はまず気付くことはない。トンボの術にも見破る先生の眼力にも脱帽。春~秋の姿はホソミオツネントンボのページをどうぞ。(写真:2013.02.10 和気町)
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              2013.02.11更新 


  №4 ジョウビタキ(スズメ目ツグミ科)

 畑の周辺で冬鳥のジョウビタキが毎年縄張りをつくる。この冬は雌だ。土を掘り返していると必ずすぐ近くまでやってくる。虫が出てくるのを待っているようだ。ミミズやコガネムシの幼虫を投げてやると喜んで食べる。今はスコップの先に止まって待っているところ。疲れも忘れるよ。(写真:2013.02.05 美咲町)
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              2013.02.07更新 

  №3 イカル(スズメ目 アトリ科)

 この季節、当地では朝は曇っていたり霧が立ち込めたりすることが多い。そんな空からキー・コー・キーと澄んだ声が響く。イカルだ。羽の色も魅力的だが、やはり黄色いくちばしが目立つ。太くてガッシリ。堅い樹の実も簡単に割れそうだ。
(写真:2013.02.02 美咲町)
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            2013.02.02更新 

 
№2 シメ(スズメ目 アトリ科

 この時期になると冬鳥のシメをよく見かけるようになる。
ずんぐりした体形と太いくちばし、シックな色彩で愛らしい鳥だが目付きは鋭い。くちばしは夏は黒ずんだ色ということだが今は肌色で光沢がある。安全を確認してから地面に降りて食物(種子)を探している。(写真:2013.01.25 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
              2013.01.27更新
 

 
№1 ヒガンバナ(ヒガンバナ科

 冬色の棚田の斜面。ところどころに緑色の部分が。ヒガンバナが茂っているところだ。冬の光は弱いが競争相手はいないから独り占めできる。他の草が伸び始めるころヒガンバナの葉は枯れて姿を消す。そして秋に花茎だけがいっせいに伸び出し、鮮やかな花を咲かせる。花が終わった後、再び葉が現れて地下の球根に栄養を蓄える。個性的で巧みな戦略。(写真:2013.01.17 美咲町)(画像をクリックすると拡大表示されます)
              2013.01.18

       

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